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共働き夫婦のすれ違いはなぜ起きる? 解決のカギは「夫婦ミーティング」#共働き夫婦の産後

共働き夫婦のすれ違いはなぜ起きる? 解決のカギは「夫婦ミーティング」#共働き夫婦の産後

「夫が育児に協力的でない」「家事、育児、仕事と、私ばっかりが大変」などの不満を抱えていませんか? それは夫婦コミュニケーションを見直したほうがいいという合図かも。産後サポート事業運営のほか、累計1万5,000人以上の夫婦が参加する両親学級講師を務める渡邊大地さんに、共働き夫婦のすれ違いに効く解決法を教えてもらいました。


共働き夫婦のすれちがいはどうして起こる?

夫婦のミゾ

『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』渡邊大地、青柳ちか(KADOKAWA)より

――本日は、よろしくお願いします。早速ですが、育児に関連して共働き夫婦でよく起こる問題には、どんなものが多いと感じますか?

渡邊さん:やはり共働きだと、夫と妻のどちらが送り迎えをするのか、どちらが予防接種に連れて行くのか、子どもが熱を出したり学級閉鎖になったりした場合にどちらが休むのか、ということが挙げられるでしょうか。そしてその場合、大抵妻が対応することが多いのではないかと思います。

家事、育児の役割分担。男性の考えは?

――役割分担に関する問題ですね。渡邊さんはこれまでさまざまな産後夫婦からの相談を受けていると思いますが、役割分担についてはどんな傾向がありますか? 役割分担を決めていない家庭は多いのでしょうか?

渡邊さん:僕の感覚としては、決めていない方が多いですね。もちろん、決めている家庭もありますが、そういう夫婦は産後に起こる夫婦間の不満が少ないと感じています。

やはり、決めていないからこそ不満が出て、その結果として妻が会社を休むことになる。何でもそうですけど、役割分担を決めていないと最終的には妻が対応することになってしまうのだと思います。

――男性側は、産後の家事や育児についての役割分担についてどう考えているのでしょうか?

渡邊さん:正直なところ、世の夫からすると「妻がやってくれるならわざわざ決めず、そのままにしておこう」という思惑はあると思います。「話し合っちゃったら自分も分担することになってしまうから、その話題はできるだけ避けよう」という夫もいるでしょう。

夫がそんな感じだと、妻も夫に相談しづらくなったり、「どうせ話し合ったってケンカになるなら、自分でやってしまおう」と考えたりするようになる。でもそれが結果として小さな不満となり、積もり積もって夫婦間の溝ができてしまうんです。

――確かに、一番近くにいる相手だからこそ、衝突を避けるために言えないことってありますよね。わかってくれていて当然という意識もどこかにある。でもそれが小さなすれ違いになって、最終的には離婚に繋がってしまう可能性もゼロではない。

渡邊さん:そうなんです。赤ちゃんの時期が大変なのは確かですが、子育てはその後もずっと続きます。たとえば、子どもが小学校に行くようになったときには、さらに大きな問題になって夫婦に降りかかってくることもあり得るんですよ。

小学校は入学してしばらく帰宅時間が早いし、意外と行事の振替休日が多くて、その対応を夫婦のどちらがするか、という問題も出てきます。子どもが保育園に通っている段階で妻がすべて対応してしまっていると、入学後はさらに夫に不満が溜まって、結婚生活がよりキツくなってしまいます。

――私、今まさにその状態です! 実は子どもが今年入学したんですが、入学準備や入学後の保護者会、地区班、毎日の持ち物・宿題対応などなど、激増したタスクをほぼすべて私が対応しているんです。この間、ついに夫に対しての不満が爆発してしまいました。

育児の大変さは夫婦で共有しよう

――男性が実際に育児にしっかり取り組もうと思うと育児休暇が必要になってきますが、渡邊さんの周囲で育休を取得した男性はいますか? また、取得する場合、どのくらいの日数を取っている人が多いと感じますか?

