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2022年08月25日 15:10 更新

ニラの食べ過ぎはNG?体に良いのは本当?含まれる栄養素の特徴と目安【管理栄養士監修】

ギョウザやレバニラ、鍋など、おなじみの料理に使われているニラ。香りが強いので濃いめの料理との相性がよく、スタミナをつけたいときに食べたくなりますよね。体を元気にするイメージのあるニラですが、食べ過ぎには気を付けた方がいいのでしょうか。ニラの栄養と目安量についてお伝えします。

ニラにはどんな栄養があるの?

スタミナをつけたいとき、ニラを食べることが多いのではないでしょうか。ニラはビタミンが豊富なほか、食物繊維やミネラルも含んでいます。ニラの栄養の効果について見ていきましょう。

アリシン|においのもと

生のニラ

ニラにはニンニクのような特有のにおいがありますね。そのにおいのもとは硫化アリルの一種のアリシンという成分によるものです[*1]。強い抗菌作用をもつともいわれており[*2]、にんにくや玉ねぎ、ねぎなどにも含まれています。

メチイン|ピロリ菌抑制効果

最近の研究によると、ニラに含まれるメチインという成分にピロリ菌を抑制する効果が期待できるとされます[*1]。ニラを食べていればピロリ菌に感染しないということではありませんが、胃の健康に役立つ可能性があるのはうれしいですね。

ビタミンE|抗酸化作用

ニラはビタミンEが豊富な野菜の1つです。ビタミンEは抗酸化作用が強いことで知られ、血管の状態を維持することなどに役立ちます。血管の病気を予防する効果まで期待できるかは、はっきりとわかっていませんが、普段の食事にニラを取り入れていくのはよいでしょう。

油を使うとビタミンEが吸収されやすくなるので、炒め物にしたり、生のニラやさっと茹でたニラにドレッシングやごま油をかけたりするのがおすすめです。

β-カロテン|ニラは緑黄色野菜!

レバニラ炒め

β-カロテンはビタミンE同様、抗酸化作用があるほか、体内でビタミンAに変わる性質があり、目やのど、胃腸などの粘膜や皮膚を健康に保つ働きも持っています。ニラはこのβ-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれているものを言いますが、ニラは3500μgも含まれています[*4]。緑黄色野菜の中でもかなりβ-カロテンが多いのですね。ビタミンEと同じく油と一緒に摂ると吸収率がよくなります。

葉酸|妊娠中や妊娠前は特に大切

ニラに含まれる葉酸は、赤血球の生産や細胞の再生にかかわる栄養素で、発育にも重要な役割をもっています。特に胎児の成長に不可欠であり、赤ちゃんの先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを下げるとされます。妊娠を希望する女性や妊婦さんは十分に摂りたいですね。

葉酸は水や加熱に弱いのでニラを茹でた場合にはその量が減ってしまいます。ニラから葉酸をしっかり摂りたいならば、生で刻んで食べるとよいでしょう。

ビタミンK|丈夫な骨をつくる

ビタミンKはおもに血液の凝固作用にかかわるほか、骨の形成を促す作用もあります。特に納豆に特に多く含まれることで知られますが、野菜ではほうれん草、豆苗などの緑色の葉野菜に多く、ニラにも含まれています[*4] 。納豆や他の緑の野菜が苦手な場合などは、それらの代わりとしてニラを時折、取り入れるといいでしょう。

食物繊維|特に不溶性が豊富

生のニラには100gあたり水溶性食物繊維0.5g、不溶性食物繊維2.2gが含まれています[*4]。同じ葉野菜のキャベツが水溶性0.4g、不溶性1.4gであるのと比べると不溶性が多めです。水溶性食物繊維は便を軟らかくする作用があり、不溶性食物繊維は便のカサを増やして腸の運動を促す作用があります。2つの食物繊維をバランスよく摂ると便秘の改善などに効果的です。

ただし、ニラはキャベツと比べてくせが強いので100g(約1束)を食べるのは難しいでしょう。食物繊維は1つの食材から摂るのではなく色々なものから積み重ねていった方がバランスも良くなります。他の野菜や穀類などからも食物繊維を摂っていけるといいですね。

ミネラル|カリウムなど

ニラにはミネラルも豊富です。カリウムは体の余分な塩分を外に出す働きがあるので、高血圧やむくみの予防に役立ちます。また、野菜には珍しく、骨や歯の形成に必要なカルシウムやマグネシウム、貧血改善が期待できる鉄も含まれています[*4] 。

ニラを食べ過ぎるとどうなる?

