【当たる占いレポート】相手の目を見て得たインスピレーションを、即興で詩に昇華させる書家・安田邑美
路上詩人に必要な素質とは何だろうか? 相手の目を見て、そこから浮かんだインスピレーションを言葉にしてしたためる―その特殊な工程によって生み出される作品に魂を注入するためには、己が鍛錬し続ける他ないのかもしれない。
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高尾山や井の頭公園など、都内各地で路上詩人として活躍している安田邑美(ゆうび)さんは、目の前にいる人と見つめ合うと、相手の抱えている不安や不満が、映像や単語となって脳裏に映し出されるのだという。
目はすべてを語るとは言うものの、本当に、会ったばかりの相手のわだかまりまで読み取ることができるのだろうか?
不思議に思いながらも対面して腰を下ろすと、安田さんは私の目をじっと数秒見つめた後、すらすらと筆を走らせはじめた。
色紙の上に現れたのは、「自分の中で大切と思えることをどこまで突きつめていくかだよ。それを深く掘っていくとすべてにつながっていく」の言葉。
一体どういう想いが込められているのだろうか?
安田さんは答える。「多くのものを手に持ってはいるんだけど、満ち足りていないイメージが伝わってきました。広く浅くいろんなことに携わっているけど、どれも満足いくまで探究できていないような…。
だけど、そのうちのどれかひとつを選んでそれをとことん掘り下げていけば、手に持っているものの共通項目を見出すことができるので、すべての物事に深い理解を得られるはず」
…なんと! お会いして間もない方にまさかここまで見抜かれるとは、正直言って驚きである。相手の現状やいま必要なことが、どうしてそこまで分かるのだろう。
「“答え”を求めて私の元を訪れるお客さんは多いですが、そもそも人間は誰しも、はじめから答えを持っているんです。私にできることは、その人の内側に既にあるものを引き出すこと。そしてそれを言葉にして伝えることで、一人ひとりにとっての大切な一歩を踏み出すためのお手伝いができたらと願っています」。
そう話す安田さんは、言葉を贈る際、「相手にふさわしい文字」を選ぶことにも留意している。相手の性別や年齢によって文字を使い分けることができるのは、書家としての修練を続けている安田さんだからこそなせる業。
「せっかく励みになる言葉であっても、数日で見飽きるような文字でしたためられていると、飾っておいていつも眺めようとは思いませんよね。じゃあ、いつも目に見えるところに飾っておきたくなるのはどんな文字かというと、やはり、きちんと書道を学んだ人が書いた美しい文字なんです。
私も、今でも毎週お稽古に通っていますが、生涯通して“心を表現するための技術”を磨き続け、“人に伝わる書”を極めたいです」。
ちなみに、安田さんが書道教室に通い始めたのは30代前半のころ。路上詩人としての活動を始めたのも同時期だという。紆余曲折を経て自分の道を見付けた彼女だからこそ、行き詰まっている人の気持ちに寄り添い、やさしく背中を押ししてあげられるに違いない。
(松本玲子)
●information
書家・安田邑美 webサイト
http://www.yu-biyasuda.com/
※詩の値段は色紙の大きさによって異なります(1枚1,500円~4,800円)
安田邑美profile:書家・路上詩人。2000年、務めていた会社を退職して、ストリートでの書道パフォーマンスを始める。2007年、初個展「路上書家 邑美の作品展」開催。同年、書道教室atelier yuを開設。現在も、土日祝には、高尾山や井ノ頭公園で路上詩人として活動している
※この記事は2013年12月18日に公開されたものです