もしも地球が四角だったら「端は標高3,757kmの山に等しい」
子供のころに読んだなかに、地球平面説の本があった。海を突き進んでゆくとやがて平面の終わりに達し、滝のように落ちてゆく。挿絵があまりにもショッキングで、しばらく眠れない日が続いたのを覚えている。
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もしも地球がサイコロのような立方体だったらどうなるのか? 頂点は標高3,000kmの山となり、平面を歩いているつもりでも莫大な体力を消耗する。地球表面の70%を覆う海も、わずか1%程度の水たまりになってしまいそうだ。
大気から突き出す地球?
地球が球体だと証明されたのは意外にも最近で、15世紀におこなわれたマゼランの世界一周航海が最初とされている。それ以前は国によって異なるものの平面と考えるのが一般的で、つまりは「地球の果て」があると考えられていた。
天動説が信じられていた時代ならではの話だが、地動説が証明された今では矛盾が多すぎるので、地球が立方体になった場合を検証してみよう。
地球の体積はおよそ1兆832億立方kmで、まずこれを海と陸に分ける。海は地球の表面の約70%を占めるので、さぞかし量が多いのだろうと思っていたが、独立行政法人・水資源機構の資料によると14億立方km、そのうち海水は約97%とされていたので13.58億立方kmとなる計算だ。
単純に、地球の体積-海の体積=陸の体積で計算すると、海:陸は0.13:99.87となり、水の惑星なんて呼ばれている割には非常に少ないことが分かる。サイコロのような立方体の体積は1辺の長さの3乗なので、体積から逆算すると10,365km角の正方形6枚で陸地が形成されることになる。
立方体に生まれ変わった地球の表面積は約6.32億平方kmで、いまの状態と比べるとおよそ24%もアップする。
ありがとう立方体。土地不足が一気に解消しそうだ!
平面を歩き続ければ、いつか正方形の辺か頂点に達して次の平面に出られるはずだ。そう信じて歩いていると、やがて身体が前のめりになって坂を上る状態になる。それもそのはずで、重力は地球の中心に向って働くので正方形の中央では垂直に立てるものの、端に向かうほどに角度が生じてしまうからだ。
辺や頂点の上ではどうなるのか? 地球の中心からの距離は、平面の中央は5,132km、辺の中央では7,258km、頂点になると8,889kmとなるので、平面中央からみると頂点は標高3,757kmの山に等しい。
綱渡りやとんがり屋根の上に立った状態となるので不安定に思えるかも知れないが、面との角度を気にしないで済むのでかえって安定するはずだ。次の面へと歩き始めると、今度は後ろにのけ反った状態で地面に立つことになる。
おまけに、歩き始めた瞬間は45度の急斜面を下るのと同じだから、くれぐれも転げ落ちないようご注意願いたい。
標高357kmの海?
海はどうなるのか? 陸の768分の1程度しかないので、隣の面と合体して球体になるだけの体積はない。そのため、各面の中央に巨大な水たまりとして存在することになるだろう。
海水を各面に6等分し、陸にしみ込まないとしても、面いっぱいに拡がることはない。中心からの距離と引力を考えれば、端は高い場所と同じだから、面の中央でふくらんだ水滴状態になるはずだ。この水滴を球の一部と仮定し、体積から逆算すると、直径1,374km、高さ357kmになる。
地球を1辺1cmの立方体に置き換えると、各面の中央に直径1.3mm、高さ0.3mmにふくらんだ海ができるのだ。
垂直に立てるのは中央だけなのに、そこには高さ357kmの海が待ち構えている。平面の端は45度の傾斜に住むようなものだから、常にキング・オブ・ポップのゼロ・グラヴィティ状態で生活しなくてはならない。
面積は増えるのに住める場所が限定され、地価の高騰は免れない。やはり地球は丸が良い。
まとめ
立方体の中心から頂点までの距離は、赤道半径よりも2,500kmも長いので、大気が同じ状態なら、宇宙にはみ出した状態になってしまう。
地球を歩いて宇宙旅行。途中の成層圏近くでは気温が-70℃ほどになるから、カゼをひかないよう厚着しておこう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年01月13日に公開されたものです