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2022年12月05日 12:31 更新

紫苑(しおん)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~

【紫苑(しおん)】とは、少し青みがかった薄い紫色のことを言います。日本の伝統色である【紫苑】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。

【紫苑】とは?

シオンの花

紫苑とは、紫苑の花の色のような青みのある薄い紫色のことです。

色の名前       紫  苑      
読み方 しおん shion
英語 light purple
WEBカラーコード #8379a1
CMYK C=40/M=40/Y=0/K=30
RGB R=131/G=121/B=161
※色は環境等により見え方が異なります。各種カラーコードは絶対のものではなく、あくまで参考値です。

【紫苑】の意味と由来は?

【紫苑】は、紫苑の花の色から取られた色名で、少し青みが感じられる薄い紫色のことを言います。紫苑は、キク科の多年草で、秋になると可愛い花をつけます。古くは「のし」と呼ばれていて、平安時代には「しおに」とも言いました。『源氏物語(げんじものがたり)』や平安時代後期の物語『夜半の寝覚(よわのねざめ)』などにも登場します。古い時代から日本人に愛されていた花であり、色でした。

紫根で染めた後で、椿の灰汁で色を安定させた生地は、着物や帯などに使われていました。紫は高貴な色で、身分の高い人しか着用できなかった平安時代にはとくに好まれました。清少納言も『枕草子(まくらのそうし)』の中で、紫苑の衣を「あてやか」(=あでやか)と評しています。この「あでやか」とは、「高貴で美しい色」という意味です。

【紫苑】に合う色は?


紫 苑
 しおん 


黄 蘗
 きはだ 

【紫苑】に合う色のひとつに「黄蘗(きはだ)」があります。黄蘗は、ミカン科のキハダの実の皮で染めた黄色のことで、奈良時代など古い時代から使われてきた色名です。紫苑の花は花びらが薄い紫ですが、中心にあるのは鮮やかな黄色。つまり紫苑の花そのものと同じ組み合わせで、鮮やかな中にも品を感じることができる配色です。

ちなみに着物の色の組み合わせを現す「襲(かさね)」には、その名も「紫苑」という色目があります。こちらは、表が【薄色】(薄い紫色)、裏が【青】で、主に秋に着用されていました。紫苑の花も9月~10月頃に咲いて、9月が最も美しいとされていますので、秋の配色とも言えますね。

A traditional Japanese color "紫苑 shion" is...

A traditional Japanese color "紫苑 Shion -means tatarian aster-" is a color name taken from the color of the tatarian aster's flower, which is a light purple with a slight blue tinge. It is a perennial plant of the Asteraceae family, and has pretty flowers in autumn. It was called "Noshi" in ancient times, and "Shioni" in the Heian period (794-1185). It was used in "The Tale of Genji" and "Yowa no Nezame", a story written in the late Heian period. "紫苑 Shion" was a flower and color loved by the Japanese people since ancient times.

Fabrics dyed with "紫苑 Shion" were mordanted with camellia lye and used for kimonos and obis. Purple was a noble color, and was especially favored in Heian period when only people of high rank could wear it. Sei-Shonagon, a female writer of the Heian period, described "紫苑 Shion" colored robe as "ateyaka" in her essay "Makura-no-soshi". The word "ateyaka" means a noble and beautiful color.

まとめ

可憐で可愛らしい花から名付けられた「紫苑」。高貴な色でもあった薄い紫色は、とくに平安時代の女性から絶大な人気を得ていたようです。最近では、野生のシオンの花は少なくなっているようですが、高地の湿度が高い場所には自生していることもありますよ。ハイキングの途中などに見かけたら、ぜひその色合いに注目してみてください。

(マイナビ子育て編集部)

参考文献
・『色名がわかる辞典』(講談社)
・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)
・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)

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