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2019年06月20日 15:10 更新

DHAなどn-3系脂肪酸の摂取量が、母乳中のたんぱく質濃度に関係する可能性が明らかに

雪印ビーンスタークは、雪印メグミルクと共同で、2015年より第3回全国母乳調査を実施していますが、その一環として現代日本人母乳の主要栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物など)と母親の摂取栄養素量の関係について調査。スコットランドで開催された欧州小児消化器肝臓栄養学会でその結果を発表しました。

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研究成果のポイントは以下の2点。

・母乳の主要栄養素濃度は、分娩後日数の経過などに応じて変化することが改めて確認された
・母親が摂取する栄養素の一部には、母乳中の主要栄養素濃度に関連する可能性が示唆された

図1母乳の粗たんぱく質濃度と分娩後日数の関係 図2n-3系脂肪酸摂取量と母乳の粗たんぱく質濃度の関係

母乳には、母親の食事からの摂取量が母乳中の濃度に影響を与える栄養素があります。n-3系脂肪酸のひとつであるドコサヘキサエン酸(DHA)は、その成分のひとつ。一般的に、主要栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物の母乳中濃度は分娩後日数や在胎週数などに影響を受けることが知られていましたが、母親の摂取栄養素量との関係については明確な結論は得られていませんでした。

そこで、授乳中の摂取栄養素量が母乳の主要栄養素濃度に及ぼす影響について検討されました。

研究対象となったのは、2015年2月〜16年8月に日本全国に在住する健康な母子。母乳の提供を行った270名を対象に調査が実施されました。母親の年齢は平均31.0歳、乳児の日齢(分娩後日数)は中央値で58日。

対象の母乳は分娩後約1〜2カ月の成乳。乳児に授乳した後の中期乳または後期乳として、少なくとも3日間以上連続して採取。母乳の主要栄養素である粗たんぱく質および純たんぱく質、脂質、炭水化物が測定されました。

全固形および熱量は、赤外分光法を用いた母乳分析計により測定。食事調査は簡易型自記式食事歴法質問票を用いて栄養摂取量が算出されました。

分娩後日数は母乳の粗たんぱく質(中央値1.2g/100mL)ならびに純たんぱく質(中央値0.9g/100mL)濃度との間で弱い相関が見られました。

また、母乳採取時における乳児の体重(中央値4710g)は、母乳の炭水化物以外の各主要栄養素濃度との間でわずかに相関を示しました。一方、母親の摂取栄養素量と母乳の主要栄養素濃度の間において、いくつかの統計学的に有意な相関も認められました。

具体的には、母親のn-3系脂肪酸摂取量と母乳中のたんぱく質濃度との間、そして母親の灰分摂取量およびナイアシン摂取量と母乳中の純たんぱく質濃度との間で、いずれもわずかに相関を示しました。

また、分娩後日数による影響を考慮した回帰分析の結果、粗たんぱく質濃度とn-3系脂肪酸摂取量の間において関連が認められ、粗たんぱく質濃度はn-3系脂肪酸摂取量の増加に伴い増加する可能性があることがわかりました。

今回の研究で、母乳の主要栄養素濃度は、分娩後日数の経過などに応じて変化することが改めて確認されました。さらに母親が摂取する栄養素の一部には、母乳中の主要栄養素濃度に関連する可能性も示唆されました。

(フォルサ)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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