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すさまじいパワーをもらえる……! 草間彌生ら女性作家のアート展

#トレンドニュース

小浜みゆ

10月16日まで、東京・天王洲のWHAT MUSEUMでOKETA COLLECTION「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展が開催中。アートコレクターの桶田俊二・聖子夫妻が持つ貴重なコレクションから、「女性作家」の作品を中心とした現代アートを36点展示しています。見終わった後は、アートからあふれでるパワーに、力をもらえるような感覚になります……!

不安な世の中でも、力強く描く女性たちにフォーカス

近藤亜樹《ネバーランド》2021

WHAT MUSEUMでは、OKETA COLLECTIONを4〜7月まで開催していた前期「Mariage −骨董から現代アート−」展と、現在開催中の後期「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展の二期で紹介中。前期は20〜30代を中心に多くの人が足を運び、アートブームも相まって注目を集めました。

今回展示されているのはコロナ禍の2〜3年間で集めた作品が中心。桶田夫妻は生きづらく不安を感じる今の世の中でも力強く描く女性作家たちの作品に感銘を受け、今回の展覧会が実現しました。

ジュリア・チャン《YES YOU CAN》2019 ©Julia Chiang Courtesy of NANZUKA

出展作家は国内外含め16名。90代の草間彌生さんから20代の山下紘加さんまで、幅広い年代の女性の作品が展示されています。展示のスタートは展覧会のタイトルにもなっているジュリア・チャンの作品《YES YOU CAN》。未来に対して否定的な考えや出来事が広がる今、希望やエネルギーを肯定する作品が必要なのでは、という作家の想いが込められています。

16名の作家のうち、草間彌生さん、近藤亜樹さん、ジャデ・ファドジュティミさん、山下紘加さんの4名の作品は個展形式で展示。ジャデ・ファドジュティミさんはロンドンの「テート・コレクション」に最年少で収蔵されるなど、世界的に注目されているイギリス人の若手アーティストです。筆遣いが大胆で、とてもエネルギッシュ!

大作3点に囲まれる「草間彌生ルーム」も。生きる力を実感

桶田夫妻が現代アートの収集をはじめるきっかけとなった草間彌生さんの作品は5点も展示。草間彌生さんの作品はほかの場所でも見ることができますが、194.0cm×259.0cmという巨大な200号サイズのキャンパスに描かれた《南瓜》はとても珍しいのです! 草間彌生さんの作品は撮影不可なので、草間彌生さんの大作3点の絵画に囲まれるように鑑賞できる「草間彌生ルーム」はぜひ現地でお楽しみください。

ちなみに、なぜ草間さんが網目や水玉をモチーフにしているかご存知でしょうか。実は幼少の頃から幻視や幻聴を経験し、その心理的なオブセッション(強迫観念)から乗り越えるために描き続けているそう。展示では1960年代にニューヨークでパフォーマンスをしていた若かりし草間さんの写真も見ることができます。

この展覧会で、ぜひとも注目してほしい作家が近藤亜樹さん。1987年北海道生まれで、カラフルな色使いに心惹かれます。

近藤亜樹《HOUSE》2017 Copyright the artist. Courtesy of ShugoArts.

2017年に描かれた《HOUSE》は家族をテーマに描いた作品。よく見るとみんなスプーンを持っていて、近藤さんの夫が営んでいたカレー店に仲間が家族のように集う様子が描かれています。

近藤亜樹《星、光る》2021 Copyright the artist. Courtesy of ShugoArts.

しかし2018年、近藤さんの夫が急逝。子どもを育てながら描き続けて完成した作品が2021年の《星、光る》です。横幅が5mを超える大作から感じるのは、生きることへの希望の光。写真を通してではなく「生」の作品を見ると、何か不安なことがあっても、勇気をもらえるような、不思議なパワーがあふれています!

11人のアーティストの作品が集まっている展示室では清川あさみさん、鍵岡リグレアンヌさん、ロッカクアヤコさんなどの作品がずらり。ロッカクアヤコさんは筆を使わず「手」で直接描き、色彩豊かな作品が特徴です。

女性作家たちのエネルギーを受けて、ポジティブな気分になれる、OKETA COLLECTION「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展。実際に見に行き、私も「頑張らなきゃ……!」と強く思った素敵な展覧会でした。天王洲にはアートにまつわるカフェや画材ラボもあるので、一緒に訪れるのもおすすめですよ。

施設概要

WHAT MUSEUM

展覧会名:OKETA COLLECTION「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展
会期:2022年8月6日~10月16日
会場:WHAT MUSEUM 2階 (〒140-0002 東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号)
開館時間:火~日 11時~18時(最終入場17時)月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)
入場料:一般1,200円、大学生/専門学生 700円、高校生以下 無料
※オンラインチケット制。同時開催「建築模型展 −文化と思考の変遷−」の観覧料を含む。

URL:https://what.warehouseofart.org/exhibitions/oketa-collection_yesyoucan

(撮影・取材・文:小浜みゆ)

※この記事は2022年08月20日に公開されたものです

小浜みゆ

神奈川県在住の旅ライター。旅が大好きなのでフットワークは軽く、国内・海外の素敵な場所を求めてどこへでも。得意ジャンルはホテル・リゾート・美容。写真にこだわります。

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