お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「人を呪わば穴二つ」って怖い言葉? 意味・由来・使い方・類義語

さおり

「人を呪わば穴二つ」の意味や由来、用例、誤用しやすいポイントなど例文を交えて解説します。

「人を呪わば穴二つ」を知っていますか? 文字をパッと見ると怖い表現のように見えることわざです。

会話や文章の中でたまに登場することがありますが、いざ意味を考えると「そういえばどんな意味なのだろうか?」「間違って使っているかも」と不安を感じる方もいるでしょう。

そこで今回は「人を呪わば穴二つ」の意味や語源、使い方を解説します。

「人を呪わば穴二つ」の読み方や意味とは

文字だけを見ると、少し不穏な印象を受けることわざです。なぜ、このことわざができたのでしょうか?

まずは、意味や由来を見ていきましょう。

意味は「人を呪うようなことをすると報いを受ける」

「人を呪わば穴二つ」は、自分や他人の行動に対して戒めを表したり、伝えたりする時に使う言葉です。

ここでの行動とは、他人に対して「悪意を向けた行動」や「悪い状況に陥れる行動」などを指します。良い行いなどに対しては基本的に使いません。

ことわざの意味は、「人を呪うような悪いことをすると、自分にも災難や悪い状況が降りかかる」というものです。

会話や文章の中では「自分が起こした悪行は、結局自分にも返ってくるのでやめましょう」と自分や相手を注意したり、諭したり、禁止したりする時に使用されます。

由来・出典は平安時代の陰陽師の呪い

「人を呪わば穴二つ」という言葉だけを見てもピンとこず「なぜこの言葉で表しているの? 」と疑問に思うことでしょう。分かりにくく、イメージしにくいことわざですが、いつ、どうして使われるようになったのでしょうか?

「穴」は「墓穴」が語源

実は、日本にいた「陰陽師」の行動が由来となっています。「陰陽師」とは、平安時代に陰陽道や天文学等を使って社会を平和に導いていた、いわゆる当時の「占い師」のような存在です。呪いの術も扱い、人を殺める仕事もしていたといわれています。

しかし呪いの術を使う時は、同時に相手の呪いの返り討ちに遭う危険が伴っていました。そのため、呪いを扱う時の陰陽師は「相手だけではなく自分も死ぬかもしれない」と覚悟し、2人分の墓穴(穴二つ)を用意していたそうです。

このように「相手に危害を与えれば、自分にも返ってくる」と死を覚悟した陰陽師の行動が、ことわざの由来になっています。

【例文付き】「人を呪わば穴二つ」の用例

実際に会話や文章ではどのように使うのでしょうか? 使い方のイメージが湧くように、例文をご紹介します。使い方を理解し、ボキャブラリーを増やしましょう!

例文

・憎んで仕返ししたい気持ちはわかるけど、人を呪わば穴二つっていうし、我慢しようよ

・後輩社員をいじめていた先輩社員が、先日リストラされたらしい。まさに人を呪わば穴二つだな

・人を呪わば穴二つだ。嫌がらせをされたけど仕返しはやめよう

「人を呪わば穴二つ」の類義語

「人を呪わば穴二つ」と同じ意味を持つ語句を紹介します。いずれも、「他人への悪行は自分にも返ってくる」ことを表したい時に使えます。

人を謀れば人に謀らる

「謀る」とは、「人をだましたり、悪事を企んだりすること」です。よってこの言葉は、「人をだましたり陥れようとすると、自分もだまされて損害を受けること」を指します。

人を呪わば身を呪う

文字通り、「人を呪うと自分の身も呪うこと」を指しています。「人を呪わば穴二つ」と同じですが、より意味をイメージしやすい語句ですね。

人を憎むは身を憎む

「人を憎み嫌うと、やがて自分自身を憎み嫌うようになる」ことを指します。

「人を呪わば穴二つ」と間違えやすい言葉

「人を呪わば穴二つ」は、実は間違った使い方をされやすいことわざでもあります。

「人を呪わば墓二つ」は誤用

似たような言葉に「人を呪わば墓二つ」があります。先述した由来から、パッと見ると同様の意味で使えそうな感じがしますが、誤用なので注意。語源では「墓」自体ではなく「墓穴」を指すため、この使い方は間違いです。

「因果応報」は違う意味になる

似た意味を持つ語句に「因果応報」があります。意味は、「人や物事に対して行った良いことも悪いことも、結果として同等のものが自分にも返ってくる」です。

意味を聞くと、「一緒ではないの?」「何か違うの?」と疑問に感じるかもしれませんが、実は少し意味が違います。

「因果応報」における「行い」とは、「良い行動」も「悪い行動」も両方も含まれています。一方、「人を呪わば穴二つ」の指す「行い」とは「悪い行動」のみを指すのです。

「人を呪わば穴二つ」の対義語

「人を呪わば穴二つ」には、逆の意味を持つ対義語もあります。ここでいう逆の意味とは、「自分が人にされた報いや悪行を、相手に返すこと」です。

対義語を知ることで、それぞれの違いを深く理解でき、使い分けもうまくいくことでしょう。

目には目を、歯には歯を

古代バビロニアで成立した『ハムラビ法典』にある言葉。自分が受けた仕打ちに対して、同等の仕打ちをもって報いることを表現しています。いわば復讐することを推奨している言葉は、「人を呪わば穴二つ」と反対の意味と言えるでしょう。

同害復讐

「目には目を歯には歯を」と同じ意味です。文字通り、受けたものと同じ危害を相手にも仕返す(復讐する)時に使います。

肉を切らせて骨を断つ

自分も痛手を受ける代わりに、相手にそれ以上の打撃を与えることを表現することわざ。自分が傷つくことを恐れず、捨て身の攻撃をするこの言葉は、「人を呪わば穴二つ」の対義語となります。

「人を呪わば穴二つ」の英語表現

「人を呪わば穴二つ」は、同じ意味を英語でも表現できます。英会話や英作文などで、必要に応じて使ってみましょう。

・He that sows thistles shall reap prickles.

直訳すると、「アザミの種を撒くと、トゲ(棘)を収穫するはめになる」です。アザミは植物の名前で、トゲが多く生える花です。撒いたものは自分で回収するということから、自業自得に近い意味を持ちます。

・Curses, like chickens, come home to roost.

直訳すると、「呪いはひな鳥がねぐらに帰るように、自分に返る」です。呪いをひな鳥に例えて表現しています。

・He that hurts another hurts himself.

直訳すると、「人を傷つけると、自分を傷つけることになる」です。そのままの意味で、比較的、分かりやすい表現ですね。

・Harm set, harm get.

直訳すると、「災いを起こすと、災いに遭うことになる」です。こちらも、シンプルに自分に災難が返ってくることを表しています。

正しく意味を理解して日常で使おう

今回は「人を呪わば穴二つ」の意味や類語、対義語、使い方を解説しました。意味は「悪行は自分にも返ってくる」というもので、自分や他人への戒めとして使われます。似た意味や間違った使い方も多いことわざなので、使い方には注意しましょう。

今回ご紹介した類語や間違えやすい語句を知ることで、深く意味が理解できたのではないでしょうか? ぜひ日常に活かして、会話や文章の表現で使ってみましょう!

(さおり)

※画像はイメージです

SHARE