【医師監修】妊娠初期までに葉酸が必要な3つの理由と注意点

【医師監修】妊娠初期までに葉酸が必要な3つの理由と注意点

赤ちゃんの健やかな成長のために、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠初期までに葉酸が不可欠な理由を知っておきましょう。


妊娠初期に葉酸が大切な理由

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※画像はイメージです

葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミン(水に溶けやすいビタミン)のひとつです。赤血球をつくる働きを助けたり、細胞の増殖に役立ったりします。大人にとっても必要な栄養素ですが、お腹の赤ちゃんは盛んに細胞を増殖させる必要があるため、葉酸がより重要になってきます。お腹の赤ちゃんの成長のために、妊娠前~妊娠初期にかけて、意識して葉酸を摂取しましょう。

妊娠前後に葉酸を摂取することの重要性

厚生労働省は、妊娠を計画している女性に対して、葉酸を摂取するよう通知しています[*1]。後で詳しくご紹介しますが、その理由は「神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)」の予防が期待できるからです。「神経管閉鎖障害」はお腹の中の赤ちゃんに起こる先天異常の1つで、重い障害が残るケースや、死産につながるケースもあります。

葉酸摂取の重要性についてはアメリカ・ヨーロッパ等では早くから知られており、アメリカではパンやパスタなどに葉酸を添加するなどして、葉酸の摂取を強く推進しています。

妊娠がわかってから葉酸を摂取するのでは遅い?

赤ちゃんの先天異常の多くは、妊娠直後から10週までに起こります。つまり、妊娠に気づく前の時期も重要なため、妊娠したら葉酸を摂取するのではなく、その前から注意しておく必要があります。妊娠の可能性がある女性、妊娠を計画している女性は、意識して葉酸を摂取するようにしましょう。なお、厚生労働省が神経管閉鎖障害の予防のために葉酸を摂取するよう推奨している時期は、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの期間です[*1]。ただし、妊娠が判明してからの摂取でも効果がみられたとする報告もあります。

葉酸の摂取によりリスク低減が期待できる胎児の障害

神経管閉鎖障害

一定量の葉酸の摂取により、そのリスクを大きく下げることができる先天異常が、「神経管閉鎖障害」です。神経管とは、お腹の赤ちゃんが成長する早い時期に作られる部位で、のちの脳や脊髄のもとになります。日本では、出生した赤ちゃん1万人に対して約6人の割合で神経管閉鎖障害がみられますが、適切な葉酸摂取により、約50~70%は予防できるともいわれています[*2]。

■二分脊椎(にぶんせきつい)
神経管の下部に異常が生じると、下半身や膀胱・大腸の機能などに障害が出てしまいます。これを二分脊椎といい、日本では、神経管閉鎖障害の大部分を占めています。

■無脳症
神経管の上部に異常が生じると、赤ちゃんの脳がうまく形成されません。これが無脳症で、流産や死産につながります。

口蓋裂・口唇裂

葉酸を摂取することでリスク低減の可能性がある赤ちゃんの先天異常に、口蓋裂(こうがいれつ)・口唇裂(こうしんれつ)があります。以下で、その症状と特徴を確認しておきましょう。

■口蓋裂
口蓋とは口の中の天井部分のこと。ここが裂けている先天異常が、口蓋裂です。

■口唇裂
その名の通り、唇が割れて裂けたようになってしまう先天異常です。割れ目は唇だけでなく鼻まで届いてしまうこともあります。また、口蓋裂と合併して現れるケースもあります。

口蓋裂、口唇裂は、国内では生まれてくる赤ちゃんの500人に1人の割合で起きているといわれています。なお、口蓋裂・口唇裂を引き起こす要因には葉酸不足だけではなく複数あり、原因不明で起こる場合も多いとされています。

妊娠初期の葉酸摂取で気をつけること

食事だけで不足する分はサプリメントで

厚生労働省が推奨している葉酸の摂取方法は、食事だけではありません。食事に加えて400マイクログラムは、サプリメントなどの栄養補助食品から摂取するように推奨されています[*1]。

サプリメントで葉酸を摂取する理由は、生体利用効率が良いから。一般の食品に含まれる「食事性葉酸」は摂取しても50%ほどしか体内で利用されませんが、それに比べ、サプリメントなどに配合されている「モノグルタミン酸型の葉酸」は利用効率が2倍ほど良いとされています。つまり、口にしたうちの大半が葉酸として吸収され、利用されるということ。バランスの良い食事から葉酸を摂取することも大切ですが、妊娠初期は、確実に葉酸を摂取するため、サプリメントの利用もおすすめです。

サプリメントを摂取しすぎないこと

サプリメントは毎日無理なく充分な量が摂取できますが、あくまでも適量を守り、決して飲み過ぎないようにしてください。葉酸の1日の上限摂取量は「1,000マイクログラム」に設定されています[*1]。サプリメントを飲む際には、1粒あたりの含有量をきちんと確認して、必要量のみを摂取するようにしましょう。

まとめ

葉酸不足だけが先天異常の原因となるわけではありませんが、葉酸を摂取することで赤ちゃんが先天異常となるリスクを減らすことができるのは間違いないようです。正しい知識を身につけて、効果的に摂取するようにしましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

参考資料
[*1]厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性 等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
[*2]独立行政法人国民生活センター「胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品」
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110526_1.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

※記事の修正を行いました(2019.06.12)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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