アナウンサー・青木源太に学ぶ「上司とのコミュニケーション」
ごく平凡な会社員として、会社の片隅で働く編集部・ライターが、今気になるビジネスパーソンにインタビューする連載【この会社の片隅に】。今回は、フリーアナウンサーの青木源太さんにインタビュー。「上司とのコミュニケーション」について聞きました!
撮影:大嶋千尋
取材・文:まっつん/マイナビウーマン編集部
上司と接する時って、「自分のことを気に入って欲しい。この子に任せて良かったと思ってもらいたい!」と考えてしまうと、緊張しすぎて他人行儀になったり、言いたいことがうまく伝えられなかったりする。
もっと自信を持って、上手に自分の考えを伝えることができたら、上司との関係性がより良いものになるかもしれない……。
今回は、日本テレビで会社員を経験し、自身も口下手だったというフリーアナウンサー・青木源太さんに、うまくいく上司とのコミュニケーションについて聞きました。
仕事の方向性で悩んだ、日テレ時代
日本テレビで会社員を経験された青木さんに、今回は「上司とのコミュニケーション」について、お話を伺えればと思います。
はい、よろしくお願いします。
青木さんは日テレ時代に、上司とのコミュニケーションで悩んだことはありましたか?
自分が本当にやりたいことが伝わっていない時に、悩みました。上司はこれをやらせたい、でも僕はこういう方向に行きたい、という部分に齟齬があったんです。
それはお仕事の内容が、ということでしょうか。
上司からは、スポーツ実況者としてのキャリアプランを提示されていました。でも僕は当時、スタジオアナウンサーとして大成したいと思っていたので、それを伝えました。
とても勇気ある行動だと思うのですが、どんな時に伝えたんですか?
年に1回、キャリアデザイン面談という、自分の方向性を話す場があったんです。その面談では自分の思いをはっきり言うと決めていたので、そこで伝えました。
言われた仕事はちゃんとやって、正式な場で自分の思いを伝えたんですね。
会社員だから、言われたことはちゃんとやるっていうのは、基本だと思っていましたね。
事前の準備と相手を思いやる気持ちが大切
日頃、上司とコミュニケーションをする時に準備していたことはありますか。
まずは、ヨイショする「褒めポイント」を探していました。仕事からプライベートに至るまで、「この人に会ったらこれを言おう」と思った話題をスマホにメモしています。
もしかして、上司以外にもやっていたんですか?
やっていたというか、今もやっています。共演した方や、番組制作に関わっているスタッフさんまで、メモしてあります。
全員の話題を覚えていられないですよね。だからメモすると。
「おつかれさまです。今日は何の番組ですか」じゃなくて、「あなたの番組を観てますよ」という姿勢を示すのは、大事だと思うんです。それは上司も同じだと思います。
なるほど、勉強になります……!
良かったことを伝えて、嫌な顔をする人はいないですからね。
あと、私は上司に相談や提案するのが苦手なのですが、事前に準備しておくべきことはありますか?
ある程度、会話を想定しておくとスムーズだと思います。どんな生放送の番組でも、ある程度の流れは想定しているんです。それと同じで、相談や提案を上司に持ちかける時に「こういう答えが返ってきたらこう言おう」ぐらいには、考えておくべきだと思います。
僕がよくやっていたのは、その上司をよく知る人に、上司が指摘しそうな部分はどこか聞いて、その部分を修正してから上司に提案していました。企画を通したい時なども同じだと思います。
事前準備が大事ですね……! でも、すごく心配性なので、準備して臨んでもやっぱりちょっと怖くて。
想定って2種類あって、成功したらこうなるけど、失敗したらこうなるっていう2パターンを考えておくっていうのが、自分の心に保険をかけておくという意味では、いいかもしれません。
あとは、話しかけるタイミングですね。人によって負担にならないタイミングって、違いますから。ある上司は、子どもを送ってから出社するので、朝来るのがとても早かったんですよ。だから、その時間に合わせて出社して、話しかけてました。
そういうのって、誰かに学んだんですか?
