
妊婦でも甘酒を飲める?酒粕、米麹…妊娠中でも大丈夫な甘酒とは?【管理栄養士監修】
健康や美容にいいとされ、「飲む点滴」とも言われる甘酒。妊娠中にお酒を飲むのはNGですが、妊婦さんが飲んでもいいのでしょうか? 今回は、妊娠中の甘酒についてと、含まれる栄養や効果などについてまとめました。
妊婦もOKの甘酒と要注意の甘酒

甘酒には2つの種類があり、作り方やアルコールの有無、栄養成分が違っています。そのうちの1種類はノンアルコールなので、妊娠中に飲んでも大丈夫です。
米麹の甘酒はノンアルコール!妊婦でも大丈夫
甘酒は、米麹または酒粕から作られています。米麹とは、蒸したお米に麹菌を繁殖させたもので、甘酒のほか酒やみりん、みそなどの原料でもあります。米麹から作る甘酒はアルコールを含まないので、妊婦さんでも安心して飲むことができます。
アルコールが入った酒粕の甘酒は要注意
酒粕は、清酒を作るときに圧搾と呼ばれる工程で残った搾りかすなので、酒粕で作った甘酒にはごく少量のアルコールが含まれます。とはいえ、アルコール度数が1%未満のものは酒類には入らないと酒税法で決められているので、酒粕の甘酒でも清涼飲料水として市販されています。
ただ、甘酒を酒粕から手作りした場合は、どの程度アルコールが含まれるかわかりません。酒粕の甘酒でも大量に飲まなければ、おなかの赤ちゃんへの影響はまず心配ないと考えられますが、気になる場合は米麹の甘酒を飲むほうが安心です。
妊娠中もおすすめ!米麹の甘酒に期待できる効果

米麹の甘酒はノンアルコールなうえ、体に良いとされる栄養素が何種類も含まれているので、妊婦さんにもおすすめな飲み物です。
妊娠時によくある便秘の予防に役立つ
米麹の甘酒には、さまざまな種類の「オリゴ糖」が豊富に含まれています。 オリゴ糖には次のような特徴があります[*1]。
(1)小腸では吸収されずに大腸まで到達するので、エネルギーになりにくい
(2)大腸内の有害菌の増殖を抑えビフィズス菌の活動を助ける
(3)甘味が低く、虫歯になりにくい
さらに、米麹菌からできる酸性プロテアーゼというタンパク質分解酵素には、ビフィズス菌などの腸内善玉菌をおおいに増やす働きがあると言われています[*2]。
妊娠中は、ホルモン分泌の変化や自律神経が不安定になるなどの影響で便秘をしやすくなります。米麹の甘酒に含まれるオリゴ糖は、おなかの調子を整える働きがあるので、便秘しやすい妊婦さんはとくに米麹の甘酒を飲むと役立つかもしれません。
食欲がないときに栄養補給できる
米麹の甘酒は「飲む点滴」言われるほど、さまざまな栄養素が含まれています。糖や脂質などの代謝を助けるビタミンB群、おなかの赤ちゃんの発育に不可欠な葉酸、生命を維持する組織のもとになる必須アミノ酸など、どれも体にとってとても重要な栄養素ばかります。
そこで、妊娠中につわりなどで食欲がないときには、米麹の甘酒がおすすめです。甘みがあるので飲みやすく、食事から摂れない栄養素を補ってくれますよ。
妊娠中の甘酒に関するよくある疑問

甘酒を1日に飲んでいい目安量や、酒粕の甘酒を飲んでしまった場合など、妊婦さんと甘酒に関する質問にお答えます。
甘酒でも太る?妊婦の1日の目安量は?
妊娠中、甘酒を1日にどのくらいまで飲んでいいかという目安は特にありません。ただ、妊婦さんでも飲める米麹の甘酒の栄養成分は、ご飯やパン、麺類といった主食に含まれるものと似ていて、カロリーも高めです。
ごはん1杯150gのカロリーは252kcalで、米麹の甘酒はコップ1杯150gで114 kcalです[*3]。米麹の甘酒を1杯飲むと、ご飯をお茶碗半分くらい食べたことになるのですから、飲み過ぎれば太ってしまうことも。
妊娠中は、食事が摂れずに栄養補給のために飲む場合と、食事も通常通り食べたうえで飲む場合があると思いますが、上記のカロリーを目安にご飯など主食の量を調節し、飲み過ぎないよう注意しましょう。
アルコール入りの甘酒を飲んでしまったらどうすればよい?
妊娠中、酒麹の甘酒を少々飲んでしまったとしても、すぐに赤ちゃんに何か影響が出ることはまずないでしょう。
ただし、酒粕から手作りした甘酒は、濃い目に作るとアルコール度数が数%と高くなってしまう可能性もあります。妊婦さんは飲まないようにするほうがいいでしょう。
まとめ

甘酒はお酒、と思っている人もいるかもしれませんが、米麹の甘酒ならアルコールフリー。体に良い栄養素が含まれ、おなかの調子を整えて便秘予防にも役立ちます。カロリーが高めなので量には気をつけながら、妊娠中も甘酒でほっと一息ついてみてはいかがですか?
(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)
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