7月から地震保険料が値上がり!ところで、耐震と免震は、何が違う?

今年7月から地震保険料が値上がりする。大地震が起きる可能性が高くなったのが理由で、値上げの一方、耐震/免震住宅の割引率もアップするから、住み替えを検討しているひとは、耐/免震住宅なのか確認しておくと良いだろう。
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耐震は、ひたすら丈夫に作って壊れにくくする方法で、低コストで実現できるが家具も人間も激しく揺れる。免震は建物を浮かせたような状態にするので、効果ばつぐんだがコストも高い。揺れを減らす制震もあるので、リフォームなら耐震+制震、建て替えるなら免震がお勧めだ。
ちからの耐震 VS 技の免震
日本に地震が多いのは、北米/太平洋/フィリピン海/ユーラシアの4つのプレートにまたがるように位置しているからだ。
ご存じのようにプレートは動き続けているため、ぶつかり合う場所では地震が発生しやすい。特に東の太平洋プレートは年間8cm、南のフィリピン海プレートは3~5cmも、日本に向かって動いている。
2012年から2014年4月までの月平均の発生回数と、最大の地震規模(M)を挙げると、
・2012年・1~12月 … 253回 / M7.3(12月)
・2013年・1~12月 … 192回 / M7.1(10月)
・2014年・1月 … 150回 / M5.6
・2014年・2月 … 144回 / M5.6
・2014年・3月 … 158回 / M6.6
・2014年・4月 … 148回 / M5.3
と、回数/規模とも減少しているものの、この先も減り続ける保証はない。例えるなら交通量の多い交差点にいるようなものだから、いつ事故が起きても不思議ではないのだ。
大地震を乗り切るには、まず建物の強化が必要で、もっともシンプルなのが「耐震」だ。文字通り、地震に耐えられれば良いので、とにかく頑丈に作る。ただし硬いだけでは折れてしまうので、高層ビルなどはわざと揺れるように設計されている。
比較的安いコストで実現できるのがメリットだが、揺れが激しく家具が動きまわる、長時間続いて船酔い状態になる、設計以上の揺れを受けると壊滅的に壊れるのが難点だ。
対して免震は、ダンパーやアイソレータと呼ばれる部品を介し、建物を浮かせるようにする方法だ。バネやゴムボールの上に建物が乗っているような状態なので、揺れを大幅に減らすことができるのがメリットだが、大掛かりな工事が必要なためコストも高く、リフォームよりも新築向けと呼べるシステムだ。
コスト重視なら耐震+制震
耐震と免震は、どちらが優秀なのか? 現行と改定後の地震保険の割引率で比較すると、
・耐震 … (現行)10~30% / (改定後)10~50%
・免震 … (現行)30% / (改定後)50%
と耐震には幅があるのは1~3の等級があるためで、もっとも性能の高い耐震等級3なら、免震と互角と考えるべきだろう。
免震は高すぎるが、耐震だけでは心細いと思うひとには、制震という手段もある。柱に地震のエネルギーを吸収する装置を取り付け、建物の揺れを減らす方法だ。
糸につるした「おもり」を揺らすと、長時間揺れ続けるのはご理解いただけるだろう。これは揺れるエネルギーが、なかなか無くならないからだ。そこで「おもり」にゴムひもを取り付け、天井や柱にしばっておくと短時間で揺れを止めることができる。
ゴムが伸び縮することで、揺れのエネルギーを使ってしまうからだ。
制震も同様に、ダンパーと呼ばれる伸び縮みする部品を柱に取り付け、揺れようとするエネルギーを摩擦に変えて減らす仕組みで、建物の損傷や変形を防ぐ働きをする。残念ながら地震保険の割引対象ではないが、免震よりも圧倒的に低いコストでできるので、耐震補強と併せておこなうと良いだろう。
まとめ
・耐震構造は、揺れが大きい
・免震は、建物が浮いているような状態
・免震は、効果もコストも高い
・リフォームや補強なら、耐震+制震がお手頃
統計的にみると、富士山は許容量300%の状態で、いつ噴火してもおかしくない。
地震対策も大事だが、非常用グッズもお忘れなく。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年06月02日に公開されたものです