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2024年02月18日 09:01 更新

共働き夫婦の1日スケジュール MSD株式会社 藤井亜美さんの場合【朝〜日中編】

共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているママに、お話を聞きました。

共働き夫婦の1日スケジュールとは?

家事・育児・仕事と、目まぐるしい日々を送る共働き夫婦。毎日繰り広げられる分刻みのスケジュールのなか、「こんなに忙しいのは自分たちだけ?」「みんなは毎日をどうのりきっているの?」と疑問を持つママやパパに向けて、共働き夫婦の1日のタイムスケジュールをうかがうこの企画。

第22回となる今回は、製薬会社のMSD株式会社でアソシエイトディレクターとして働くママのタイムスケジュールを前編・後編にわたりインタビュー。前編では朝・昼のタイムスケジュールとお仕事の様子をうかがいました。

取材にご協力いただいた方

MSD株式会社 生産本部 テクニカルオペレーション部 アソシエイトディレクター 藤井亜美さん(37歳)

医療用医薬品とワクチンを届けるMSDの生産本部に所属。普段は薬を製造する埼玉県熊谷市にある妻沼(めぬま)工場に勤務。新しい医薬品やワクチンを届けるにあたり、製造時期、手段などを調整し、全体像を管理している。プライベートでは9歳の女の子のママ。

朝のタイムスケジュール

娘にまず自分でチャレンジしてもらう習慣をつける

――朝は5時半起床なんですね。

藤井さん はい。娘は6時ごろ起きて、学習の時間を設けているので、その間に私は自分の身支度やニュース、メールチェックなどをしています。娘が朝学習の習慣が身についたのは小学校3年生になってからです。ドリルを買って、1日1枚やるようにしたら、達成感を得られるようで続いています。

――それは素晴らしいですね。朝の準備はスムーズですか。

藤井さん 娘が持ち物のチェックや自分の準備などは自主的にしてくれるので、子どもにあまり時間をかけずに済んでいます。朝食もごはんやパン、ゆでブロッコリーやトマトなど、自分で用意して食べてくれますね。そこは私がなにかしているというより、娘のおかげだと思っています。

――朝のご夫婦の家事分担はどのように今のスタイルに落ち着いたのでしょうか。

藤井さん きっちり決めたことはありませんが、夫が2018年から2022年までインドネシアに単身赴任していたので、帰国後から家事は率先してやってくれています。3人の生活に戻ってからも、夫や娘が家を出る時間に合わせて、お互いにできる家事を担当するようになりました。自然と今のスタイルに落ち着きましたね。

――旦那さんは4年間、海外勤務だったのですね。お子さんが小さいときは完全ワンオペだったということですか?

藤井さん はい、完全なワンオペで、娘から「これできない~」と言われても、すぐに手伝えないときも多くて。手が離せないときは、まずは1回チャレンジしてもらえるように「工夫してみて!」と声をかけていました。そのときはすぐにやってあげられないことに対して葛藤もありました。
でも、その期間に夫も家事ができるようになったし、私も自分でいろいろとできるようになったし、娘にもとても助けられて、自分でいろんなことができるように育ってくれているので、各自がずいぶん成長しました。今となってはよかったと思っています。

業務の枠を超えて成長しながら楽しく働く

――普段は在宅勤務ではなく出勤することが多いですか。

藤井さん そうですね。いつもは車で妻沼工場に通勤していますが、月1回程度、新幹線で40分ほどかけて都内の本社に行くこともあります。私は普段の業務とは別に、社員同士のネットワークを活性化することで、よりよい職場づくりを目指すカルチャーアンバサダーを務めているので、その活動や、新製品の導入に関する業務がある場合は本社へ行きます。ほかに、水曜の午後は在宅にするなど、予定によって在宅の日も選べるので、在宅勤務もフレキシブルに取り入れています。

――選べるのはいいですね。カルチャーアンバサダーとはどんな活動をするのでしょう。

藤井さん チームで働くことを大切にしている会社なので、個人の多様な背景を持ち寄って、多様で柔軟な働き方を推進しているんです。そして、業務の枠を超えて、成長しながら楽しく満足に働けたら、よりエンゲージメントも高まると考えています。去年は本社で、社員が家族やパートナーと一緒に参加できるOne MSDフェスタを開催しました。医薬品や健康に関するブースを設けて、会社紹介をするイベントです。社長とお子さんが名刺交換をすることもありました。

――それは素敵なイベントですね。藤井さんのご家族も参加されましたか。

藤井さん 工場での仕事体験プログラムに参加しました! 普段から子どもにもわかるように、仕事の内容は説明していますが、実際にどんな人たちと働いているのか、どんな考え方で仕事をしているのか、感じとれるものがあったようです。娘は「楽しそうだね!」と言ってくれました。

勤務中のタイムスケジュール

社内で得た知識を日々の効率化に活かす

――日中の業務は会議が多いのでしょうか。

藤井さん 毎日必ずミーティングをしています。毎朝9時には必ず生産技術のメンバーとして製造現場に入って、昨日からのできごとや困りごとなどを確認します。あとは週1回や週2回など、決まった会議でスケジュールが埋まっています。

