【イラスト&図解】青文字系ファッションとは。雑誌・ブランド・モデルを解説!
青文字系と呼ばれるファッションのジャンルがあります。青文字系とはいったい何を、どんなスタイルを指すのでしょうか? ファッションライターの佐藤あさひさんに、青文字系ファッションの特徴やブランドについて、くわしく教えてもらいました。
字面を見ただけでは想像しにくい「青文字系ファッション」。
以前なら青文字系はちょっと個性的なファッションのことを指しましたが、ジャンルが多様化した現在ではそう珍しいファッションではなくなりました。
改めて青文字系ファッションとはどのようなものなのか、流行の変遷も踏まえておさらいしてみましょう。
青文字系ファッションとは
青文字系の意味と定義
青文字系ファッションとは、対極の「赤文字系ファッション」と区別するためにつけられた、個性的なファッションの総称です。
いわゆるモテコーデのことを「赤文字系ファッション」というのですが、言葉としてはそちらが先にありました。「モテ系」「男ウケ」といったテーマの女性ファッション誌が、雑誌タイトルを赤い文字で表記していたためこう呼ばれるようになったのです。
「青文字系」の命名者は、三戸なつめをはじめとした青文字系読モが多数所属するアソビシステムの代表といわれています。同社主催の原宿系イベントのテーマを表現する際、赤文字系とは異なる原宿系ファッションを表す言葉として「青文字系ファッション」という言葉をあてたのが最初だそうです。
どのジャンルだから青文字系、といったことはなく、赤文字系以外の個性的なおしゃれファッショすべての総称です。
後述しますが、青文字系という言葉が作られた当初は原宿系のファッションを指していたようで、特にガーリー系・ロリータ系・モード系・古着系が青文字系ファッションといわれていました。
青文字系を簡単に説明すると、原宿発信のファッションによく見られる「個性的」「非日常的」「自分主体」「同性ウケ」といった傾向にあるファッションのことです。
赤文字系との違い
赤文字系ファッションによくあるコーデはいわゆるコンサバ系です。
赤文字系は女子大生やオフィスで働く女性に支持されているファッションで、「他人から見て好印象であること」が大切なポイントです。自分が着たい服というより、異性や会社から求められている服で、自分がどう見られているか考える「他人主体」のファッションなのです。
これに対して、青文字系のポイントは「自分が着たい服」。他人にどう評価されようと、男性からモテなくても、個性的で自分が着たいと思った服をセレクトします。
これが赤文字系との大きな違いでしょう。お手本にするべき特定の雑誌がないスタートでしたので、そのジャンルは赤文字系より定まっておらず流動的です。
ちなみに、他人ウケより自分の個性や主張を大事にするファッションとしてはギャル系も挙げられますが、ギャル系は青文字系(原宿系)と区別されて渋谷系と呼ばれています。
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【イラスト&図解】赤文字系ファッションとは。雑誌・ブランド・モデルを解説!
青文字系コーデの特徴
前述どおり、自分主体であることが一番の特徴です。ちょっと個性的な服、普段着としては非日常的な服が多いのも特徴です。
青文字系ファッションを愛する人は、他人の意見を気にすることはありません。
男性や職場からの評価より、「自分が好きな服を自分らしく着こなすこと」をもっとも大切にしています。
代表青文字系ブランド
青文字系は赤文字系に比べて明確なジャンルがないのですが、代表的なブランドをいくつか紹介します。
どれも個性的で自分らしいおしゃれを楽しめるブランドばかりです。
Candy Stripper(キャンディーストリッパー)
原宿系のファッションを扱う雑誌の常連ブランド。
レースやフリル満載の思いきりガーリーな服から、カジュアルスポーティーな服、派手な色柄物やぬいぐるみ柄など、振れ幅が非常に大きいのも特徴でしょう。
X-girl(エックスガール)
Tシャツやナイロンリュック、ロゴプリントなどスポーティカジュアルなのですが、ポップでカラフルな原色づかいはこのブランドならでは。
男性から見た「かわいい女の子」という要素ではなく、あくまで「女の子本人が『かわいい!』と思える」要素が満載のデザインです。
MILK(ミルク)
青文字系の中でもとびきりガーリーなブランド。少女趣味な服はピアノの発表会や童話の国に迷い込んだようなかわいさです。
ただ、同じかわいい路線でもロリータファッションとは異なり、ストリートで着られる絶妙なカジュアルさがあります。
JEANASIS(ジーナシス)
どちらかといえばモードよりの、マニッシュかつクールなデザインが特徴。黒と白を基調に、「シャープでこびない服」を発表しています。
コンセプトは「カルチャーとファッションを楽しむ」で、まさに自分の個性を主張したい青文字系にぴったり!
