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2023年01月16日 15:02 更新

【医師監修】つわりで夜眠れない!ときの3つの対処法|原因と対策

つわりがひどくて昼間大変なだけではなく、夜も眠れない……そんな状態が続くと辛いですね。ここでは、つわりで夜眠れない妊婦さんのために、考えられる原因とそうした事態が起こりやすい時期、試してみてほしい対処法を解説します。

<アンケート>つわりがひどくなる時間帯はいつだった?

時計のイメージ

妊娠・出産経験のあるママに、つわりがひどくなる時間帯があったかどうか聞きました。

<体験談>つわりで夜眠れない……

回答者のなかには、「夕方や夜、ひどくなった」という人もいました。また、昼間でも「横になると吐き気がひどくなった」と回答した人もいました。

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年12月28日~2022年1月4日 調査人数:87人(21歳~40歳以上の女性)の回答より抜粋 ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

つわりが夜ひどくて眠れなくなるのはなぜ?

夜つわりがひどい女性のイメージ

夕方や夜につわりがひどくなって眠れなくなるのはなぜなのでしょうか。

日中の疲れ

まず考えられるのは、日中に溜まった疲れの影響です。

つわりが起こる原因は、実はまだよくわかっていません。妊娠によるホルモン分泌の変化や心理的ストレス[*1]など、いくつもの要因が影響して起こるのではないかと言われています。

人によって夜つわりがひどくなる理由もはっきりとはわかりませんが、昼間に感じたストレスや心身の疲れが引き金になっている可能性はあります。

低血糖になっている?

「低血糖」とは、血液中のブドウ糖の濃度が正常より低くなった状態のことです。妊娠中、つわりによるおう吐がひどいと、体内でブドウ糖が足りなくなり低血糖状態になる可能性があります。

低血糖の症状で、冷や汗や寒気、動悸などが出るほかに「気持ちが悪くなる」こともあります。日中つわりがひどくうまく食事がとれないために、夕方や夜間に低血糖状態になって余計つわりがひどくなっているのかもしれません。

逆流性食道炎の可能性も

妊娠すると、胃から胃酸が逆流して食道に炎症を起こす「逆流性食道炎(胃食道逆流症。GERD)」を起こしやすくなります。

妊娠すると、女性ホルモンの増加により胃と食道のつなぎ目にある「噴門」のしまりが悪くなるうえ、子宮が大きくなっていくと腹圧が高まるので、胃から食道へと胃酸などの内容物が逆流しやすくなるからです。

逆流性食道炎の症状

・胸やけ
・呑酸(酸っぱいものが口まで上がってくる)
・喉や胸の痛み
・咳

などの症状があります。

横になると重力の抑えがなくなったり、睡眠中は飲み込む動作が少なくなったり、唾液が減ったりするので、逆流性食道炎の症状は悪化します。そのため、夜寝るときにつわりがひどくなると感じる場合は、胃酸の逆流が原因の可能性もあります。

妊娠中、夜眠れなくなることは多い

実は、妊娠中はつわりの有無に関係なく、睡眠の問題が起こりやすい時期です。妊婦さんの80%近くが睡眠の問題や不眠症を経験すると報告している研究もあります[*2]。

夜間はやく眠りたいのになかなか寝ることができないことで、日中よりもつわりが気になってしまい、また眠れなくなる……という悪循環に陥っている可能性もあります。

夜眠りづらくなる時期

エコー写真と妊娠検査薬と体温計

妊婦さんが夜なかなか眠れないのはよくあることですが、睡眠の問題がとくに起こりやすい妊娠時期もあります。

妊娠初期はホルモン変化が原因に

妊娠初期はつわりの起こりやすい時期ですが、睡眠の問題もよく起こる時期です。これは、妊娠すると分泌量が増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の影響ではないかと言われています。

プロゲステロンには、体温を「0.3~0.5℃ほど」上昇させる働きがあります。ヒトは脳の温度が自然に下がるときに眠気を感じやすいと言われているのですが、妊娠初期は高温期が続くので夜になってもなかなか寝付きにくくなることがあるのです。

だいたい妊娠中期になるとプロゲステロンによる体温上昇は落ち着いてきますが、一度乱れた睡眠サイクルがなかなか元に戻らないと、夜寝入りづらい状態が続く可能性もあります。

妊娠中期以降は逆流性食道炎が起こりやすくなる

通常のつわりは、個人差は大きいものの、妊娠中期までには治まっていく人が多いと言われています。一方で、逆流性食道炎の場合は、お腹の赤ちゃんが育っていき子宮が大きくなってくる妊娠中期以降に現れやすくなります。

また、通常のつわりの場合は空腹時に症状がひどくなりますが、胃酸の逆流の場合は食後に不快な症状が現れることが多くなります。

妊娠後期は大きなお腹が眠りを邪魔する

妊娠後期になると、今度は大きくなったお腹により睡眠トラブルが起こることも。仰向けに寝ると気持ちが悪くなるので寝る体勢がなかなか定まらなかったり、胎動、頻尿、腰痛などで眠りを邪魔されたりすることも増え、夜間の睡眠が浅くなってしまいがちです。