いえ、失敗したことがあったからです。いきなり話しかけて「今ちょっと忙しいから」って言われて。失敗を重ねて学んでいったんです。
相手のことを考える、気遣うのが大事なんですね。
自分に置き換えれば、みんな一緒だと思うんです。褒められたらうれしいし、タイミングを気遣ってもらえたら助かるし。
1回で「伝える」ことを諦めない
上司に伝える段階になった時、話している最中に気を付けていたことはありますか?
結論をちゃんと言う、ということですね。上司に話す時って、指摘されるのが怖くて、予防線を張りながら話すと思います。でも、最初に結論を言って、質問が来たら予防線の部分を説明した方が伝わりやすいと思います。聞き手は、何を言いたいのか分からない状態が一番ストレスになると思うので。
気を付けます……!
あと、「伝える」には段階があると思うんです。最初に、正しく誤解のないように伝えるという段階。2番目に、相手にどんな印象で伝わるか。1番目をクリアしてる人が次の段階に行けるんですけど、いきなり2番目の方から考えちゃう人が多いから、伝わらない。言葉って、誤解のないように正しく伝えるのが難しいんです。最初はその点に注力した方がいいでしょうね。
頑張って話したけど、失敗したなと思った時はどうしてましたか?
もう一度、時間をもらって話しに行きました。1回で伝わらないこともあると覚悟しておいた方がいいと思います。僕、SNSを始めるのも、2年かけて会社を説得しましたよ。当時まだ局アナは、SNSをやっていない時代だったので。
ええっ、そうなんですね……!
前例のないことを始めるって、そんな簡単にはいかないですよ。その話し合いを重ねるのも、決して悪いことじゃない。1回失敗したからって、くよくよする必要はないと思います。
うまく伝わらなかった時も「次こそは」と切り替えればいいんですね。
相手が話しやすい環境を作る
上司と会話をするうえで、聞き上手であることも大切だと思うのですが、心がけていることはありますか?
これはヨイショに近いですが、リアクションを大きく取ること。「えっ!?」とか「そんなことが!!」とか。
リアクションしてくれるとうれしいし、気持ちよく話せますよね。
ちなみに、なぜヨイショするかと言うと、相手が気持ちよく話せる状態を作ると、どんどんいい言葉を教えてもらえるからなんです。結局は自分のためなんですよ。自分がもっと吸収したいから、やるんです。
相手のことを知る、そのための準備をする
最後に、実際に上司とのコミュニケーションで悩んでいる人に向けて、メッセージをお願いします。
ヨイショするための褒めポイントって、上司そのものじゃなくても、上司の身の回りのことでもいいと思うんです。とにかく話すきっかけとして、褒めポイントを探すっていうのが大事です。
そして、実際に話してみることで、見えてくる部分があると思います。新たな一面とか、相手の態度に対して、こういう意図があったんだと思う時もあるだろうし。
確かに、何も知らないで「ダメだ」と思ってしまうのはもったいないですね。
勇気を出して、コミュニケーションを取ってみる。そのための武器として、いろいろ準備するっていうのをやってみるべきじゃないかなと思います。なんとなく「苦手だな」と思ってコミュニケーションを避けていたら、何も生まれないと思います。
胸に刺さるお言葉……。
何かありますからきっと、褒めポイント。あとは、自分で掴む必要もなくて、周りに聞いてもいいと思うんですよね。
周りにも相談しながら、やってみます!
頑張ってください!
『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む!話し方のコツ大全』青木源太/宝島社
元日本テレビのアナウンサーで、司会者として活躍するフリーアナウンサー・青木源太さんの自身初となる本作。口下手な人でも今すぐに実践できる、会話が弾む方法、相手にきちんと伝える方法を、具体的かつ丁寧に80以上紹介しています。ぜひ、チェックしてみてください。
※この記事は2021年08月11日に公開されたものです