共働き夫婦 共働き夫婦
2021年07月18日 13:53 更新

父子手帳、DL可能なおすすめ3冊を紹介! 妊娠・出産から子育て情報まで必見の内容 #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.9

産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

渡邊大地の令和的ワーパパ道,渡邊大地,育児

夕方、公園でお友だちと遊んでいる長女(小3)をお迎えに行きました。近所の子たち5~6人と遊んでいて、一輪車やらホッピングやら縄跳びやらで盛り上がっています。娘に「お~い」と手を振り、娘もこちらに気付くものの、“既読スルー”並みのシカトを決め込み、帰る素振りを見せません。なんだかな~と思い、「どこのカワイ子ちゃんかと思ったら、うちのミッちゃんか!」と再度声をかけると、今度は娘が全速力で駆けてきて、「まじでそういうのヤメテ!二度とパパと口きかなくするよ!うっとおしい!」とすごまれました。

帰宅後、長女から呼び出され、「パパ、何でおこられてるかわかってるよね?」と説教が始まりました。

このセリフ、妻がぼくに対して怒るときと一言一句同じです。娘の成長と妻化が止まりません。

皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!

父子手帳を知ってますか?

今回は、母子手帳ならぬ「父子手帳」を紹介したいと思います。

父子手帳とは、主に妻が妊娠中の男性や、子育て初心者の男性向けの読み物として、自治体などが作成している冊子です。妊娠中の妻や赤ちゃんの様子といったマタニティ期の情報、出産時の流れや立ち合い出産の方法、産後の女性の身体の変化、子育てのノウハウや、子どもとの接し方、夫婦のコミュニケーションなどが主な内容です。

自治体によって配布方法はさまざまで、母子手帳とセットでもらえる場合もあれば、出生届を出すタイミングで受け取れるもの、時期を問わず役所の窓口で申し出ればもらえるもの、両親学級・子育て講座などに出席するともらえるもの、役所や子育て広場などに陳列してあって自由に持ち帰れるものなどがあります。

元は冊子で配布するものが主流だったので、自分の住んでいる自治体のものしか手に入らなかったのですが、その後スマホの普及にともなって、PDFやアプリなどの形で無料ダウンロードできるものがナウなトレンディーです(←古かった?)。

県が作成している場合もあれば、市区町村が作成している場合もあります。冊子だとサイズは概ね2種類で、文庫本サイズかA5サイズ。「手帳」という名の通り、ところどころ記入できるタイプもあれば、完全な読み物になっているものもあります。作りは大きく分けて2種類、既製品と自治体のオリジナル版があるのですが、今回は自治体オリジナル版にスポットを当ててご紹介したいと思います。

自治体ごとのオリジナル版は、各自治体の「これぞ!パパの極意!」と思われる内容を編集してあり、基本的にはその自治体に住んでいるパパ・プレパパに無料で冊子が配布されるというものです。扱っているテーマは上記に書いたようなものですが、そのほかに制作している自治体の子育て情報(子育て広場の案内や、子育て施策の紹介など)が巻末に掲載されているものが多く見受けられます。表現方法や力の入れどころに自治体ごとの特色があるため、あとで紹介するような非常に有意義に作られているものもあります。

全国のオリジナル父子手帳、お勧めは?

そんな父子手帳、無料ダウンロードできるなら片っ端からゲットして熟読すべし!……かというと、そうとも言い切れません。

ぼくは仕事柄、約40種類のご当地父子手帳を持っていますが、すべて目を通した中でも、出色の出来と思ったものはほんの一握りです。多くは、こんな仕事をしているぼくでさえも「これはちょっとキツイかも……」と思うような内容が網羅されているので、注意が必要です。

具体的には「男たるものイクメンたれ!」「育児をしない男を父親とは呼ばない!」「今すぐ家事・育児の分量を増やせ!」という“教訓”めいたものが刻まれており、パパに寄り添うというよりは、パパのしつけ本といった類のものも少なくないんですね。

「じゃあ、どの父子手帳を入手したらいいんだ?」というわけで、ぼくの知っている父子手帳の中から、「これは一読の価値あり!」というお勧めのものを3つ紹介しますね。

渡邊大地の令和的ワーパパ道,渡邊大地,育児

① 新潟県三条市『Enjoy!パパ手帳』

父子手帳って、子育てに関心の高いパパ向けのディープなもの(子育て情報てんこ盛り)か、いかにも「母子手帳を間引きしました」的なお役所ライクなものかに二極化しているんですが、三条市の父子手帳に関しては、積極的に関わりたいパパにも、子育てのことについてまだよくわからないパパにも受け入れやすいハイブリットな仕上がりと言えます。

コメントなどを書き込めるスペースもありつつ、健診の日程や「初めてしゃべったことば」なども書けるようになっており、記録としての役割も果たせます。さらに妊娠の経過のページには「ママのお願い」という欄が付いていて、妻から夫へのメッセージを書けるようにもなっています。

産前産後はどうしても、
妻「そのくらい、言われなくてもやってよ!」
夫「そんなこと、言ってくれなきゃわかんないよ!」
――を、心の中で言い合いする時期じゃないですか。

それを折り合い付けるのが難しいわけですけど、こうして父子手帳がコミュニケーションツールになってくれれば、非常に有意義です。

② 埼玉県さいたま市『さいたま市で父になる』

地元で子育て支援をしているNPO団体が作成しています。内容としてはオーソドックスなものを踏まえつつ、最大のポイントは、現役パパの生の声が大量に反映されている点です。ホント、大量に。こういうのってほかの父子手帳でもよく使われる手なんですが、さいたま市がほかと違うところは、パパの声が「イクメン自慢ではない」というところなんです。

