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2023年06月12日 18:16 更新

杏色(あんずいろ)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~

【杏色(あんずいろ)】とは、やわらかい橙色のことです。日本の伝統色である【杏色】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。

【杏色】とは?

干しあんず

杏色とは、熟した杏の果実を思わせるやわらかい橙色です。

色の名前 杏  色
読み方   あんずいろ anzu-iro  
英語 apricot color
WEBカラーコード #f4a466
CMYK C=0/M=45/Y=60/K=0
RGB R=244/G=164/B=102
※色は環境等により見え方が異なります。各種カラーコードは絶対のものではなく、あくまで参考値です。

【杏色】の意味と由来は?

【杏色】は、熟した杏の果実を思わせるような、やわらかな赤黄色、または橙色の色名です。杏(あんず)は、バラ科サクラ属の落葉小高木の植物で、梅やスモモなどの仲間です。日本では、果実の種の中にある「杏仁(あんにん)」が漢方薬として重用されていたため、古い時代から栽培されていました。平安時代には、「唐桃(からもも)」と呼ばれ、『古今和歌集(こきんわかしゅう)』にもその名が登場しています。「あふからも ものはなほこそ悲しけれ 別れんことを かねて思えば(あっているのに、なんだか悲しいことだなあ、別れることを思っていると)」という和歌は、清少納言の先祖が詠んだものです。

しかし、【杏色】が色名として日本に広まったのは、明治以降と言われています。これは、欧米から「アプリコットカラー」が伝わり、それを和訳したものが知られるようになったためです。日本の古くからの色名は、花の色からの命名は多いものの、果実の色から付けられたものはあまり多くはありません。一方、海外では果実の色を色名にしたものが多いのが特徴です。ちなみに、杏は淡い薄紅色の花を咲かせます。

杏色に近い色に、同じく果実の色からとられた【枇杷色(びわいろ)】がありますが、これも近代になってから作られた色名です。

【杏色】に合う色は?


杏 色
 あんずいろ 


卵 色
 たまごいろ 



杏 色
 あんずいろ 


藍 白
 あい じろ 

【杏色】に合う色のひとつに【卵色(たまごいろ)】があります。卵色は、卵黄を思わせる少し赤みがかった黄色です。【杏色】とは同系色ですが少し彩度が高く、このふたつを組み合わせると、落ち着いたなかにも可愛らしさを表現することができます。

また、【杏色】をベースにして、藍染めのなかで最も薄い淡い青色の【藍白(あいじろ)】や光沢のある練絹(ねりぎぬ)のような白色の【白練(しろねり)】と合わせると、凛とした白がより引き立ち、目立たせる効果を期待できる配色になります。

A traditional Japanese color "杏色 anzu-iro" is...

The color ”杏” Anzu -means pricot-" is the color name for a soft reddish-yellow or orange color that reminds one of ripe apricot fruit. The apricot is a deciduous, small, tall plant of the cherry family Rosaceae, closely related to the Japanese apricot and plum. In Japan, it has been cultivated since ancient times because the "anniin" (apricot kernel) inside the fruit's seeds was heavily used as a herbal medicine. In the Heian period (794-1185), it was called "唐桃 karamomo," and its name appears in the Kokin Waka Shu (Anthology of Ancient and Modern Japanese Poetry).

However, it is said that the color ”杏” Anzu did not become popular as a color name in Japan until after the Meiji period (1868-1912). This is because that apricot color was introduced from Europe and the U.S., and its Japanese translation became known as the color ”杏”. Many ancient Japanese color names are derived from the color of flowers, but not many are derived from the color of fruits. Overseas, on the other hand, many color names are based on the color of the fruit. Incidentally, the apricot has pale light red flowers.

Another color similar to apricot is "枇杷 Biwa -means loquat-," which is also reminiscent of the color of the fruit, but this color name was created in the modern era.

まとめ

【杏色】は、杏の果実の色を表していますが、日本での色名は欧米から伝わった「アプリコットカラー」を訳したものが始まりでした。アプリコットカラーは、日常的にもよく使われている色で、たとえば、口紅や女性用の衣類や靴、カーテンなどにも採用され、人気のある色のひとつになっています。

(マイナビ子育て編集部)

参考文献
・『色名がわかる辞典』(講談社)
・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)
・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)

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