取材・文:瑞姫
撮影:三浦晃一
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
成海璃子さんといえば、2000年に子役としてデビューし、彼女が12歳の時にドラマ初主演を務めた「瑠璃の島」の印象が、当時小学生の私にとっては衝撃的だった。同世代の女の子なのにこんなにも自分とは違うのかと思うほど大人びていたし、何よりテレビの中で放つ圧倒的な演技力と、人を惹きつけるミステリアスな雰囲気に釘付けになったのだ。
しかし、そんな成海さんのイメージは出演作によって変わっていく。テレビ、映画など主演作多数だが、その度に柔らかい雰囲気をまとったり、儚げな雰囲気を漂わせたり、はつらつとした太陽のような明るさを見せたり……。20年以上にも渡る芸能人生の中で見せてきた成海さんの演技力の幅は計り知れない。止まることなく、さまざまな役柄に挑戦してきたように思う。
そんな成海さんが出演する、2025年1月より放送予定のABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課MOGURA(もぐら)』は、これまでに見たことがないような“新感覚のHIPHOPエンターテインメント”だという。今回はドラマの魅力や成海さん演じる役柄の見どころ、そして長きに渡る芸能生活でさまざまなことに挑戦し続けてこれた理由について聞いた。
■いまだかつて誰も見たことのない作品
ABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA(もぐら)』は、ラッパーの般若さんが主演を務める。さらに、毎回人気のラッパーが登場するなど、新感覚のHIPHOPエンターテインメントとはいうものの、見ていない者にとっては正直想像がつかない。
成海さんは今回のお話を聞いた時のことについて「般若さんが俳優活動もされていることは知っていたんですが、他にもたくさんラッパーの方が出るということで、どんなドラマになるんだろうという興味が一気に湧いてきました。私は昔から般若さんの曲も聴いてましたし、なかなかご一緒できる機会ってそう多くはないですし、絶対に受けたいなとすぐにお返事しました。誰もいまだ見たことのないような作品だと思います」と、胸を高鳴らせた様子で振り返る。
ドラマの中で成海は警視庁・麻薬取締課の高橋舞子を演じているが、いったいどんな役柄なのか。
「一筋縄ではいかない複雑な心境にある結構不思議な役です。だからそれを解釈しながら演じる作業が難しくもあり、演じていて楽しかったですね。般若さんに“ラッパーとは”と指南するまさかの役所なんですよ。ある夢に向かってまっすぐ進んでいく、とても純粋な人間です」
数々の役に挑戦した成海さんでも、難しいと口にした今回の役。どういった部分に苦労したかを具体的に聞くと、「この行動はどうして? とか、なんで? とか思ってしまうような行動をとる役柄です。境遇を想像すると共感できるセリフもたくさんあったんですけど、純粋で真っ直ぐが故の危うさみたいなものがあったりして、そこを落とし込むのに少し苦労しました。現場で監督とお話ししながら作っていきました」と明かしてくれた。
誰もいまだ見たことのないような作品の難しい役所でも、自分の中に落とし込んで、現場で監督と擦り合わせながら演じていく。
言葉で言えば簡単なように思えるが、その難しさは計り知れない。20年以上にも渡る成海さんのキャリアのすごさを改めて感じさせられる。
■大好きだったアーティストとの共演
本作は俳優が本業ではなかったラッパーの方々が多数出演している。様々な役と向き合ってきた成海さんは現場でどのような役割だったのかと尋ねると、「普段の現場と同じで、変わったことは無かったです」と答えてくれた。
「単純に興味があるので、自分から話しかけたりはしたんですけど、演技の話とかってそんなにしてないかもしれないです。言いたい内容が変わらなければ、多少セリフの言い回しが変わっても良いと思うんですよね。皆さん、私たちとは違う瞬発力の高さがあって、臨機応変に起こる化学反応が楽しかったです。現場の雰囲気は賑やかでした」
中高生からHIPHOPが好きで、般若さんの曲も通学路で聴いていたという成海さん。今回の般若さんをはじめ、さまざまなラッパーの方との共演はうれしかったそうで、「こんなことがあるのか! と本当にうれしくて、ご褒美かなと思いました。私は口下手な方なんですけど、般若さんには撮影初日に緊張しつつ自分から『ずっと聞いてます』って話しかけました。作中でも一番一緒にいることが多い役所だったので、般若さんのいろんな一面も見れましたし、いろんなお話もさせてもらえて光栄でしたね。怖い人じゃなくてよかったです」と喜びいっぱいの様子で明かしてくれた。
