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2021年12月21日 12:00 更新

小児科医監修|哺乳瓶でのミルクの飲ませ方<手順・コツ・注意点>

慣れればスムーズにできるようになるものの、最初は慌てがちな「哺乳瓶での授乳」。ここでは、哺乳瓶でのミルクの授乳に「必要な工程」と「ポイント」を初めての人にもわかりやすくまとめました。ゲップのさせ方や哺乳瓶の洗浄・消毒、月齢ごとのミルクの量と回数の目安も紹介するので、参考にしてくださいね。

哺乳瓶でミルクを飲ませる手順

哺乳瓶

哺乳瓶でミルクを飲ませるときには、
【1】ミルクを作る
【2】抱っこして与える
【3】ゲップさせる
【4】哺乳瓶の洗浄と必要なら消毒
という流れで行います。

具体的な手順を順番に見ていきましょう。

【1】ミルクを作る

粉ミルクをスプーンですくう

準備するもの

哺乳瓶/乳首/乳首キャップ/乳首フード/粉ミルク/計量スプーン/調乳用の水/流水や氷水/電気ポット、やかん、鍋など

ミルクの作り方

(1)石けんと流水で手指をよく洗い、清潔な布や使い捨てナプキンで水分をふき取る

(2)水を沸騰させる
 ※電気ポットで沸かす場合はスイッチが切れるまで待つ
 ※電子レンジは加熱が不均一で一部が熱くなり、赤ちゃんの口を火傷させる可能性があるのでミルクを作る際は使用しない
 ※沸かした後30分以上放置しない

(3)清潔な哺乳瓶に、製品パッケージ記載の量の粉ミルクをきちんとすり切りで量って入れる

(4)70℃以上にまで冷ましたお湯を「規定の量の2/3程度」まで注ぐ

(5)哺乳瓶に乳首を付け、軽く振ってミルクを溶かす

(6)乳首を外し、できあがりの量までお湯を足す

(7)乳首とフードを付けて、流水や氷水で人肌くらいにまで冷ます

(8)哺乳瓶についた水気を清潔な布や使い捨てナプキンでふき取る

(9)腕の内側にミルクを少し垂らし、体温程度に冷めているか確認する

(10)赤ちゃんに与える

【2】抱っこして与える

授乳するママ

(1)赤ちゃんの頭をひじの内側に置き、赤ちゃんが仰向けよりやや直立した状態になるよう抱っこする

(2)乳首の中がミルクで完全に満たされるよう、哺乳瓶は傾けた状態にしながら授乳する

(3)飲み残したミルクは捨てる

【3】ゲップさせる

赤ちゃんにゲップさせるパパ

(1)吐き戻しに備えて肩の上にガーゼを置く

(2)赤ちゃんを縦抱きで抱き上げ、肩に頭をのせる

(3)片手でおしりを支え、空いたほうの手で背中をトントンと優しくたたくか、下から上にむかってさすりゲップさせる

ゲップは「授乳後」でなくても構いません。途中の方がゲップを出しやすい場合もあります。「哺乳瓶で半分くらい飲んだとき」や「赤ちゃんが一息ついているとき」にも試してみると良いでしょう。

また、抱っこではなく、太ももの上に座らせる方法もあります。くわしくは下記の記事を参照してください。

【4】哺乳瓶の洗浄と必要なら消毒

哺乳瓶洗浄のイメージ

準備するもの

使用済の哺乳瓶と乳首/哺乳瓶専用ブラシ/洗剤/清潔なたらい/手洗い用石けん
消毒する場合は「煮沸」「レンジ」「薬液」などの消毒用品

哺乳瓶の洗い方

(1)石けんと流水で手をよく洗う

(2)哺乳瓶を部品ごとに分解する

(3)それぞれ流水でしっかりすすぐ

(4)清潔なたらいに哺乳瓶と部品を入れ、お湯と洗剤、哺乳瓶専用ブラシを使って洗う。乳首の穴にも汚れが残らないようよく洗う

(5)流水でよくすすぐ

(6)自然乾燥させる

哺乳瓶の消毒はいつまで必要?