夜深く眠れないと、昼間に眠気を感じることが増えるので、逆に夜は寝入りづらくなることも。こうした状態になる人が多いので、妊娠後期も睡眠の問題が起こりやすい時期と言われています。

夜つわりで眠れないときの対処法3つ

横になる女性

夜、つわりでなかなか眠れないときに試してみてほしい対処法を3つ紹介します。

(1)ビスケットなどを少し食べる

もし、空腹によって気持ち悪くなっている可能性があるなら、ビスケットやトーストなど低脂肪で消化しやすいものを少し口にしてみてください。空腹すぎると余計に気持ちが悪くなります。

なお、妊娠中は歯肉炎にかかりやすくなっているので、食べたあとはできれば歯磨きしてから就寝したいところですが、難しければうがいでも構いません。

(2)逆流してくる感じのときは寝る前に食べない

反対に、横になると食べたものや胃酸が逆流してくる感じで気持ちが悪くなる人は、「横になる3時間前まで」に食事を終わらせておくと、食べ物の消化が進むので、逆流は少なくなります[*3]。

(3)左を下にして横向きで寝る

妊娠中、横になるときは「左を下にした横向き」になると寝やすくなります。この体勢では心臓から全身やお腹の赤ちゃんへと血液が流れやすくなると言われています[*4]。

また、この体勢だと他の体勢に比べて、胃の内容物が食道に逆流することが少なくなるので、胃酸の逆流で気持ちが悪くなる場合にも効果的です[*3]。

眠れないときは無理しない

夜なかなか眠れないと「早く寝ないと」と焦ってしまうかもしれませんが、焦りや不安があると緊張が高まって余計眠れなくなることも。

「眠くなったら寝ればいい」ぐらいに考えて、まずは心身ともにリラックスしたほうが寝付きやすくなることもあります。

妊娠中にも夜眠りやすくなるコツ3つ|睡眠サイクルと環境の整え方

朝日を浴びる女性

妊娠中は睡眠の問題が起こりやすい時期ですが、生活リズムを整えると、睡眠サイクルが整い、夜自然に眠気をもよおすのに役立ちます。このあと、普段から気を付けたい安眠のコツを3つ紹介します。

(1)朝起きたら朝日を浴びる&朝ごはんを食べる

睡眠サイクルを整えるのにもっとも強力な方法は、「朝日を浴びること」です。これによって眠気を起こす「メラトニン」というホルモンの分泌を抑えることができます。

とくに起床直後に光を浴びるのが効果的。夜つわりでなかなか眠れず睡眠不足が続いているときも、できるだけ朝は起きて日の光を浴びるようにしましょう。

朝ごはんを食べることも、乱れた睡眠サイクルを整えるのに役立ちます。つわり中は口にできるもので良いので、できるだけ朝食を摂るようにしましょう。

(2)寝る2、3時間前に入浴

寝る2、3時間前にお風呂に入ると、就寝時間にスムーズに寝入るのに役立ちます。お風呂で一時的に体温は上がりますが、これが下がっていくときに眠気を感じやすくなるからです[*5]。

逆に、寝る直前に入浴してしまうとかえって寝つきが悪くなるので、夜眠れなくて困っているときは避けたほうが良いでしょう。

(3)寝る前にスマホを見ない

スマホやタブレット、パソコン、テレビなどの画面は、「ブルーライト」を発しています。この光には眠気を起こすメラトニンの分泌を妨げる働きがあるので、寝る前には見ないようにしてください。

寝る2~3時間前にはこうした機器の画面はオフにしましょう[*6]。

つわりがひどくて辛いときは

医師のイメージ

昼夜関係なく、つわりがひどくて辛いときはかかりつけ医に相談しましょう。

つらいときは医師に相談して

つわりは多くの妊婦さんが経験するものですが、あまりひどい場合は医療機関での治療が必要になることもあります。

・一日中何度も吐く

・食事がとれず水も飲めない。尿の量が減った

・体重がどんどん減っている(とくに元の5%以上減った)

以上のような症状があるときは、主治医に相談してみてください。点滴で治療したり、状態によっては入院が必要になったりすることもあります。

まとめ

妊婦さんと幼児

つわりで眠れない場合に考えられる原因と、そうなりやすい時期、眠れなくてつらいときに試してみて欲しい対処法と普段から気を付けたい安眠のコツを解説しました。

もともと妊娠中は睡眠トラブルが起こりやすい時期。ひどいつわりも加わり、余計眠れなくて困っている妊婦さんは多いことでしょう。つわりは原因がはっきりわかっておらず、こうすれば必ず良くなるという対処法もないのが辛いところですが、少しでも楽になる方法がないか、まずはできる範囲でいろいろ工夫してみてください。

ただし、ひとりで無理をし過ぎず、辛い症状が続く場合は主治医に相談することも大切です。

(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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