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2022年12月05日 14:30 更新

【医師監修】妊婦さん必読! 妊娠中に美容院を利用する際の疑問を解消

妊娠前は気兼ねなく美容院に行っていた人でも、妊婦になると、美容院の選び方や産前に行くタイミング、カラーやパーマ剤の影響などが気になってきますよね。妊娠中に美容院を利用する際の疑問をまとめて解消しておきましょう。

妊婦が美容院に行く際の気になる疑問を解消

疑問のイメージ
Lazy dummy

妊娠中に美容院を利用する際、気になる疑問とその対処法を順に紹介します。

妊婦だと美容院にお断りされることがあるの?

妊娠中だからといって、美容院への来店自体を断られることは、あまりないでしょう。ただし、施術内容によっては、断られる可能性はあります。

妊婦さんOKか事前に確認して

特にパーマやカラーについては、お店ごとにルールが設けられていて、中には「妊婦さんのパーマ、カラーリングは一律お断り」となっているケースもあるようです 。

そのため、施術してもらえるかどうか、事前に確認してから利用したほうがよいでしょう。なお、妊娠中のカラーやパーマ剤による母体や胎児への影響については、後ほどあらためて説明します。

出産前の最後の美容院はいつまでに行けばいい?

妊娠中期のイメージ

産後しばらくは、子育てに追われ、また、体の回復を待つ必要があり、なかなか美容院に行く時間が取れなくなります。そのため、できれば出産前には美容院に行っておきたいものです。

妊娠中期までなら負担が少ない

最後の美容院をいつにするかについては、妊娠中の体調や髪の長さなどによって個人差があるため、一概に「いつまで」と言うことはできませんが、一般的には「妊娠中期」のうちに済ませておくとよいといわれることが多いです。

妊娠後期になるとおなかがかなり大きくなるため、仰向けでシャンプーをするのがつらかったり、長時間同じ姿勢を取り続けるのが難しくなったりするからです。

「出産前の美容院はこれでいったん区切りにしておこう」と思ったら、しばらくカットやケアができなくなることを考慮し、美容師さんと相談して、できるだけ長持ちするヘアスタイルにしてもらうとよいですね。

カラーやパーマ剤等による母子への影響は?

ヘアカラーの道具

先ほどもふれたように、妊娠中は美容院でのパーマやカラーリングの施術を断られることがあります。それは、パーマ液やカラー剤には、妊婦さんやおなかの赤ちゃんに害を与える可能性があるといわれているからです。

赤ちゃんに害を与える可能性は低いと考えられる

ヘアカラーやパーマ液に含まれる化学物質の中には、たしかに赤ちゃんに害を与える可能性のあるものが含まれています。ただし、それは通常使用する濃度よりずっと濃い濃度で使用した場合のことで、普通にカラーリングやパーマをする分には、あまり心配はいらないだろうという専門家が多いようです[*1-3]。

とはいえ、カラー剤やパーマ液が胎児に与える影響については、実は詳しく調べた調査がほとんどありません。現実的に考えれば、そのような比較実験をできるわけもなく、また、論理的にはリスクがある可能性が非常に低いため研究の対象になりにくいということもあります。

ほとんど危険はないと考えられますが、どうしても心配な人は、妊娠中にカラーやパーマの施術をするのは避けましょう

ママがかぶれたときのことが心配

セルフでカラーリングやパーマをするときに使う市販の薬剤の注意書きには、「頭皮あるいは皮膚が過敏な状態になっているので、妊娠中などの人は使用しないでください」などと書いてあります。

その理由は、ホルモンバランスなどの変化で、妊娠中は皮膚がかぶれやすいと言われているから。実は生理中も同様の理由で避けたほうがよいとされていますが、妊娠中にこうした製品を使用してかぶれると、治療しにくかったり、完治まで時間がかかったりする可能性があるため、生理の時以上に注意する必要があるのです。

そのため、妊娠中はセルフでカラーリングやパーマを行うのは避けたほうが良いでしょう。美容室で使用される薬剤は、種類によってはセルフ用のものより刺激がソフトと言われることもありますが、それでも市販品同様にかぶれを起こす可能性はあります。

美容室でカラーやパーマを受ける際も、やはり事前に妊娠中であることを伝えておいたほうが無難です。

シャンプー台に仰向けになるのがつらいときは?

