【医師監修】妊娠初期のインフルエンザは胎児に影響する?予防方法は?

【医師監修】妊娠初期のインフルエンザは胎児に影響する?予防方法は?

今回は「妊娠初期のインフルエンザ」について、「予防接種をしてもいいの?」、「もしインフルエンザに感染したらどうなる?」などの疑問にお答えします。妊娠初期は、心身に変化が現れやすく、不調が妊娠によるものか病気なのかもわかりにくく、不安になることも多いでしょう。正しい知識を得て、流行の時期を乗り切りましょう!


この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

妊娠中にインフルエンザにかかるとどうなるの?

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妊婦がインフルエンザにかかると、治りにくく、重症化しやすいことがわかっています。また、母体だけでなく胎児にも影響が出ることがあります。

母体への影響

妊娠中は妊娠していない時よりも免疫力が低下している状態で、インフルエンザに感染すると 重症化しやすいことがわかっています。妊娠期別のリスクとしては、妊婦がインフルエンザ流行中に心肺機能を悪化させて、入院するリスクは、産後と比較すると妊娠14~20週で1.4倍、妊娠27~31週で2.6倍、妊娠37~42週で4.7倍という研究結果もあります[*1]。この結果からは、妊娠後期になるほど重症化しやすくなることがわかります。

2009年に新型インフルエンザ※が大流行したとき、日本では妊婦の死亡者はいませんでしたが、外国では妊婦の死亡者が多数報告されました。このとき、アメリカでは妊婦は人口比率の1%でしたが、新型インフルエンザの死亡者の5%は妊婦でした[*1]。この結果を見ても、妊婦は重症化のリスクが高いことがよくわかります。

※当時は「新型」でしたが、現在は通常のインフルエンザの1つとして扱われています

赤ちゃんへの影響

妊娠中にインフルエンザに感染した場合、胎児への影響はどうでしょうか。

妊婦のインフルエンザ感染によって流産・早産、低出生体重児や不当軽量児(お腹にいる週数から予測される標準体重より軽い状態のこと)、胎児死亡が増加するという報告があります[*1]。

また、妊娠初期にインフルエンザにかかった場合、赤ちゃんの心臓や神経機能の異常などが増えるという報告もありますが、これは母体の高熱によるもので、適切な解熱剤の服用などでリスクが回避できるとの考えもあります[*1]。

妊娠中、妊娠初期の予防接種はOK?

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インフルエンザの重症化を防ぐためには、予防接種を受けることが一番有効です。では、妊娠中にインフルエンザの予防接種をしても大丈夫なのでしょうか?

妊娠初期でも安心して予防接種を

ワクチンの副反応など、体への悪影響が心配になるかもしれませんが、現在日本で使用されているインフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンで、妊婦と胎児に問題はないとされています。

妊娠初期のインフルエンザワクチン接種の赤ちゃんへの影響に関しては、「受けなかった妊婦との比較」「妊娠中期以降に受けた妊婦との比較」がなされていますが、いずれも先天異常発生率の増加は認められませんでした[*2]。

ママだけでなく、生まれてくる赤ちゃんにも安全かつ有効

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むしろ、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種することはおすすめです。妊婦自身がインフルエンザにかかりにくくなるだけでなく、赤ちゃんにも効果があるからです。

妊娠中にインフルエンザワクチンを接種しておくと、生後6ヶ月までの赤ちゃんがインフルエンザにかかる確率も減るということもわかっているのです[*1]。生後6ヶ月までの赤ちゃんはインフルエンザワクチン接種が認められていないので、大変有意義なのです。

【医師監修】妊婦さんがインフルエンザになったとき赤ちゃんへの影響

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1248

インフルエンザがはやる時期、妊婦さんは「もし感染してしまったら赤ちゃんへの影響はあるの?」と心配になってしまうのではないでしょうか。妊娠中にインフルエンザにかかった場合の影響と正しい予防方法について説明します。

おすすめの接種時期

日本では、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、流行のピークは1月末~3月上旬です。ですから、12月中旬までにワクチン接種を終えておくのがいいとされています[*3]。

ただし、年によっては流行の時期が早まることもありますので、医師と相談しながら適切な接種時期を決めるといいでしょう。

妊娠中にインフルエンザにかかったらどうする?

