通販サイトで勝手に「おすすめ商品」が表示されるのはナゼ?―ブラウザが受け取るクッキー(cookie)が原因

家にいながら買い物ができるネット通販。価格や在庫もすぐにわかり便利なのだが、頼んでもいないのに「おすすめ商品」が表示され、少々うっとうしく感じるひとも多いだろう。
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閲覧履歴は個人情報じゃない?
おすすめ商品が表示されるのは、ブラウザが受け取るクッキー(cookie)が原因だ。
クッキーとは、パソコンとサーバがやり取りするデータの一部で、おもに「いつ」「だれが」閲覧したかを記録した情報だ。目的はユーザの利便性を高めるためで、毎回操作し直さなくても好みのページが表示される。なにもしていないのに「○○さん、こんにちは」と表示されるのもクッキーのしわざだ。
クッキーの仕組みは、
1. (パソコン) → サイトを閲覧 → (サーバ)
2. (パソコン) ← クッキーを生成 ← (サーバ)
その後、同じサイトを訪問すると、
3. (パソコン) → クッキーを送付 → (サーバ)
が起こり、サーバは受け取ったクッキーをもとに、ユーザの情報や好みのページを表示しているのだ。
また、大別して
・セッション・クッキー … ブラウザを閉じると消える
・固定クッキー … ブラウザを閉じても、電源を切っても消えない
の2種類があり、「おすすめ商品」には固定が使われるケースが多い。そのためいつまでも表示されるのだ。
おすすめ商品は、どうやって決まるのか? これは「行動ターゲティング広告」と呼ばれ、アクセス頻度が高いサイトや商品、つまりはユーザの行動履歴から割り出されている。
それって情報漏えいじゃないか!と思われるかもしれないが、残念ながら日本の法律では個人情報には該当しない。総務省・情報通信政策研究所の資料では、
・アクセス時のIPアドレス … OK
・クッキーに含まれる氏名・連絡先以外の情報 … OK
・Webサイトでの行動履歴(氏名・連絡先以外) … OK
と判断され、「氏名・連絡先」「氏名・連絡先を含む行動履歴」以外は「誰」かを特定できない=個人情報に該当しないので、行動履歴を観察し、記録するのは違法行為ではないのだ。
クッキーお断り!
行動ターゲティング広告は安全なのか? 利用されないとはいえ、個人情報も含まれるのだから不安が残る。そこで、一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)は「行動ターゲティング広告ガイドライン」を作成し、「特定の個人を識別するに至らないもの」と定めている。
つまり、利用できるのはあくまで履歴や好みだけで、「誰」を特定してはダメ!とルールづけしているのだ。
それでも見張られているようで気持ち悪いと感じるひとはご安心あれ。1.オプトアウト 2.ブラウザの設定変更 のどちらかをおこなえば、二度と表示されなくなる。
1.のオプトアウトはサイトが独自に用意しているので、「オプトアウト」「無効化」で検索すればすぐに専用ページがみつかるはずだ。ほとんどが、有効または無効のボタンをクリックするだけなので、迷うこともないだろう。
2.は正体であるクッキーを根絶する方法だ。サイトごとにおこなうオプトアウトに対し、どのようなクッキーも受け取らないように設定できるので、より厳重な手段といえよう。
Windows PCで定番のIE10なら、
・ブラウザを起動
・「ツール」→「インターネットオプション」→「プライバシー」
・「設定」のスライダーを一番上に移動する
これでクッキーは完全にブロックされる。
■まとめ
・「おすすめ商品」の正体はクッキー
・閲覧履歴は、個人情報に含まれない
・監視されているようで気持ち悪いなら、簡単な設定変更で表示を消せる
サイトによっては、購入済商品を再度「おすすめ」されイラッ!とくるが、閲覧履歴しか利用していない証ともいえる。
本当の意味で「おすすめ」が表示される仕組みを期待しよう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年03月02日に公開されたものです