美容室でシャンプーされる女性

美容院ではシャンプーをする時に仰向けになることがありますが、妊娠中はその姿勢が負担になることもあります。

妊娠中期以降、おなかが大きくなってきた妊婦さんは、仰向けで寝るのを避けたほうがよいといわれます。それは、子宮の重みが脊柱の右側を通っている下大静脈を圧迫し、静脈の血流を妨げて低血圧となる「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」を起こすことがあるためです。

気分が悪くなったら姿勢を変える

仰臥位低血圧症候群は、わずかな時間、仰向けで寝ていただけで起こることもあります。美容院の仰向けシャンプーで体調不良になっても、不思議ではありません。

「苦しい」「お腹が張る」「腰が痛い」「気分が悪い」などの不快な症状を覚えた場合は、まず仰向けになるのをやめましょう。体の左側を下にして横を向く姿勢(左側臥位=ひだりそくがい)をとり、静脈の血流が改善すると速やかに回復します。

美容院によっては仰向けにならなくとも、首を軽く傾けるだけでできるシャンプー台を用意しているところもあります。仰向けで気分が悪くなりやすい人は、予約の際に確認しておくとよいでしょう。また、シャンプーなしでのカットのみにするのもひとつの方法です。

予約のときに妊娠中であることを伝えるべき?

このように妊婦さんNGと言われることがあるため、中には妊娠中であることを隠して美容院の予約をしたくなる人がいるかもしれません。

ですが、妊娠中であることは予約の際にきちんと伝えておきましょう。妊娠中は同じ姿勢を取り続けることや、仰向けになることなどで体調不良になるケースが考えられます。予約の際に妊娠中であることを伝えておけば、お店側も妊婦さんを迎える準備を整えておくことができます。

せっかく予約して楽しみにしていたのに、美容院に行って初めて妊婦さんであることがわかった場合、その場で断られてしまう可能性もあります。お互い気持ち良く施術を終えるためにも、美容院には妊娠中であることを伝えたうえで予約しましょう。

途中で体調が悪くなったらどうしたらいい?

大丈夫だと思っていても、妊娠中はいつ体調が変化するかわかりません。美容院の施術中に体調が悪くなるようなことがあれば、すぐにお店の人に伝えてください。そして、可能であれば横になって少し休みましょう。横になれるスペースがあるかどうかも、事前に確認しておけるとよいですね。

なお、同じ姿勢を取り続けることが、体調不良のきっかけになることは少なくないので、美容師さんに相談して、定期的に立ち上がる時間を作ってもらうと、体調不良になるリスクを減らせるかもしれません。

妊婦におすすめのヘアスタイルは?

美容室で施術が終わった女性

産後、しばらく美容院に行けない時期のある妊婦さん。どんなスタイルが向いているのでしょうか。

手入れが楽で結ぶことのできる長さ

「ケアが楽なヘアスタイル」というと、ショートカットを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしショートカットは、切ってからしばらくの間は楽かもしれませんが、実は髪が伸びてくるとデザインが大きく崩れるため、こまめな手入れが必要なスタイルです。

産後しばらく美容院に行くのが難しそうな妊婦さんの場合は、ヘアスタイルの乱れが目立ちにくいので「結べる長さ」のほうがおすすめです。とはいえ、長すぎても、毎日のシャンプーやブローが大変です。伸びることを考えて、ギリギリ結べるくらいの長さに整えておくと、その後の手入れがしやすいでしょう。

しばらく美容院に行けないつもりでカラーを

美容院でカラーリングをする場合、その後しばらくはカラーリングができない可能性があることを考慮した色味にしておくとよいでしょう。明るめのカラーにすると、産後、伸びてきたところとの差が気になってしまうかもしれません。

産後は抜け毛が多くなることも忘れずに

妊娠中は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が増えるため、髪の毛がつややかで強くなるほか、本来抜けるはずだった髪の毛が抜けずにキープされるため、一見、髪の量が増えたと感じることがあります。

ところが、妊娠中に増えたエストロゲンは、出産とともに一気に減少します。それに伴い、産後は抜け毛が増加しやすくなります。妊娠中、最後の美容院でヘアスタイルを決める際は、産後、毛量が今より少なくなる可能性があることも踏まえて考えるとよいでしょう。

まとめ

美容室で施術中の女性

妊婦さんは、産後しばらくは行けないかもしれないので、妊娠中期の間に美容院に行っておくことをおすすめします。その際は、産後のことを考えて、多少伸びても手入れが楽なヘアスタイルにしておくのがベター。

妊娠中のカラーリングやパーマが、おなかの赤ちゃんに影響する可能性は低いと考えられていますが、妊婦さん自身が薬剤にかぶれるリスクを考えると、できれば産後まで待ったほうがよいでしょう。

美容院では同じ姿勢を続けること、仰向けになることなどで体調に変化が生じる可能性もあります。美容師さんと相談して、具合が悪くなったら横になって休む、座りっぱなしを避けるなどの工夫もしましょう。出産前の貴重な時間にリラックスしながらキレイになって、心身ともに赤ちゃんを迎える準備を整えていけるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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