春の夜空を眺めてみませんか?春の星座の目印教えます
冬は空気が澄んでいて星空がきれいに見える一方、とても寒いので天体観測するのもなかなかタイヘンです……。
それに比べると、春は空の透明度がやや落ちるものの、夜も少しずつ暖かくなって、天体観測にもチャレンジしやすくなります。
そこで今回は、4月中旬の午後9時頃(4月下旬なら午後8時頃)の空を基準に、春の星座たちをご紹介していきたいと思います。
まずは「北斗七星」を見つけよう
春の星座たちを探すには、まず北の空に輝く「北斗七星」を見つけましょう。
北の空の高い位置に、上下が逆さまになった柄杓(ひしゃく)のような並びをした7つの星を見つけることができれば、それが北斗七星です。柄杓のことを漢字一文字で「斗」と表し、北の空に見える7つの星でできた柄杓(斗)という意味から、北斗七星と呼ばれています。
北斗七星は、6つの2等星と1つの3等星からできていますので、比較的簡単に見つけることができるはずです。
なお、北斗七星は単体で星座となっているわけではなく、おおぐま座の一部(しっぽの部分)に相当します。
春の星座の目印(1) ~春の大曲線~
さて、北斗七星の柄杓の持ち手(柄)の部分を延長していくと、東の空にはオレンジ色に輝く星を見ることができます。これはうしかい座の1等星「アークトゥルス」で、春の星座の中では一番の明るさを誇っている星です。
アークトゥルスとは、ギリシア語で「熊の番人」という意味があり、おおぐま座の後を追っかけているように見えることから、こう呼ばれています。
さて、さらにそのカーブを延長していくと、もう少し南の空で今度は青白っぽい色をした明るい星に出会います。おとめ座の1等星「スピカ」です。その先には小さな台形を形づくる4つの星が見えます。こちらはからす座です。
北斗七星から、アークトゥルス、スピカ、そしてからす座までを結んでできる曲線を、「春の大曲線」と言います。
春の星座の目印(2) ~春の大三角~
アークトゥルスとスピカを結ぶ線を1つの辺として、その右側にやや暗く光る星を見つければ、それをもう1つの頂点とした三角形を描くことができます。これが「春の大三角」と呼ばれるもので、そのやや暗い星はしし座の2等星「デネボラ」です。
夏や冬にも大三角はありますが、それらは全て1等星だけで作られています。それに対して、春の大三角だけは2等星が1つ混じっているため、夏や冬の大三角と比べると少し地味な印象があります。
星座界の夫婦星
三重県の二見浦(ふたみがうら)に代表されるように、日本各地には2つの岩が寄り添って見られる「夫婦岩」と呼ばれる景勝地がありますが、同じように春の夜空にも「夫婦星」というものが浮かんでいます。
それが、先ほどからご紹介しているうしかい座のアークトゥルスとおとめ座のスピカで、その色の対比からアークトゥルスを男性、スピカを女性に見立てて夫婦星と呼ばれています。
ちなみに、地球から見ると、この2つの星は隣り合った位置に見えますが、アークトゥルスは地球からおよそ37光年先にあるのに対し、スピカはおよそ250光年も先にあるため、残念ながら実際の宇宙空間ではお互い遠く離れた関係にあります。
けれども、驚くべきことにアークトゥルスは1秒間に130km~140kmという猛烈なスピードでスピカに向かっていると考えられています。この勢いで行けば、5~6万年後にはこの2つの星は本当にすぐ近くに寄り添うことができるでしょう。
かに座の「プレセペ星団」
それ以外の見どころとして、かに座にある「プレセペ星団」もご紹介しておきたいと思います。
しし座のさらに右側(南から西の方角)に位置するかに座は、名前こそ星占いなどで広く知られていますが、実際の空では暗い星ばかりの目立たない星座です。
しかし、そこにあるプレセペ星団は、恒星が多く集まった「散開(さんかい)星団」の1つで、全体で3.7等級の明るさを誇ることから肉眼でも見ることができますし、双眼鏡を使えば1つ1つの星まで分かるでしょう。
まとめ
今回ご紹介してきた春の星座には、残念ながら夏や冬ほどの派手さはありません。
とはいえ、「春の大曲線」や「春の大三角」、「プレセペ星団」といった見どころもありますので、夜が暖かくなってきたら少し外に出て、北斗七星から順に空を眺めていってはいかがでしょうか。
(文/TERA)