インフルエンザワクチン接種を受けていても、インフルエンザに感染することを完全に防げるわけではありません。もし、38℃以上の発熱(微熱の場合もあり)、頭痛や関節・筋肉痛、全身のけん怠感(だるさ)などが急に現れたらインフルエンザの疑いがあります。できれば症状が出てから48時間以内に医療機関を受診し、治療しましょう。

どのように受診すればいい? 何科に行く?

妊婦のインフルエンザは重症化しやすいため、ほかの妊婦にうつさない配慮が必要です。かかりつけの産婦人科に行くのは極力避け、地域の一般医療機関に行くようにしましょう。

ただし、切迫流産・早産の兆候がみられるときや破水しているとき、陣痛がきているときなど、産科の問題を抱えている場合は、重症でない限りはかかりつけの産婦人科が対応してくれます。他人への感染を極力防ぐため、受診の前には電話をし、不織布のマスクをして受診しましょう。受診の際には母子手帳も忘れずに。

妊婦でもインフルエンザの薬は飲める?

インフルエンザであった場合、症状が出てから48時間以内に抗インフルエンザ薬(リレンザ®やタミフル®)を 服用し始めると、重症化防止に最も効果があることがわかっています[*1]。また、これらの抗インフルエンザ薬が胎児に悪影響を及ぼす可能性も低いことがわかっています。

薬が「完全に安全」というわけではありません。しかし、インフルエンザに感染した場合には、薬を飲んだ方が有利ということです。2009年の “新型” インフルエンザの際、日本では死亡する妊婦がいなかったのは、多くの妊婦が抗インフルエンザ薬を内服したことも有利に働いた可能性があると考えられています。

妊娠中にインフルエンザ患者と一緒にいた場合はどうする?

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インフルエンザ患者の近くに座ったり、行動を共にしたりすると「濃厚接触」をしたとみなされ、インフルエンザ感染リスクが高くなります。その場合はなるべく早く医療機関に相談しましょう。

妊婦への抗インフルエンザ薬の予防投与

インフルエンザ患者と濃厚接触した場合のリレンザ®やタミフル®の予防目的での投与は、70~90%の予防効果があることがわかっています[*1]。

なお、薬剤抵抗性ウイルス出現の可能性を考慮し、通常はこのような予防目的の服用はすすめられていないのですが、妊婦の場合は重症化を防ぐ意味で予防目的の服用がすすめられています。ただし、予防のための服用は治療時と用法・用量が異なり、発症を予防できるのも服用している期間だけ(イナビルの場合は10日間)となりますので、医師・薬剤師の説明をよく聞いて使用しましょう。

また、予防効果は 100%ではないので、もしこれらの薬を予防目的で服用している間に発熱したら、すぐに医療機関に相談して受診することをおすすめします。

まとめ

妊娠中にインフルエンザになると、入院したり、命に関わったりと、普段よりも重症化しやすくなります。場合によっては胎児に影響が出る可能性もあるので注意が必要です。もし、妊娠期間とインフルエンザが流行る時期が重なるようなら、流行前に予防接種を受けておきましょう。予防接種でインフルエンザは完全に予防できるわけではありませんが、重症化を抑えることはできます。また、インフルエンザに感染したり、患者と濃厚接触した場合は、すぐに医療機関を受診し、治療を受けるようにしましょう。

(文:今井明子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]産婦人科診療ガイドライン―産科編2017
http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf
[*2]国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター:インフルエンザについて(医療関係者向け) https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/h1n1.html
[*3]厚生労働省「令和元年度インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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