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2022年08月04日 17:10 更新

妊娠中の食事やワクチン接種が発達障害の原因になるって本当?『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』#5

3歳児神話や母性愛神話のような古い価値観に基づく情報ではなく、最新の科学的知見に基づいた育児情報を知りたい人へ。漫画コウノドリの取材協力医師であり、Twitterで最新の医療情報を発信する「ふらいと先生」こと今西洋介先生の書籍『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)の試し読み連載をお届けします。

妊娠中の食事やワクチン接種が発達障害の原因になる?

いいえ

どちらも無関係!原因ばかりに目が向くと、適切な対処が遅れるかもしれません。

ここでは、発達障害のなかでも、日本でもっとも多く取り扱われている自閉症スペクトラム(ASD)についてお話します。

ASDは遺伝的な要因による、先天性のものだとわかっています。妊娠中の食事は遺伝子に影響しませんので無関係です。また、アメリカでも日本でもMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹の種混合ワクチン) が原因という根拠のない仮説が広まってしまったことがありますが、現在はいくつもの研究で否定されています。ただ否定されたのが2000年代に入ってからなので、情報がアップデートされていない年配の方も少なからずいるかもしれません。

このように、発達障害の原因を親、とくに母親の行動に求める言説はあとをたちません。これらはどれもエビデンスに基づいたものではなく、「子どものことはすべて母親に責任がある」という誤った価値観がベースにあるもので、社会の問題だと思います。

子どもの障害の原因が特定できると、気持ちが落ち着くのかもしれません。けれど それが事実とは違う情報に基づくものだと、今困っている子どもに適切な対応ができなくなる可能性があります。

ASDは対人関係が苦手だったり、強いこだわりをもったりする特徴がありますが、毎日のルーティンを工夫したり、場合によってはお薬を飲んだりすることで、生きやすくなるよう導くことができます。 大事なのは、医療や専門家のサポートを早めに受けることです。

(答えた人 内田 舞 小児精神科医)

(今西洋介・監修『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

書籍『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』について

新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます
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(2022/7/8 時点)

ネットの掲示板やSNSで見かけたあの育児情報。
ママ&パパの親や近所の方など上の世代からの育児アドバイス。
育児界隈にはいつだって、「これってほんと?」と思うような情報があふれています。

その情報は正しいのか、いったい何が本当なのか……。
根拠のない育児情報にふりまわされて悩むのはもう終わりにしましょう!

Twitterフォロワー10万人強、正確な医療知識の発信に奮闘する”ふらいと先生”こと今西洋介先生待望の書籍が登場しました。
本書は、巷で言われる育児のうわさ・神話・迷信に対して、今西洋介先生をはじめとした医療、教育、社会福祉等の専門家たちが、最新の知見に基づいて科学的に答えていく本です。

・赤ちゃんは親を選んで生まれてくる
・産めば自動的に母性が湧き上がる
・帝王切開で生まれた子は体が弱い
・お父さんの出番は3歳から
・離乳食は手づくりがいちばん …

思えば、多くのうわさ・神話・迷信は、お母さんだけに育児の負担や責任を押しつけるもの。
本書の心強いのは、そのひとつひとつを「これってほんと?」と問い直し、専門家が「はい」「いいえ」と明朗回答、その理由もくわしく説明してくれることです。
苦しむお母さんを救いたい、と社会への問題提起を続ける今西洋介先生の思いが伝わります。

最新の科学的知見に基づいて育児をしたいママ&パパはもちろん、育児情報をアップデートしたい祖父母など、赤ちゃんや子どもに関わるすべての人におすすめの1冊です。

今西洋介先生(ふらいと先生)のプロフィール

新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師。作中の今橋先生のモデルでもある。NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会課題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。趣味はNBA観戦。

Twitter:@doctor_nw

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