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2022年12月05日 12:34 更新

妊婦はマグロはどのくらい食べていい?妊娠中に「食べ過ぎ注意」な魚について【管理栄養士監修】

マグロが好き、という人は多いと思いますが、妊娠中はマグロを食べ過ぎないようにと厚生労働省は注意喚起しています。そこで今回は、妊娠中はどれくらいまでならマグロを食べていいのか、食べ過ぎるとどのような影響があるのか、などをまとめました。

妊婦はマグロを食べない方がよい?

妊婦さんでも、マグロは食べてもかまいません。ただし、マグロの種類によっては食べる量に注意が必要です。

食べてもよいが摂取量に注意

栄養豊富なマグロ
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魚は良質なたんぱく質やカルシウムをはじめ、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という脂肪酸が豊富に含まれています。DHAやEPAは赤ちゃんの神経組織の生成のために重要な働きをもっているので、妊娠中も積極的に食べたい食材です。

ただ、魚の体には自然界に存在する水銀が取り込まれているため、妊娠中は極端に食べ過ぎると、おなかの赤ちゃんに水銀が影響する可能性があることが、これまでの研究でわかっています。

お母さんの食べた魚に含まれる水銀がおなかの赤ちゃんの体内に入った場合、赤ちゃんはそれを排出することができません。妊婦さんが水銀含有量の多い魚を極端に食べ続けていると、生まれてきた赤ちゃんはその影響で、音を聞いた時の反応がわずか(1/1000秒以下のレベル)に遅れることがあるそうです[*1]。

魚の中でも、マグロは種類によって水銀の含有量が高いものがあるので、妊娠中は食べる量に注意するように、と厚生労働省は注意を促しています。

妊婦がマグロを食べるときの目安量

妊娠中はマグロを食べられないのかと言えば、そんなことはありません。厚生労働省によると、たとえばマグロの仲間でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶詰については、水銀の含有量が低いため、妊婦さんでも量を気にせず食べても大丈夫ということです。

また、摂取量に注意が必要なマグロでも、ミナミマグロ(インドマグロ)の場合は1回80gとして週に2回まで(1週間で約160gまで)、クロマグロ(本マグロ)とメバチマグロはそれぞれ週に1回、約80gまでが目安量とされています[*2]。

ただし、これは3種類のマグロのうち1週間に1種類だけを食べる場合の目安です。たとえば、同じ週にミナミマグロとクロマグロを食べる場合は、「ミナミマグロ80gとクロマグロ40gをそれぞれ週に1回ずつ」というように、種類によって回数と量を調節し、トータルで食べ過ぎにならないようにすることが必要です。


詳しくはこちらも参考にしてください
(妊娠中の魚の食べ方についてわかりやすくまとまっています)
▶︎ 厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」

摂取量以外にもある、妊婦のマグロを食べる際の注意点

マグロをはじめとする魚介類は、水銀の影響を考えて食べる量に気をつけるほか、食中毒の心配もあるため食べ方にも注意しましょう。

生で食べるのは極力避ける

食中毒に気をつけたいマグロ
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妊婦さんがマグロを食べる際には、できるだけ生のまま食べないようにすることも大切です。というのは、マグロだけでなく魚には、腸炎ビブリオなどの細菌やアニサキスという寄生虫などがいて、刺身やすしなどで生のまま食べると食中毒を起こす恐れがあるからです。

腸炎ビブリオは十分に加熱(60℃で10分以上が目安)すれば死滅します。また、アニサキスは冷凍(̠−20℃で24時間以上)か加熱(70℃以上、または60℃なら1分)で死滅します。そのため、流通過程で冷凍してあればアニサキスでの食中毒を起こすことはまずありませんが、釣ったマグロ幼魚(ヨコワ)などを自家用冷蔵庫で冷凍した場合などでは死滅していないこともあります。

いずれにしても、妊娠中はマグロ以外の魚介類も新鮮なものを選んで生食を避け、加熱してから食べる方が安心です。

妊娠中のマグロに関するよくある疑問

妊娠がはっきりわかる前にマグロを食べていた場合、水銀の影響はどうなのか気になるかもしれませんね。でも、心配しすぎないようにしましょう。

妊娠発覚前に食べたマグロも影響する?

妊娠前に魚を食べる様子
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お母さんの体内に入った水銀は、代謝・排出されるので、体内に取り込まれた量は約2ヶ月で半減します。お母さんの体の中の水銀は胎盤を通して赤ちゃんの体内に取り込まれますが、胎盤の形成がほぼ完了するのは妊娠4ヶ月ごろです。

ですから、妊娠に気づいた時から摂取量に気をつければ、水銀が赤ちゃんに影響する心配はまずないでしょう。ただ、特に妊娠初期には、マグロをはじめ水銀の多く含まれる魚介類を毎日のようにたくさん食べるのはやめてくださいね。

授乳中もマグロは避けるべき?

内閣府の食品安全委員会における食品健康影響評価によると、母乳を飲むことで赤ちゃんの体に取り込まれる水銀はごく微量とされています。ですから、授乳中のお母さんは妊娠中ほどマグロを食べる量は気にしなくていいでしょう。

むしろ、マグロを含めた魚は栄養価の高い食材なので、水銀を心配するあまり魚の摂取量をセーブするといったことがないようにしたいものですね。

マグロ以外の魚は大丈夫?

水銀はマグロのほか、キダイ、マカジキ、クロムツ、キンメダイ、メカジキなどの魚も含有量が高く、食べる量には注意が必要です。また、腸炎ビブリオ、アニサキスなどが原因の食中毒は、マグロ以外のさまざまな魚介類でも起こることがあります。

ですから、マグロだけでなく魚介類はどれも、妊婦さんは含まれる水銀量をチェックして食べる量に注意し、生のまま食べないようにすることが大切です。

まとめ

マグロのソテー
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手軽に手に入り食べやすいマグロですが、妊娠中は食べる量に気をつけて、できるだけ生食を避けましょう。ただ、マグロだけでなく魚は栄養が豊富で体にいいので、妊娠中は特に積極的にメニューに取り入れていきたいですね。

(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

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