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エアコンを「除湿」にしても、節電できないって本当?「本当」

日中は冷房なしでは厳しい季節となった。ここ数年の節電ムードから「ドライ」や「除湿」を利用する話をよく聞くが、じつのところ、あまり節電には貢献できない。

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涼しいと感じるまで冷やせば冷房、少し高めの温度で止まるのが除湿の定番だが、止まっている時間が長いと再び部屋を冷やすのに余計な電力を消費する。「衣類乾燥」「からっと」などの除湿は暖房も同時に使うので、節電とは無縁の設定なのだ。

「つけっぱなし」は、3割もお得?

冷たい飲み物を入れたコップに水滴が付くのはご存じだろう。空気中の水分が冷やされて水滴に戻るからだ。エアコンの場合、これを「ドレン」と呼ばれるホースで室外に排出するので、結果的に部屋の湿度が下がる。つまり冷房をかければ必ず除湿されるので、原理的には冷房と除湿は同じと考えるべきだろう。

エアコンは電力のおよそ80%をコンプレッサーが消費する。これは室内~外に温度を移動させるために、冷媒(れいばい)と呼ばれるガスを圧縮する装置で、自転車の空気入れと同様に作動時は多くのエネルギーを必要とする。

そこで設定温度にまで下がるとコンプレッサーを止め、余分な消費電力を抑える工夫がなされているのだ。
そのため「除湿」に設定すると、少しぬるめの風が吹き出るか、頻繁にコンプレッサーが止まるようになる。ほとんどのエアコンは、除湿=弱めの冷房に切り替わるだけなので、「弱冷房除湿」とも呼ばれている。

除湿で節電できるのか? 電気大食いのコンプレッサーが止まれば消費電力も抑えられそうなものだが、コンプレッサーが止まって室温が上がると、かえって余計な電気を使ってしまうのだ。

一般財団法人・電力中央研究所の試験によると、設定温度28℃で同じ部屋を冷やした場合の消費電力を比較したところ、

・間欠運転(30分稼働+5分停止) … 100%
・連続運転 … 72%

と、つけっぱなしのほうが少ない電力で済むという結果となった。停止している間に室温が上昇し、もとに戻すのに余計なエネルギーを要するからだ。少々極端な例ではあるが、除湿も同じ原理なので、暑い日に除湿で我慢しても節電にもならず、単なる苦労で終わる場合もあるのだ。

暑い日の「再熱除湿」は、ムダの極み!

もっとも節電とほど遠いのは「再熱(さいねつ)除湿」で、「衣類乾燥」「からっと」などのメニューがあったら要注意だ。

再熱除湿はその名の通り再び加熱する除湿で、つまり冷房と暖房を同時におこなう機能だ。除湿でさっぱりするのと同時に、わずかながらでも室温も下がるので、さほど暑くない春/秋は痛しかゆしといったところだ。洗濯物を室内干しする際の除湿運転は効果的だが、室温が下がり乾きが悪くなる。

そこで一度空気を冷やして除湿した後に、暖めるのが再熱除湿だ。機能的には優れているのだが、冷暖房を同時に使うようなものだから消費電力も多いし、暑い日に節電目的で使ってもまったく意味がない。

エアコンの節電ポイントを整理すると、
1.長時間「停止」させない
・暑い部屋を冷やす時に、消費電力が最大になる
・涼しくなった室温を維持するのは、さほど電気を使わない

2.風量は「自動」に
・冷やす時は、大風量で一気に冷やす
・涼しくなれば、自動的に風力も弱になる

3.室外機を冷やす
・熱の出口である室外機が熱いと、室内も冷えない
・室外機の温度を5℃下げると、42%も節電できた例も!

まとめ

・「除湿」「ドライ」=節電とは限らない
・再熱除湿は、冷房よりも消費電力・大
・時どき止める間欠運転よりも、冷房・連続のほうが節電になる場合も

気温や湿度によって差はあるものの、概していえば、一定の室温を維持するのが節電の近道といえよう。
室外機用の日除けシェードも多くみかけるので、気になるひとは試してみると良いだろう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年06月20日に公開されたものです

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