父子手帳ですごく多いのが、イクメンの自慢が大量に書かれていて、読んでいるうちにお腹いっぱいになっちゃうことです。でも、さいたま市の父子手帳では、「うまくできなくたっていいじゃん」「みんな失敗からのスタートだよ」という気持ちにさせてくれるような生の声が多数掲載されています。やる気のあるパパにこそ、寄り添ってくれるこんな父子手帳がお勧めです。

③ 兵庫県西宮市『Hello Baby!! みやっこの育て方 ~お父さんになるあなたへ~』

全体としては母子手帳の雰囲気に近く、若干のとっつきにくさはあるのですが、一点とても貴重なデータが載っているんです。

「お母さんと赤ちゃんの24時間」という見開きページで、昼間にお母さんと生後2ヶ月ころの赤ちゃんが2人だけで過ごす場合の、1日のタイムラインが載っています。

ほかの自治体にも似たような試みはあるのですが、ここほど正確に再現したものは見当たらなかったですね。授乳、オムツ替えの回数だけでなく、赤ちゃんが寝ている時間と起きている時間が色分けしてあるという点が素晴らしいんです。生後2ヶ月の赤ちゃんの1日がどういうものなのか、赤ちゃんが寝ている間、ママがいかに細切れの時間を使って家事をこなしているかがよくわかります。

このページをポスターにして、母子手帳とともに配布して、壁に貼ってもらうようにすればいいのに、と思うくらいです。

なお、このタイムラインに書かれている家事・育児をママがすべて請け負った場合、その労働時間は実に約20時間にもなるわけです。
※グラフから読み取れる範囲でぼくが概算しています。

「乳児を育てていると、日中休んでいる時間などない」ということがよく理解できるので、パパはもちろん、プレパパ・プレママも必見です。

このほかにもお勧めの父子手帳はいくつかあるのですが、ここではPDFで誰でも入手できるものを紹介しました。
<今回ご紹介した父子手帳>

新潟県三条市『Enjoy!パパ手帳』
https://www.city.sanjo.niigata.jp/soshiki/sanjoukyouiku/kyoikuiinkaijimukyoku/kosodateshienka/10/10661.html

埼玉県さいたま市『さいたま市で父になる』
https://www.city.saitama.jp/003/001/012/p022335.html

兵庫県西宮市『Hello Baby!! みやっこの育て方 ~お父さんになるあなたへ~』
https://www.nishi.or.jp/kosodate/ninshin/ninshingawakattara/hajimeni/fushitetyo.html

母子手帳あってこその父子手帳

父子手帳に興味を持たれた方は、上の情報も参考にしていただきつつ、ぜひ自分に合ったものを探してみていただきたいのですが、間違ってはいけません。

「母子手帳は母が読むものだから、父が読むための父子手帳ができた」わけではないんです。

母子手帳というのは実は通称で、本名は「母子健康手帳」と言います。これは「母子が健康でいられるための手帳」という思いが込められているのだそうで、母子を取り巻く家族、特に夫も当然読むべきものとされています。一般的な母子手帳には「父親の役割」のような父親向けのページもあります。まずはこの母子手帳に何が書かれてあるのかをじっくり読むだけで、かなり勉強になります(ただし、妊婦健診の際に体重を記入する欄があり、「体重を夫に見られたくない」というママもいます。その点は妻に事前に確認しましょう)。

読むだけではなく、母子手帳には記入すべきページもあります。1ヶ月健診、3~4ヶ月健診をはじめ、各健診のたびに、医師は母子手帳に記入された問診を見ながら受け答えをします。ですから、母子手帳そっちのけで父子手帳入手に勤しむのではなく、父子手帳を取っ掛かりに母子手帳に興味をもってもらえると、きっと妻も子どもも喜ぶのではないでしょうか。

「そんなこと言われても、子育てにあまり関わってこなかったから今さら母子手帳に書けることなんてない……」と思っても、嘆くことはありません。母子手帳の記入欄について妻に尋ね、パパが書くのだっていいんです。「寝返りしたのっていつ?」「離乳食始めたのはこの日だよね」など尋ねながら代筆すれば、妻だってぼくらの前向きな姿勢を喜んでくれます。

ぼくは以前、母から自分の母子手帳を見せてもらったときに、たくさんの書き込みがあったことをとてもうれしく思いました(肥満児で悩んでいることなど、当時の母の気持ちが赤裸々に書かれてありました)。そこに、もし父も積極的に書き込んでくれていたとしたらなおうれしかっただろうと思います。我が子が成長したあかつきには、父母が書き込んだ母子手帳を見せたくないですか?

そして、もうひとつ大事な話。何よりも勉強になるのは、我が子をよく見て、接して、多く関わることです。母子手帳も父子手帳も勉強になりますが、我が子以上にぼくらを親に育ててくれる存在はありません。

優先順位
我が子(子どもと一緒のとき) > 母子手帳(自宅にいるとき) > 父子手帳(通勤中など)


このことを忘れずに、手帳はあくまでもサイドメニューとして、我が子との大切な時間を過ごすようにしましょうね。

さあ、父子手帳から入って母子手帳を見直すもよし、真っ先に母子手帳を熟読するもよし。とりあえず今日は我が子との時間を最優先するもよし。

母子手帳・父子手帳を上手に使って、我が子との時間を有意義なものにしていきましょう!

ちなみに、「娘の妻化」について解説された父子手帳はまだ見たことがありません。見つけた方はぜひぼくに教えてくださいね。

※なお、2011年ころから、母子手帳を「親子健康手帳」という名称にして再編集・発行する運動が起こり、採用する自治体も増えてきています。

今回のまとめ

父子手帳・母子手帳を上手に使って、我が子との時間を有意義に過ごそう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-