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2022年04月12日 17:25 更新

【医師監修】会陰切開の痛みを和らげる3つの方法!薬は飲める?冷やすor温める?

出産を控えている人や会陰切開をした人にとって、会陰切開の痛みはどのくらい続くのか、痛みを和らげるにはどうすればいいかは気になるところですね。今回は会陰切開の痛みや対処方法についてお話しします。

会陰切開の傷はいつまで痛むの
(イラスト=杉井亜希)

どんな時に会陰切開をするの?

「会陰切開」とは、お産の時にあらかじめ会陰を小さく切開しておくことです。

以前は産婦さんのほとんど全員が受けていた時代もあったそうですが、いまはお産の状況をみて必要な場合に行われるようになってきています。現在では、赤ちゃんや産婦さんが下記のような状況に当てはまる場合、会陰切開を行うことが多いようです。

・会陰部の伸びが悪く、放っておくと裂けて、複雑または大きな傷になりそうな場合
・心音に異常があるなど赤ちゃんの状態がよくなく、お産を早く終わらせた方が良い場合
・吸引分娩・鉗子分娩をすることになった場合

・巨大児の場合や肩甲難産※が予測される場合
・低出生体重児や頭部に病気がある赤ちゃんで、頭への圧迫を軽くしたいとき

※肩甲難産:赤ちゃんの肩がママの恥骨結合にひっかかってなかなか出てこないこと

つまり、会陰切開は、「会陰が必要以上に裂けたり、望ましくない方向に裂けるのを防ぐため」や「お産をスムーズに進めるため」に必要な処置なのです。

ちなみに、会陰の伸びが悪いのに切開をせずお産を続けると、腟やその周囲は裂け、傷ができますが、この傷はときに直腸にまで及ぶことがあります。傷ができても縫合処置によって修復はできますが、複雑で大きな傷になると治るまでに時間がかかります。

切開と聞くと怖いような気もしますが、裂けても結局痛いことに変わりはありません。そのうえ、ひどい裂傷では治りが遅くなる可能性もあります。会陰切開をすると聞いても、あまり怖がらないようにしてくださいね。

切開法は主に2種類

会陰切開では、「正中切開法」と「正中側切開法」の2種類が主に行われています。

正中切開法では、「肛門に向かってまっすぐ」に会陰を切開します。
正中側切開法では、「正中切開法よりも少し斜めの角度」に会陰を切開します。

正中切開法は比較的出血が少なく、産後の痛みも少なめになりますが、肛門や直腸近くにまで傷が及ぶ可能性もあります。一方、正中側切開法は正中切開法に比べれば肛門や直腸近くにまで傷が及ぶ可能性は低いものの、比較的痛みが強いと言われています。

いずれの方法にするかはメリット・デメリットを考えた上で、担当の医師が選択することになります。

痛みを和らげるためにできること

痛みを和らげるためにできること
Lazy dummy

会陰切開の痛みを和らげるためには、会陰切開の傷痕の血行を妨げないように心がけ、できるだけ安静に過ごすことがポイントです。

具体的にできることを紹介します。

1. 鎮痛薬を飲む

授乳中に鎮痛薬を飲んで大丈夫かと心配なママもいるかもしれませんが、授乳中に飲んでも問題ない種類もあります。痛みを我慢して十分に眠れなくなったり、赤ちゃんのお世話がスムーズにできなくなることもあるので、痛む時には鎮痛薬で抑えましょう。

退院後にも飲めるように、入院中に産院に相談して鎮痛薬を処方してもらっておくのがおすすめです。

2. 会陰部を冷やす

会陰部の痛む箇所を冷やすと、ズキズキする痛みが落ち着きます。クーリングジェルパックやアイスパック、氷嚢などを清潔なタオルなどに包んで、会陰部の傷に当てて冷やしましょう。

なお、ジェルパックやアイスパック、氷嚢などは直接当てるのではなくタオルなどの布に包んで使用し、冷やしすぎないように注意します。また、清潔にも気をつけてくださいね。