渡邊さん:私の周囲でよく聞くのは、育休と言っても、妻が入院している出産前後の3日間くらいで取得するというパターンですね。しかも、3日はまだマシで、2日、1日で終わりというケースも少なくありません。ほかに、平日5日間に休みを取り、週末と合わせて1週間を育児休暇に当てている夫もいるかな、という印象です。

――母親目線だと、3日間では育児休暇のうちに入りませんね。

渡邊さん:そうですよね。しかも、入院前後の3日間なので、実際に夫が赤ちゃんのお世話をする生活にまで入り込めないのが問題です。特に初めての出産の場合、退院したあとはバタバタしがちじゃないですか。そこを妻に任せっきりだと、夫は「育児ってこんなに大変なんだ」という姿をきちんと見ていないことになる。

そのうち妻も赤ちゃんのお世話に慣れていくわけですが、それを夫は「女性はやっぱり最初から育児ができるんだな」と勘違いしてしまうんです。妻も“子育て初心者”であることを夫もしっかり見ておいて、お互い努力している姿を見せ合わないと。

――夫婦で「育児の大変さ」を共有しないといけないわけですね。

渡邊さん:はい。そうじゃないと、赤ちゃんが泣いたら「ママじゃないと泣き止まないから、ママお願い」とか、最初にお話しした「子どもの行事で休むのはママで」ということに繋がっていくと思うんです。赤ちゃんが泣き止まない場合は、「なんで泣き止まないんだろう」と2人でその疑問を共有して、どうしたら泣き止むのか2人で解決策を見つけ出して欲しい。

「産後の恨みは介護で返す」なんて冗談もありますが、女性にとっては「産後の一番大変なときに夫が協力してくれなかった」というのは、それくらい尾を引く話なんです。逆に言うと、育児の大変な時期を夫婦で一緒に乗り越えることで夫婦の信頼関係が築かれて、その先も「何でも相談できる」関係性が続くと思います。そして、ちょうど里帰り期間になりやすい生後1ヶ月くらいは、本来は夫婦で育児を共有できるチャンスなんです。

――私は、初産で双子を産んだんです。赤ちゃんのころは夜中にそれぞれ3回起きていたので、計6回起きてミルクをあげないといけない。とてもひとりでは対応できなかったので、我が家は夫も夜に起きてミルクをあげて、と育児をやらざるを得ない状況でした。あのころは、夫婦で「しんどい」と弱音を吐いてましたね~。

渡邊さん:夫だってもちろん弱音を吐いてもいいんですよね! 僕も、子どもが泣いたときに、抱っこしてあやしたのに、どうしても泣き止まなくて疲れ切ってしまったことがあって。

僕が「もうダメだ~」となったとき、妻が「もうがんばったからいいよ。赤ちゃん、置きなよ」と言ってくれたんです。精神的に「子育てってしんどい」と思っていたときだったので、妻からのあの言葉はものすごく救われたなぁ。

まずは気軽なテーマで「夫婦ミーティング」を始めよう

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――渡邊さんが感じていた「子育てがしんどい」という気持ちは、奥さんと共有できていたんですか?

渡邊さん:そうですね。その泣き止まなかったという子は2人目のときだったんですが、すでに最初の子どものときから、夫婦でミーティングはしていたので、共有できていました。

――夫婦でのミーティングはどんなきっかけで始まったんですか?

渡邊さん:最初は、第一子が生まれて6ヶ月くらい経ったある日、妻に「夫婦の会話が足りないから、毎週日曜の20時から1時間、ミーティングをしよう」と言われたんです。僕からすれば「え? 夫婦の会話、してるじゃん?」という気持ちでした。

でも思い返すと、夫婦の会話といえば「仕事行っている間、子どもはどうだった?」という子どもの話題だけ。妻からすると、「子どものことしか話してないじゃん」「もっと私のことを気にかけてほしい」という思いだったんです。会話はしているけど、すれ違っている状態ですね。

――渡邊さんとしては、はじめはイヤイヤ参加するという感じだったのでしょうか?