ニラ 包丁 刻む

さまざまな栄養素が含まれ、メリットのあるニラですが、たくさん食べた場合には次のようなことが考えられます。

リスク|腹痛や下痢になる可能性

アリシンやメチインが含まれるニラは刺激性があるため、特に生でたくさん食べたりすると、胃壁などに刺激を与えすぎてしまい消化機能に影響を与え、腹痛や下痢、吐き気などの症状が起こるかもしれません。基本的にニラは生で食べることもできますが、これまでにニラを食べてお腹が痛くなったことがある場合は、食べ過ぎない方がいいでしょう。

また、ニラで不溶性食物繊維ばかり摂り過ぎてしまうと、かえって便が硬くなり、便秘につながることもあり得ます。

ニラ1束(100g)は食べ過ぎ?

体質には個人差がありますが、ほとんどの場合は一般的な食材を1日くらい食べ過ぎたからといって何か問題が起きるわけではありません。ニラを1人で1束食べて「多すぎたな」と思えば、翌日やしばらくは控えるなどしてバランスをとれば大丈夫です。

特にニラを食べ過ぎたからといって中毒事例などはありませんが、他の野菜が食べられないくらい毎日たくさん食べるようなことや、1食の内容をニラだけにするというような偏食は避けておくといいでしょう。

Lazy dummy

同じようなアリシンの作用をもつニンニクなどと一緒に摂らないようにするのも、腹痛などのリスク回避としてよいかもしれませんね。

ニラの目安量はどれくらい?

ニラ玉

食べ過ぎの症状が気になるところですが、ニラはどれくらい食べてもいいのでしょうか。

適量の目安|1日60gくらい

健康日本21(第2次)では、野菜の摂取目標量は350g、緑黄色野菜は120g以上としています[*5]。ニラは緑黄色野菜ですが、ニラだけで120gを摂ってもいいというわけではありません。緑黄色野菜はほかにもたくさんあるため、上手く組み合わせて食べるようにしましょう。

あえてニラの目安量を決めるとしたら緑黄色野菜の約半分の60gくらいといえますが、特にたくさん食べたからといって体に悪いことはないので、あまりこの量にこだわりすぎずに食べて大丈夫ですよ。

その他の野菜などの食べ過ぎはこちら!

ニラとそっくりなスイセンに注意!

ニラと間違えやすいスイセン

山菜狩りが始まる頃になると、ニラと間違って見た目が似ているスイセンを食べ、下痢や嘔吐などの食中毒症状を起こす事例が見られます。

ニラとスイセンの見分け方としては「におい」があります。ニラはニンニクのような独特なにおいがしますが、スイセンはそのような強いにおいがしません。また、ニラよりも葉の幅が広くて厚く、根っこが球根になっているのも見分けるための特徴になるでしょう。

過去には農産物販売所で誤ってニラとして販売されたスイセンを購入し、食べた人が食中毒になった事例もあります[*6]。 スイセン以外にもニラと似ているものがあるので、注意しましょう。

まとめ

炒め物や鍋物などに使える野菜のニラ。独特の香りが料理をおいしくしてくれますよね。ただし、刺激や香りが強いので、ニラの栄養素を摂ろうとして生のままたくさん食べたり、一度にたくさん食べるのは避けた方がいいでしょう。食事はあくまでもいろいろなものをバランスよく食べることを大切にしてくださいね。

(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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