――仕事の効率を上げるために工夫していることはありますか。

藤井さん デジタルに関する効率化は積極的に取り入れています。もともとOfficeのショートカットや、裏技などを知るのが大好きで。社内でそういうのが好きな人たちとコミュニケーションをとることも多いです。会社としても、情報システム部門が定期的にIT関係のトレーニングを続けていて、デジタルで仕事の効率化を図ることに力を入れています。その録画を昼休みに見て勉強して、実際に活用しています。

――会社で学べる機会があるのはいいですね。

藤井さん 学び合いをとても大切にしている風土があります。その道の社内のプロから学ぶ相互レクチャーの機会を積極的に設けているのです。例えば、オンデマンドでIT部門の方にオートメーションを教えてもらうなら、入門から実践までを教わって、「うちの部門で活用するなら、こんなフローに変えてみたらより効率が良いのではないか」というところまで見直します。講義の申請や登録もアプリ化されているので、管理の手間もありません。

――社内で知識を共有して向上していけるのですね。

藤井さん 毎週火曜にはアメリカ出身の同僚と英語でコミュニケーションをとるEnglish Lunchの時間も作っています。ランチの間は英語でしか会話してはいけないというルールです。会社の制度が充実していることはもちろん、実際に活用できる周囲の理解や、環境が整っています。さらに、相互に高め合いながら関係を構築できる人がたくさんいて、チームとして仕事ができていることも、魅力的な職場だと思っています。

海外出張を含むプロジェクトの遂行が大きな自信に!

――子育てをしながら働いていて印象的だったエピソードはありますか?

藤井さん 娘がまだ保育園児で、夫が海外赴任中だったときに、1週間のシンガポール出張も含むプロジェクトへの参画を打診されたことがありました。社内では、もちろん私がワンオペ子育て中であることも周知されていました。それでも「やってみる?」と、まず声をかけてもらえたことがとても嬉しかったです。

――参加されたのでしょうか。

藤井さん そのときはできそうな気がして「やってみます!」と言いました。いろんな働き方で、業務を成し遂げている方が周りにもたくさんいたから、私も安心できたのだと思います。シンガポールは夫が滞在していたインドネシアと比較的近い距離にあるので、夫に週の半分は有休をとって来てもらって、それ以外の業務中は、現地でベビーシッターさんに娘をお願いしました。

――その経験は大きな自信になりますね。

藤井さん 仕事か子育てのどちらかを選ばないとだめということもなく、両立させつつ、どちらかが足りないなんて事態を避けることもできるのだと感じましたね。もちろん、周りの方や夫のサポートがあったからこそできたのですが、限られたリソースでも「できないことはない。なんとかなる!」と自信につながりました。

仕事で学んだ知識は育児にも積極的に活かす!

――仕事の考え方やノウハウを育児に活かせていると感じることもありますか。

藤井さん むしろ積極的に活かしたいと思っています。自分が努力をしているというより、娘にいかに自立してもらうかというところがポイントですね。小学校1年生のころは忘れ物が多く、特に不定期で給食にお箸を持参する「お箸の日」は忘れがちでした。それで、会社の研修で学んだコーチングの内容を活かしながら、娘にどうして忘れるのか、どのタイミングで忘れるのかを聞いて、自分で考えてもらいました。
娘は自分でアイデアを出して、次はこうしてみよう、ああしてみようと実践し、やがてお箸をちゃんと持っていって、さらにしっかり持って帰ってくるようになりました。

――娘さんを育てる中で気づいたことが、仕事につながっていくこともありますか。

藤井さん ありますね。子どもにはどうしてもきつく言ってしまうことがあるので、娘から「お母さん、わかった。ごめんね。でも今の言い方はよくなかったよ」と言われて、ハッとして会社での言い方を改めようと思うことも(笑)。
娘の忘れ物防止策は「忘れ物プロジェクト」として、ゲーム感覚で楽しみました。こういった経験は相乗効果で、子育てだけ、仕事だけに限らず、それぞれに学んだことを活かしやすいですよね。とくに子育てと仕事の人材育成には通ずるものがあります。常に仕事と子育てのどちらかを選ぶのではなくて、両方のいいところをとりたいと思っています。

――藤井さんが仕事で培ったノウハウが娘さんにも、しっかり伝わっている気がします。

藤井さん とくにコーチングやエンゲージメントは子育て向きですよね。結局、娘はその後、お箸を持っていけるようになったのに、またやめてしまったんですよ。理由を聞いたら「なくてもいい、スプーンで食べられることに気づいちゃった!」って(笑)。
だから、やはり目的意識は大事だと思いましたね。ツールができても、意義やエンゲージメントがないと、仕事ができないのだと学びました(笑)。

(取材・文:宮本貴世、撮影: 佐藤 登志雄、イラスト:ぺぷり/マイナビ子育て編集部)

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