【助産師解説】産後の家事はいつからOK?できない期間のおすすめサポート4選

【助産師解説】産後の家事はいつからOK?できない期間のおすすめサポート4選

産後、家事を始めるのにいい時期について、助産師が解説します。休養が大事とされる産褥期。家事はいつ頃、どの程度のものから始めるといいのでしょうか?できない期間の対策についてもお伝えします。


知っておきたい産後の身体のこと

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産褥期(さんじょくき)は身体を休めることが重要とされますが、それはなぜでしょうか? 産後の家事について見ていく前に、まずは産後の身体がどのような状態なのかを知っておきましょう。産後の休養の重要性と、家事を始める時期についてよりわかりやすくなるはずです。

産後の身体はすぐに妊娠前に戻らない

前述のとおり、産後には身体が妊娠前の状態に戻ろうとする「産褥期」と呼ばれる期間があり、その一般的な期間は産後6~8週とされています。
主な器官の一般的な復古期間は、おおよそ以下のようになります。

・子宮

妊娠により大きくなった子宮は、産後1週間ほどで握りこぶしくらいの大きさになり、2週目にはお腹の上からはわからないくらい小さくなるのが一般的です。

・悪露(おろ)

一般的に、悪露は500~1000mlくらい排出されますが、産後4日目までにこの大半が出ます。その後は褐色悪露と呼ばれる赤褐色~褐色の血液が少量排出され、産後2週目には黄色悪露と呼ばれる黄色~クリーム色のものが少量排出されます。その後は灰白色~透明の白色悪露と呼ばれるものが排出され、産後1ヶ月を過ぎる頃になくなります。

・ホルモンバランス

妊娠により分泌量が増えていたエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンは、出産とともに一時的に急低下します。ホルモンバランスの急激な変化により、出産直後は心身に影響を及ぼすこともあります。出産直後にマタニティブルーズになりやすいのもこのためですが、ホルモンバランスが安定してくるにつれ落ち着いてくるので、それはでは無理せず気を楽に過ごしましょう。

産後の身体の状態と一般的な復古期間は上記のとおりですが、身体が妊娠前の状態に戻るまでの期間には個人差があります。できるだけ早く身体を回復させるには、やはり休養が重要というわけですね。

産褥期は休養第一

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「出産したら妊娠前と同じような体調に戻る!」と思ってしまう人もいますが、そうではありません。上でも説明したように、出産直後はとても疲弊しています。また、変化したホルモンバランスなどによって、様々な不快な症状が起こることも少なくありません。後陣痛がつらい、切れた会陰が痛い、腰が痛い、おしっこを出しにくい、授乳の時に乳首が痛い……など、しんどい状況の中で、赤ちゃんのお世話という重要な仕事も行わなければなりません。この時期は、家事をこなすよりも育児の合間に十分な休養をとることが大切です。

また、身体の不調だけでなく、「産後うつ」という心の不調を引き起こす場合もあります。産後うつはホルモンバランスの急激な変化により起こる一時的な症状のマタニティブルーズとは違い、育児の不安やオーバーワークなど、外的影響も要因となって起こります。産後2週間~1ヶ月の間に急激に発症する傾向があり、症状が長期間続くことも多いので注意が必要です。

このように、妊娠・出産により女性の身体は大きく変化します。その変化によって心身にさまざまな影響が起こりやすい産褥期は、できるだけ自分と赤ちゃんのことだけを考え、ゆったり過ごすことが大切です。そうすることで、先々のさまざまなトラブルや体調不良のリスクを少なくすることができるからです。

産後の家事はいつからOK?できない期間の対策

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では、産後の家事はいつ頃から行ってもいいのでしょうか? 始める段階や進め方、できない期間の対策についてお伝えします。

家事を始める時期の目安は?

家事を始める時期は、床上げの時期を目安にするといいでしょう。
床上げとは、いつでも横になれるよう敷きっぱなしにしておいた布団を片付けるさまから来た言葉で、体が回復して普段通りの生活に戻ることを意味しています。産後だけでなく、大きな病気から回復したお祝いの表現としても使われます。

床上げの時期はママの体調によって異なるので、産後何日目という絶対的な日数はありません。一般的には出産の疲労が多く残っている産後3週間はゆっくり体を休め、その後体の回復具合を見ながら徐々に生活に慣らしていくのが良いとされています。このような理由から、少なくとも産後2週間目(退院後1週間)まではできるだけ家事はしないようにするのが望ましいでしょう。

産後3週目に入ったら、体の様子を見ながら負担の少ない家事から少しずつ始めてみましょう。ただし、繰り返しになりますが回復の進み具合には個人差があるので、3週目だから大丈夫と過信せず、自身の状態を見ながら判断することが大切です。1ヶ月健診で大丈夫と診断されるまでは万全とは言いきれないので、疲れたらすぐに休むようにし、無理のない範囲で体を慣らしていくようにしてください。

出産直後の家事はできるだけ家族に甘えよう

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安静第一と言われる期間の家事については、できるだけパパや身近な家族の方に協力してもらうことが望ましいです。2人目以降の出産であれば、ご飯やお風呂、園の送り迎えなど、上の子の育児もお願いしましょう。上の子がある程度大きい場合は、子どもに洗濯や食器の片付けなどの簡単な家事をお願いしてもいいですね。ママが大変な時期だから……と、意識的にやってくれることも多く、子どもの成長にもつながりやすいです。

