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時給の安いバイトを楽しいと感じる心理「認知的不協和」

甘いものを食べると太ると分かっているのに、どうしてもやめられない! そんな思いをしたことのある人は多いはず。そのとき、心の中には「食べない方がいい」「でもやめられない」という矛盾が生じています。その状態は「認知的不協和」と呼ばれています。

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フェスティンガーによる実験

アメリカの心理学者、レオン・フェスティンガーはある実験をしました。それは学生たちに単調でつまらない作業のアルバイトをさせ、次に同じ作業をする学生にその作業の「楽しさ」を伝えるというもの。さらに、その作業に対する報酬額を2パターン作り、高い報酬を得たグループと低い報酬しかもらえなかったグループで、どのような違いが現れるかを検証しました。

すると、ちょっと意外な気もしますが、報酬が低いグループの方が、より強く幸福感を伝えたのです。

この実験では、参加した人は「作業はつまらない」「しかし楽しさを伝えなければならない」という心の矛盾を抱えることになりますが、こういった矛盾を抱えた状態は「認知的不協和」と呼ばれています。そして、人はこの不快な状況をなんとか改善しようとするのです。

この実験の場合、「つまらない作業」は変えることが難しいですが、比較的変更しやすい自分自身の感情の認知を変えることによって矛盾を解消しようという心理が働いています。さらに報酬額の低いグループは、高いグループに比べて大きな矛盾を抱えることになったため、より強く「楽しい!」と思うことで溝を埋めようとしていたのです。

身近にある「認知的不況和」状態

この「認知的不協和」の状態は、身近なところでよく起こっています。例えば、「ダイエットしたいけれど友達とスイーツバイキングに来た」などというケース。思い当たる人も多いですよね! ケーキを食べたら太ることは分かっているけれど、でも……というとき、あなたはどんな風に考えますか?

 もちろん、かたくなな意思でスイーツを食べない! という人もいるでしょう。でも「今日くらい食べたって平気」「帰ってからちょっと運動すれば大丈夫」と思う人も多いのではないでしょうか? これが認知的不協和の状態を解消しようと、自分自身の考えを変えた瞬間です。

また、これは恋愛にも当てはまります。毎日彼からメールが来ていたのに、今日は来ない……そんなとき、あなたの中には「メールが来るはず」「でも彼からは何の連絡もない」という不協和状態が発生します。そのとき「きっと今日は忙しかったんだ」「出先で充電が切れたのかも」などと自分自身を納得させることがありますよね。

これもまた、不協和状態を解消する心の動きなのです。

逆に考えると、気になる相手に、この「認知的不協和」状態を起こして自分を印象付けることもできそうです。昔からよく言われる「押してダメなら引いてみる」もそのひとつ。毎日積極的に声をかけてきた異性が急に素っ気ない態度をとったら、心の中に腑に落ちない何かが残りますよね。

それこそが不協和状態。そしてそれを「今日は声をかける暇がなかったのかも」などと考えて解消させています。それを繰り返すうちに、相手を特定の存在として見るようになる……というわけなのです。

もちろん、人の心をそうそう簡単に操ることはできませんが、気になる人との関係に刺激を与えたいときには、応用してみてはいかがでしょうか?

※この記事は2013年12月05日に公開されたものです

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