渡邊さん:そのころ僕はまだ会社員だったので、正直「ミーティングをしよう」と提案されたときには、「そのために時間を取るのは面倒臭いな」とか、「週末だし家でゆっくりしたいな」と感じていました。でも、いざ始めてみるとお互いに盛り上がって、「これはいい」とすぐに感じました。

――男性はプレッシャーに感じたり、嫌がったりしないでしょうか? 実は私も夫に「夫婦でミーティングをしよう」と提案してみたのですが、「なんか怖い」と言われてしまって……。

渡邊さん:「ミーティング」といっても、話し合うテーマは「他愛もないもの」であることがポイントなんです。「夏休みの予定を立てよう」とか、「引っ越すとしたら、どの辺に引っ越したい?」とか、「付き合っていたときによく通っていたお店を思い出して語ってみよう」とか、軽くて夫婦で楽しく話せるテーマがいいですね。

テーマはどうやって決める?

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――なるほど。そこをきちんと夫に説明してあげるとよかったかもしれませんね。ちなみに、テーマを決める際のルールはあったんですか?

渡邊さん我が家のミーティングでは、「子どものことはテーマにしない」というルールがありました。妻が、子どもに関すること以外での夫婦の会話を望んでいたのもあるし、ミーティングのテーマを子どもに関するものにしちゃうと、きっと全部が子どもの話題だけで終わってしまうと思ったので、そこはあえて切り離しましたね。

それから、テーマ決めは夫婦交互でしていて、今週は僕がテーマを発表したら、来週は妻がテーマを発表する、というようにローテーションにしていました。ミーティングの最後に次回のテーマを発表して終了、という流れにしていて。

――テーマ決めを夫婦で順番にするのは、心理的にも負担が少ないし、テーマが偏らなくていいかもしれないですね。テーマ決めをする際に心がけていたことってありましたか?

渡邊さん:そうですねぇ。我が家では、「ミーティングを習慣化させる」ということを最初の目的にし、まずは面倒になったり負担になったりしないようなライトなテーマにすることを心がけていました。

そして習慣化してきたところで、「家計の見直しをする」とか「保育園はどこにするか」といった重めのテーマを話し合っていました。やっぱり習慣化していたからこそ、そんな重要なテーマでも自然に話し合える環境になっていったんでしょうね。

――なるほど。ミーティングのあと、渡邊さんから見た奥さんの様子はどんな感じでしたか?

渡邊さん:子どものこと以外のテーマでたくさん話せて、イキイキしている様子でしたね。気分もリフレッシュできたみたいで。

――そういう場がないと、妻側としては日々の小さな不満をぶつける機会ってなかなかないんですよね。「洗濯物を干してくれるのはいいけど、干すときはちゃんとシワを伸ばしてよね!」とか、普段の生活でも夫にイライラしがちだと思うんです。でも、定期的に夫婦でミーティングをしていたら「ミーティングまであと○日だから、今は我慢しよう」とか、「このことは次のミーティングで言おう」と少し冷静になれる、ってこともあるんですか?

渡邊さん:冷静になれるというより、夫婦間の風通しがよくなると、夫との関係性がよくなって、細かいことを含め「大体のことが気にならなくなる」ということなのかもしれません。

夫が普段から聞く耳を持たない態度だと、それこそ洗濯物の干し方ひとつで妻がイライラすると思うんです。ミーティングを重ねて、「いつでも夫が話を聞いてくれる」という関係性になれることで、「干し方くらいいいか」という考え方になるんじゃないでしょうか。

――確かに! 夫婦で小さなコミュニケーションを積み重ねていれば、相手を思いやる気持ちも自然と生まれてくるのかもしれませんね。

渡邊家の「ミーティングのルール」
 1: 子どもの話は持ち込まない
 2: お互いを傷つけるようなことは言わない
 3: 決めた日時(渡邊家は毎週日曜20時~)を守る
 4: どんなに長引いても、1時間で終わらせる。結論が出ない場合は、次週に持ち越し
 5: 次週のお題はローテーションで出し合う

「その言葉の真意」を知ることができるのが、最大のメリット

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ミーティングをうまく続けるコツは?