よく洗った哺乳瓶は、必要な時期には「煮沸」「レンジ」「薬液」などで洗浄後に「消毒」もしておきましょう。

赤ちゃんの免疫機能が低い時期なので、「生後3ヶ月ごろまでは、1日に1回は哺乳瓶とその部品は消毒したほうが良い」 とされています。

ただし、この時期であっても「温水洗浄・乾燥機能のある食器洗浄機」で洗う(※)のであれば、洗浄後の消毒は不要とも言われています[*1]。哺乳瓶の消毒についてくわしくは、下記の記事を参照してください。

※食器洗浄機の使用は避けてくださいとしている哺乳瓶等もあります。事前に説明書をよく読み、その記載に従ってください

月齢別|ミルクの回数・量の目安

赤ちゃんにミルクを与えるパパ

最後にミルクの回数や量の目安を紹介します。

個人差が大きいのであくまで目安に

ミルクの量が合っているか気になるときは、1回で飲んだ量ではなく「1日に飲む量」を把握しましょう。

赤ちゃんが1日に飲むミルクの量

粉ミルクの1日の授乳量は
「赤ちゃんの体重1kg当たり165~180mLくらい」
と言われていますが、実際は個人差が大きく、この目安量に達していなくても「赤ちゃんが元気」で「体重が増えている」のなら心配いりません[*2]。

参考までに生後すぐ~5ヶ月ごろまでの、育児用ミルクの場合の授乳回数と1回の授乳量の目安も紹介します。

育児用ミルクの授乳間隔・授乳回数と授乳量の目安[*2]
時期・月齢 授乳間隔・授乳回数 授乳量の目安
出生後~3、5日 欲しがる時1日8回 初回10~15mL
(1~数日ごとに10~15mL回数増)
生後1ヶ月未満 1日7~8回 0~1ヶ月 80mL/回
生後1~3ヶ月ごろ 1日5~6回 1~2ヶ月 120~150mL/回
2~3ヶ月 150~160mL/回
生後4~5ヶ月ごろ 1日5回 3~4ヶ月 200mL/回

量が少ない&気になることもある時は受診

診察される赤ちゃん

赤ちゃんがその都度、ミルクを飲んだりあまり飲まなかったりするのはよくあることですが、1日トータルでの授乳量が目安よりいつもだいぶ少なく、以下のような様子も見られたら、一度小児科で相談してみましょう。

体重が増えない

母子手帳に載っている「発育曲線」で該当する月齢の箇所をチェックし、以前に量った体重から増えているか確認しましょう。

おしっこの回数が少ない

個人差もありますが、赤ちゃんの1日のおしっこの回数は、生後3ヶ月ごろまでは1日当り15~20回くらい、 6~12ヶ月ごろは10~16回くらい、1~2歳ごろには8~12回くらいになります[*3]。

便秘気味

「便が1週間に3回未満しか出ない」「硬くて出にくい」「おなかが張っている」などの症状が続く場合、便秘の可能性があります[*4]。

元気がない・機嫌が悪い

「ゲップが出ない」「おむつが汚れている」「部屋の温度が暑すぎる/寒すぎる」などの心配がないのに、元気がなかったり、機嫌が悪かったりしてミルクを飲んでくれないときは、病気などの体調不良が隠れていることもあります。

気になることがあるときは、遠慮せず小児科に相談してください。

まとめ

笑う赤ちゃん

哺乳瓶でミルクを飲ませるときの手順とコツ、注意点を解説しました。毎日何度も行ううちに手際よくできるようになるものですが、赤ちゃんの栄養源となるミルクですからコツを押さえて衛生的に作ってあげたいですね。

そして、ミルクの授乳はパパが大活躍する絶好の機会!「一生懸命ミルクを飲む姿」「お腹がいっぱいになって幸せそうなお顔になる瞬間」を間近で見られるチャンスです。一通りの流れを押さえれば難しいことはないので、ミルクの授乳はパパが積極的に担当して、授乳時ならではの貴重な一瞬をぜひ見逃さないでください。

(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:森戸やすみ先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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