なぜ経済を学んだ方がいいのか お金のプロがわかりやすく解説
漠然と「経済」と言われても、どんなことを思い浮かべるかは人それぞれかもしれません。というのも経済という言葉には色々な意味があるからです。
経済という言葉自体は、福沢諭吉が「economy」を経世済民と訳し、その略語として創られたとされています。経世済民とは、「世の中を治め、人民を救う」という意味です。
英語のeconomyの語源は、ギリシャ語の「オイコノミア」。これは「家を納めるための財の管理」を意味します。総じて、社会全体が生産活動を調整するシステムという意味で使われるようになりました。
どうやら、経済という言葉には、「社会全体の調整」と「個人の調整」の二つが含まれているようです。
さて、今回はそんな経済をなぜ学んだ方がいいのか、一緒に考えていきたいと思います。
経済とは「お金のやりくり」
まずは、経済という言葉は辞書でどのように説明されているのか確認しましょう。
Oxford Languagesでは次の通り、説明されています。
けいざい【経済】
1. 人間の生活に必要な物を生産・分配・消費する行為についての、一切の社会的関係。転じて、金銭のやりくり。
2. 費用・手間がかからないこと。「―な品」「時間の―を図る」。費用をかけないこと。倹約。
まず経済と切っても切れないのが「お金」です。人間の身体には血が巡っているのと同じく、経済を流れるのはお金です。
1で説明されている通り、経済活動には生産・分配・消費がありますが、全てにお金が絡んできます。
例えば、あるところに物を売る人がいて、買う人がいたとします。この売り買いはお金の受け渡しで成り立っています。お金を受け渡すことは経済活動の重要なキーワードです。
会社で働いて給料をもらうこと(働いた対価にお金をもらう)、そのお金で食べ物や洋服を買うこと、会社が作った製品・サービスを海外に売ることなども経済活動の一つです。
お金を貸したり、借りたり、預けたり、投資したりも全て経済活動です。
次に2ですが、「お金を節約するのは経済的だね」というような使われ方です。経済的という言葉を使わなければ、「お金を節約するのは家計をやりくりする上で効率的」になるでしょう。
効率よく物事を進める(活用する)場合の「効率よく」とは、「手間や時間、コスト(費用)をなるべくかけないで」という意味で使われますよね。
このように、経済を学ぶとは、個人のお金のやりくりはもちろん、社会全体のお金のシステム(やりくり)も学ぶということです。
なぜ経済を学んだ方がいいのか
「なぜ経済を学んだ方がいいのか」は、自分自身・自分の周りに「ポジティブ」なお金の流れを生みだすために必要だからです。細かく見ていけば、身近な節約術から、税金、社会保険、インフレ・デフレ、金利、為替、GDP、借金や投資など大小様々ありますが、これらは全て経済に関係しています。経済を学ぶことで、お金の流れがポジティブになります。
例えば、金利を正しく学べば、キャッシングやリボ払いを利用することは、個人の経済活動上、不適切であるとわかります。
リボ払いとは、利用件数や金額に関係なく、毎月一定の金額を支払っていくという返済方法。最小支払い額は借入総額によって変わります。
中には「月々1,000円からの支払いでOK」などとうたっているサービスもあります。手軽そうですし、一定額を毎月支払っていくだけなら、支出の管理もしやすくて便利だから良いのでは?と、知識がないと思ってしまうかも。
でも、リボ払いは利用残高全体に実質年率15〜18%の金利手数料がかかる仕組み。元金はなかなか減らず、完済までの金利手数料は莫大な額になります。さらに、支払いが終わる時期が見えにくいのも難点です。
実際にどれほどの金利負担があるのか、見てみましょう。
年利15%で借入総額が30万円、毎月の返済額は5,000円(元利定額方式:返済元金+利子=5,000円)とした場合、計算上の返済総額は557,868円です。
借りたのは30万円なので、利子は差し引き、257,868万円も支払うことになります。返済回数も112回、完済までに9年4カ月もかかる計算です。
リボ払いをしてしまうと、なかなか返済が終わらないどころか、多額の利子を払うことになるのがお分かりいただけると思います。このように利子が上乗せして、借金が雪だるま式に増えていくのには、複利効果が関係します。
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※この記事は2020年07月07日に公開されたものです