3. 円座クッションを使う

産後用の円座クッションには、中央に穴が開いています。そのため、クッションの上に座っても会陰切開の傷が刺激されず、比較的痛みを感じずに座れます。
授乳や抱っこなど、赤ちゃんのお世話の時に役立ててくださいね。

ただし、長い時間円座クッションに座り続けていると、傷痕の周囲が圧迫されることにより治りが悪くなることもあります。

円座クッションを使うとしてもできるだけ座り続けるのは避け、ときどき横になって体を休めましょう。なお、円座クッションだけでなく産褥椅子などを使う時にも、同様に注意してくださいね。

会陰切開の傷はいつまで痛むの?

会陰切開の傷は一般的には出産後2~3日ほどは強く痛みますが、退院する頃にはたいていは腫れや痛みが落ち着いてきます。抜糸をすると痛みが少し楽になる人もいるでしょう。さらに1ヶ月健診で病院に行く頃には、痛みを感じなくなることがほとんどです。

なお、会陰切開の傷の状態や傷の深さには個人差があります。そのため、痛みが続く期間も個人差があり、思っていたよりも早く痛まなくなることもあれば、痛みがより長く続くこともあります。

傷の回復を促すための注意点

傷の回復を促すための注意点
Lazy dummy

会陰切開の傷がスムーズに回復するためには、毎日の過ごし方も大切です。特に産褥期には次のポイントを心がけましょう。

できるだけ横になって休む

昔から日本では産後の養生が重視され、床上げまではゆっくり過ごすものだと言われてきました。
産後直後は興奮が続いていることもあり、元気なようでも体にはお産による疲れが残っています。

少なくとも産後1ヶ月間は、なるべく外出をせずに自宅でゆっくりと過ごしましょう。
起き上がっても授乳やおむつ交換など、赤ちゃんのお世話をするくらいにして体を休めます。
布団は敷いたままで、寝たり起きたりしながらなるべく体に負担をかけないように心がけてください。

家事は家族などに協力してもらう

退院後はつい今まで通り家事をしたくなるかもしれませんが、産後1ヶ月間は体を回復させるのを優先したい時期です。

会陰切開の傷をスムーズに治していくためにも、家事は家族に協力してもらい、できるだけ横になる時間を作りましょう。

家族の手を借りられない場合は、ママやパパの実家、地域のサポートサービスなどを利用するのもおすすめです。

バランスのいい食事を摂る

傷痕のスムーズな治癒を含め、産後の体調回復には、毎日の食事から十分な栄養分を摂ることも大切です。

主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物摂って、できるだけバランスの良い栄養補給を心がけましょう。

産後は、妊娠中に引き続き、妊娠前よりもカロリーや栄養価が高めの食事を心がける必要があります。エネルギーを摂れるように主食であるご飯やパンを中心にしたうえで、様々な食材をバランスよく食べるようにしましょう。

できればママ本人が料理をするのではなく、家族に食事の準備をしてもらったり、産後のための配達弁当などを利用するといいですね。

まとめ

会陰切開の痛みを和らげる方法のまとめ
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陣痛の痛みから解放されたと思いきや、今度は股の痛みに悩まされることもありますね。
会陰切開の傷痕の痛みのピークは産後2~3日で、その後も産後1ヶ月ほどは痛みますが、傷口の血行を妨げないようにしてできるだけ安静に過ごすうちに、少しずつ痛みは和らいでいきます。鎮痛剤を飲んだり、円座クッションを活用したり、会陰を冷やすなどして乗り越えていきましょう。
傷痕をスムーズに治すためにも、退院後は十分に体を休めることが大切です。家事は家族やまわりの人の手を借りて、できるだけ横になって過ごし、バランスの取れた食事を心がけましょう。ママ1人で我慢したりがんばらないようにしながら、傷痕を癒していってくださいね。

(文:大崎典子/監修:齊藤英和先生) ※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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