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夏目漱石の名言10「ありがたいなどは通過して恐ろしい位だ」

『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こころ』など、日本文学史上に残る名作を著したのは明治の文豪・夏目漱石です。漱石先生は、門下の弟子たちを大事にするとても面白い人でした。今回は、漱石先生の名言を集めてみました。

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「無暗にあせつては不可(いけ)ません。ただ牛のやうに図々しく進んで行くのが大事です」

これは、正確には発言ではなく、芥川龍之介と久米正雄宛ての手紙に書いた「言葉」です。若い才能を励ますために漱石先生は言葉を惜しみませんでした。

「世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えて呉れません」

上記と同じく、芥川龍之介と久米正雄宛ての手紙に漱石先生はこう書きました(上記の手紙に続けて出したのです)。なぜ牛のように進んでいかなければならないかが語られています。

「犬ばかり責めるわけにはいかない」」

漱石先生は熊本に住んでいたことがありました。その当時、犬を飼っていたのですが、その犬がとてもほえる犬で、近所から「獅子狗(ししいぬ)」と呼ばれるほどだったそうです。ある日、通行人にかみついたので巡査が夏目家にやって来ます。

「監督不行届き」というわけで、巡査に詰問されるのですが、漱石先生はこのように反論しました。こういうのを逆ギレというのでは!? ちなみに、漱石先生もこの犬にかまれています(笑)。反論の全文は以下です。

「犬なんてものはりこうなもので、怪しいとみるからこそほえる。家のものや人相のいいものにはほえるはずがない。かみつかれるのは、よくよく人相が悪いか、犬に特に敵意をはさんでいるからだ。犬ばかり責めるわけにはいかない。人間が悪いのだ」

「自分は今日までただの夏目なにがしとして世を渡ってきたし、これから先もやはりただの夏目なにがしで暮らしたい希望をもっております」

これは文部省が、漱石先生に「文学博士」の学位を授与したい旨を伝えてきた際の、先生の辞退の言葉です。文部省もメンツがあるので、辞退を撤回させようとしましたが、漱石先生は最後までつっぱり通したのです(笑)。

「秋風の聞えぬ土に埋めてやりぬ」

これは夏目家の愛犬「ヘクトー」が死んだときに、漱石先生が書いた一句です。『吾輩は猫である』が有名なので、漱石先生は「猫派」と思われがちですが、どちらかといえば「犬派」のようです。この句にも愛犬をいたわる気持ちが込められていますね。

「この下に稲妻起こる宵あらん」

こちらは猫が死んだときに漱石先生が書いた一句です。『吾輩は猫である』に登場する猫は「三毛猫」ですが、モデルになった夏目家の猫は「黒猫」です。足の裏まで真っ黒な「福猫」だったそうです(占い師が、漱石先生の奥さんの鏡子さんに言いました)。

「人は国に頼らず『個人道徳』を磨くことによってのみ良き人生を送れます」

これは『私の個人主義』の中に登場する言葉です。この後に「自分の幸福のために自分の個性を発展して行くことが大切です」と続きます。でもその個人主義には「淋しさ」があると語っています。

「ありがたいなどは通過して恐ろしい位だ」

漱石先生の手紙は面白いことで知られています。これは、明治38年に中川芳太郎あてに書いた手紙の中に出てくる言葉です。鈴木三重吉から漱石先生あてにとても長い手紙が届きますが、その中身の2/3もが先生を思慕する記述で埋まっていたのです。

漱石先生は、その手紙についてこのように書いたのです。漱石先生は弟子から愛された人でした。

「森の都」

熊本を「森の都」と呼んだのは漱石先生が初めてだそうです。漱石先生は前述のとおり熊本県に住んでいたことがありました。1896年(明治29年)に熊本の池田駅(現:上熊本駅)に降り立った漱石先生は、そこからの景色を見てそのような印象を受けたそうです。

これも一つの名言といえるのではないでしょうか。

最後に面白いものを一つご紹介します。

「私は子供などに会いたくありません」

これは修善寺で血を大量に吐いたとき(1910年)の漱石先生の言葉です。耳元で、分からないようにドイツ語で医者二人が話していました。「(脈が)弱い」「子供に会わしたらどうだろう」といった会話だったのですが、先生はドイツ語の会話も理解できたのです(笑)。

先生自身は「できるだけ大きな声と明瞭な調子で言った」と振り返っています。

ちなみに、「I love you.」を「月が綺麗ですね」と漱石先生が訳したという伝説があるのですが、これはウラが取れないそうです。この伝説は誰が言い始めたのでしょうね。漱石先生は英語の教師でしたから、翻訳はお手のものだったと思いますが……。

あなたは、漱石先生の名言を何かご存じですか?

(高橋モータース@dcp)

※この記事は2014年12月27日に公開されたものです

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