ママの身体を第一に考えながらも生活に支障を来さないよう工夫するには、事前に出産直後の生活をどのように送るか話し合い、シミュレーションしておくことが大切です。特に男性は産後の身体の状態について理解できていない場合もあるので、妊娠中から産褥期について知ってもらい、休養をとる必要性を理解してもらうようにしましょう。

家事・育児の支援サービスを上手に活用しよう

産褥期は身近な人のサポートを受けるようにと言われても、実際には核家族化や高齢化により実家のサポートが得られなかったり、旦那さんの仕事が忙しくて協力を得にくいという状況にあるご家庭が少なくないことも事実です。

身近に頼れる人や手伝ってもらえる家族がいないときは、自治体の支援サービスや家事代行サービスなど、家事・育児のサポート制度を上手に活用するようにしましょう。自分以外にできる人がいないからと無理をするのは絶対にいけません。最近は自治体の支援はもちろん、民間事業でもサポートサービスが多く出ているので、使えるものはフルに活用しましょう。特に、里帰り出産でない場合は自分が暮らす地域の子育て支援制度などを事前にしっかり調べておくと安心です。

おすすめの家事・育児サポートサービス4選

産後に頼れる人がいない、家事を任せられるか不安……という方に向けて、主な家事・育児サポートサービスについてまとめてみました。自分が住んでいる地域や、ご家庭の事情に合わせて、よりよいサービスを探してみてください。

自治体の「産後ケア」サービス

自治体の「産後ケア」サービスとは、国が推進している産後ケア事業です。2018年の段階で実施している自治体は、全体のおよそ26%。予算や人員確保などの問題で産後ケアに手が回らない自治体もまだまだ多い現状ではありますが、それでも子育て支援の一環としてサポートを実施する自治体は徐々に増えています。行っているサービスも自治体により異なりますが、主には以下のようなサービスが実施されています。

・病院の産後ケア施設利用の補助。
・シッターなど、自宅訪問型サポートの補助。
・自治体が主体となった直接的な産後ケアサービスの実施。

産後ケア事業を行っている地域であれば、ぜひ活用したいサポートですね。自分の地域ではどうなのか、事前にリサーチしておくことをおすすめします。

家事代行サービス

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家事がままならない期間は、定期的に家事代行サービスに来てもらうという方法もあります。お金を払って来てもらうので、知人に頼るより気兼ねなくお願いできるでしょう。
掃除、買い物、料理など、家事全般をお願いすることができ、やってもらいたいことだけピックアップすることもできます。来てもらう頻度や回数を細かく設定できるのも魅力ですね。

中には、一般的な家事代行サービスに加えて、妊娠中から産後にかけての産前産後お手伝いサービスを行っているところもあります。掃除や料理などの一般的な家事と共に、赤ちゃんのオムツ交換や授乳補助など、子育てのサポートサービスも受けられる嬉しいサービス。家事のヘルプというだけでなく、子育ての指導やアドバイスを受けたいときにもいいですね。

ファミリーサポートセンター

こちらは、一般財団法人女性労働協会が行っている支援サービスで、地域において育児や介護の援助を受けたい人と行いたい人が会員となり、育児や介護について助け合う会員組織です。たとえば、保育園の送迎や子どもの一時預かりなどを頼むことができるので、上の子どもがまだ小さい場合などに活用したいサービスですね。

ネットスーパーやお弁当の宅配サービス

生後間もない赤ちゃんがおり、自身の身体の自由もきかない出産直後は近所の買い物すらも大変ですよね。そんなときに便利なのがネットスーパー。全国展開している大手スーパーなら、最寄りでも探しやすいでしょう。

料理をするのも大変な時期は、宅配弁当に頼るという方法もあります。栄養バランスを考えて作っているところがほとんどなので、小さい子どもにも安心です。
お弁当に頼るのはちょっと……という方は、食料宅配会社などのミールキットを活用するのはどうでしょうか? 食材の処理や下準備が済んだ状態で届けられるので、あとは焼いたり煮るだけと楽に料理を済ますことができます。長時間キッチンに立つ必要がないので、床上げしたての時期に活用したいおすすめのサービスと言えますね。

まとめ

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身体の回復を早めるためにも産後の家事はできるだけ周囲の協力を得て、少なくとも産後2週間は安静にすることが望ましいです。料理や掃除など、きちんとしたい人はできないことが気になるかもしれませんが、この時期だけと割り切り、家事はとことん手抜きしましょう。身近な家族に頼れるときは思いっきり甘え、頼れる家族が近くにいないときは地域の支援サービスや各種サポートを上手に活用することをおすすめします。ママの健康は自分だけでなく、赤ちゃんや家族のためでもあることを忘れずに、今後のためにも産褥期はしっかり休むことを優先してくださいね。

この記事の解説助産師
佐藤 裕子先生
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院の総合周産期母子医療センターで10年勤務。現在は助産院マタニティハウスSATOにて、妊娠から出産、産後のトータルケアを担っています。「日々ママや赤ちゃんに寄り添い、笑顔になってくれるのが何よりのやりがいです 」

(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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