さらに、他のラッパーの方にも自分から話しかけたそうで、「『台詞はどうやって覚えるんですか?』って聞かれたんですけど、私は地道に毎日コツコツやるタイプなので……。昔はパッとすぐ覚えられたものが、今は時間がかかるようにもなってきたので、コツコツと。自宅でソファに座ってコーヒー飲みながらぶつぶつやってますね。シンプルです」と、役者の先輩としての一面も見せていた。
■成海璃子が挑戦できる理由
幼いころからお芝居を続けてきて、確かな実力を持ちながらも、本作品のように常にチャレンジングなお仕事をしている印象がある成海さん。その原動力や挑戦し続けられる理由について尋ねると、「純粋に自分がどんなことでも楽しみたいです。あまり狭めずどんなジャンルでも通用する俳優になりたいので」と真っ直ぐな瞳で話してくれた。
「意思が強そうな見た目をしてるとよく言われるので、戦ってたりとか、孤独を感じたりする役柄が多い印象があるかもしれませんが(笑)、自分の視点だけだとどうしても偏りが出てしまうので、マネージャーさんと相談しながら、客観的な意見も聞きつつ、なるべく、楽しめそうなものをやろうって思ってます」
挑戦することが良いことだとは分かっているが、実際には“挑戦して失敗することが怖い”と安定を求める人も多い。そんな人に向けたアドバイスを成海さんに求めると、「人生一度きりなので、自分の心の声に従っていいんじゃないかなと思います。私はわりとネガティブな思考なのでいろいろ考えちゃうんですけど。挑戦した方が後悔は無いですからね。どんなことでも、楽しめそうなのを選んでるのかもしれないです」と成海さんらしくも、シンプルな答えが返ってきた。
そこで、ふと疑問に思い「芸能の仕事をやめたいと思ったことはないのでしょうか」と尋ねると、成海さんは「自信を無くして落ち込んだりもしますけど、辞めて何ができるの? って思いますし、本当にこの業界しか知らないので、辞めることはないと思います」とキッパリと宣言してくれた。
そして、落ち込んだ時のリフレッシュ方法として「音楽を聞きながら歩くとスッキリしますね。HIPHOPをはじめオールジャンルの曲を聴きながら30分から1時間くらい歩く。無心で足を踏み出してるとクリアになるので、散歩をよくしてます」とのアドバイスも。
さまざまな役柄に挑戦し、確かな演技力で実力をつけてきた成海さんでも、私たちと同じように自信を無くして落ち込んだりすることもあるのだと思うと、少し安心すると同時に、自分もマイナスに触れた感情をプラスに持っていくリフレッシュ方法を持っておくと、大変な日々の中でも“頑張ろう”と思えるような気がして、見習いたいなと強く思える。
最後に成海さんはドラマの見どころについて聞くと、「般若さんがラップ初心者の役を演じるのが私としてはたまらなくおもしろくて見どころです。みなさんが見たことの無いようなドラマになっていると思います。とにかく多くの方に見てほしいなと思います」とメッセージを送ってくれた。
“新感覚のHIPHOPエンターテインメント”という、聞いたことの無い新ジャンル。インタビューをしてもまだまだその全貌は見えないが、数々の主演作を演じ抜いてきた成海さんが難しいと感じながらも、ワクワクした気持ちの中で楽しく演じてきたことを聞くと、今回演じる役所で見せる新たな成海さんの演技の一面も含め、配信を楽しみにせずにはいられない。
衣装協力
・オールインワン
・靴
・ネックレス/イヤリング
・ブレスレット
『警視庁麻薬取締課 MOGURA』
ラップスキルのある警察官が、覚醒剤や麻薬などの違法薬物を摘発するためにラップグループに潜入捜査を行ったという実話を基に描く、「ABEMA」オリジナルのHIPHOPエンタメドラマ。2025年1月より、放送予定。
<あらすじ>
大麻の使用が疑われるラップグループの一斉摘発を目的に、
現役刑事である主人公・伊弉諾(いざなぎ)に突如ラップグループへの潜入捜査が命じられるー。
潜入先での抗争や新しい真実に葛藤する主人公を描いたHIP HOPエンタメドラマ。
キャスト:成海璃子、吉村界人、Jin Dogg、G-k.i.d、Red Eye、CYBER RUI、Jinmenusagi、ELIONE、Ashley、葛飾心板橋駿谷、Mummy-D、眞木蔵人、吹越満、風間俊介
企画・プロデュース:鈴木おさむ
原案:漢 a.k.a. GAMI
監督:志真健太郎、南虎我
脚本:ナラミハル、秋葉恋
制作:BABEL LABEL
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