青文字系ヘアメイクの特徴
青文字系ファッションは着る人が服の個性に負けないよう、ヘアメイクも思いきり個性的なことが特徴です。特にブランド公式のモデルさんたちはかなり奇抜なヘアメイクのことがあります。
青文字系は「無難にかわいいメイク」より、「服に合わせた思い切りのいいメイク」が印象的。
髪の色に合わせたカラーマスカラや、目元を強調する太いアイラインなど、思い切ったメイクが特徴です。ヘアカラーもカラフルな色に挑戦する人が多いようです。
もちろんカジュアル系や古着系はナチュラルなメイクをすることもありますが、たとえナチュラルメイクでも「モテ」を意識するというより、自分の服に合わせた雰囲気を重視します。
代表青文字系雑誌
赤文字系ファッションは代表雑誌ありきのファッションですが、青文字系には特に決まりがありません。
その中でも、個性的だったり原宿系のファッションを紹介する雑誌が青文字系の代表雑誌といえるでしょう。
『KERA!(ケラ)』、『Zipper(ジッパー)』、『CUTiE(キューティー)』
どれも休刊してしまった雑誌ながら、青文字系ファッションを語る上ではこの3冊は欠かせない存在です。どれも原宿系の個性的なストリートファッションを牽引してきました。
この3冊の休刊については、後述しますがファッションの流行の変化や消費者をとりまくブランド事情にも大きく影響されています。
『FRUiTS(フルーツ)』
こちらも月間紙媒体としては休刊してしまった雑誌です。ほぼ全ページが原宿の街を歩くおしゃれな一般人のストリートスナップで埋め尽くされていた、正に青文字系ファッションのカタログのような雑誌でした。
2016年末に休刊しましたが、創刊編集長は休刊の理由を「オシャレな子が撮れなくなったこと」としています。
『mini(ミニ)』
青文字系雑誌が次々と休廃刊する中、いまも発刊されている雑誌。
「20代のリアルファッション誌」として、ボーイッシュ・カジュアル・ストリート系のファッションを取り上げています。
ブランドとコラボした特別付録が人気で、話題のアイテムが付属した号は完売することもあるようです。
『装苑(そうえん)』
先進的なファッション、若手クリエイターの発表などで独特の紙面づくりをしてきた老舗雑誌。月間から隔月刊になりつつも、現在も発刊されています。
どちらかといえば価格の高いハイファッション、モード系のスタイルを得意とする雑誌で、「服装の改善とその普及」を目的に80年以上個性的なファッションを紹介し続けています。
読者モデルがメイン? 青文字系ファッションモデル一覧
青文字系ファッションはストリートファッション主体であるためか、「街行く普通の子」が読者モデルとして登場することが多い傾向にあります。
きゃりーぱみゅぱみゅ
前述した有名青文字系雑誌『KERA!』の読者モデルとして2009年に紙面デビュー。
歌手としての活動がメインになりましたが、読者モデル時代は金髪のウィッグや、市販品に自分でアレンジを加えた実に個性的なファッションで大人気でした。
三戸なつめ
極端に短くまっすぐに切りそろえた前髪がトレードマークです。今やCMなどにも多数登場していますが、彼女も青文字系雑誌の読者モデルからスタートしました。
デビュー誌である『mer』をはじめ、『Zipper』『SEDA』など、活躍していた青文字系雑誌はいずれも休刊しているのが寂しいところです。
木村カエラ
ベリーショートのヘアスタイルも相まって、強烈な個性を発揮している木村カエラさん。「青文字系おしゃれ芸能人」代表格です。
小額6年生のとき原宿でカットモデルのスカウトをされたことがきっかけで、雑誌『CUTiE』のモデルになりました。
田中里奈
学生時代から読者モデルとして活躍しているモデルさんです。
田中さんの特徴は、今どきの時流によくあった幅広いマルチ活躍! 青文字系にとどまらず、30代向け雑誌や大人っぽい赤文字系ファッション誌にも登場しています。
ぺこ(ぺこりん)
ぺこ&りゅうちぇるとして芸能活動が有名になったオクヒラテツコさんこと「ぺこりん」ですが、青文字系ファッションブランドSUPER WEGOでのバイトをはじめ、読者モデルとして雑誌では数々の個性的なファッションを披露してきました。唯一無二の独創性はさすがです。