――ミーティングを進めるなかで、気をつけるべきポイントってあるんでしょうか?

渡邊さん:我が家は、毎週日曜の20時からスタートしていたんですが、ダラダラやるのではなく「1時間で終わらせよう」というルールを決めていました。

妻は「私が責任持って、20時までには子どもを寝せるから!」とがんばってくれていましたね。妻が寝かしつけを終えたらすぐに始められるように、僕はお茶を準備していました。

――ルールを守りつつ、快適にスタートさせられる仕組みにしていたんですね。ちなみに、話を進めていくうちに、「ここは直して欲しい」とか「家事でもっとこうして欲しい」とか、ミーティングそのものが険悪になることってなかったんですか?

渡邊さん:ありますよ。でもカッとなったときは、ミーティング中に「今、腹が立っています」と申告し合っていました。こうやって気持ちを口に出しちゃうと、割とスッキリしちゃうんです。気持ちを言えずに溜め込んでいると無口になっちゃって、話が進まなかったりしますし。もし相手から言われたら、「あ、それは大変失礼しました」って感じて、2人とも一度受け止めていました(笑)。

――なるほど。夫婦といえども他人同士なので、確かに言わないとわからないことって、たくさんありますが、そこは感情的にならずに一度受け止めることがポイントなんですね。あと、どれくらいの頻度で行えばいいものなんでしょうか?

渡邊さん:大事な話をすぐにできる環境であれば、回数は少なくてもいいと思います。僕の周りでは、毎月一日(ついたち)に行うご夫婦もあれば、毎晩5分くらいずつと決めているご夫婦もいました。

慣れるまでは週1くらいがいいのかな、と思いますけど、夫婦間で習慣的に継続できるペースを模索してみてください。「今週は用事があってできない」というときは、別日に振替したりするのもアリですよ。

――ミーティングをしていてよかった、というメリットは?

渡邊さん:妻が言っていた「子育てが大変で、ツライ。しんどい」という言葉の意味が、ミーティングをするまでは理解できなかったんです。正直、「気合いが足りないんじゃないか」とか、「こっちも仕事してるんだから、ツライよ」と思っていました。

でもミーティングをしていくなかで、子どもと2人きりで一日一緒にいることが、体力的・精神的にどれほど大変かというのが、いろんな話を聞いていくうちに理解できるようになりました。

おそらくそれまでは、「働いている人と働いていない人では、働いている人のほうが偉い」「家にいるほうが楽」という感覚が僕の中にあったんだと思います。でも妻の話を聞いて、「働かせてもらっているほうがよっぽど楽かもしれないな」という考え方に変化しました。

それから、二つ目のメリットは、夫婦の間で言葉の定義が違っていることに気が付いたことです。例えば、「家族を支える」という言葉があったときに、僕の中ではそれはイコール「経済的に支える」という意味だったんですけど、妻からすると「困ったときに一緒にいる」という意味だったということがわかりました。

食事を作ることに対して「ありがとう」と言うときも、「おいしい食事をありがとう」という意味はもちろんだけど、「子どもの面倒を見ながら他の家事をしつつ、献立も考えて、買い物に行って、食事を作ってくれた」という意味で「ありがとう」と言えるようになりましたね。

――妻側からも、普通「これを作るのに、これくらい手間と時間がかかって……」なんて説明しないですよね。それを夫にわかってもらっているのってものすごくうれしいし、心の支えになりますね。

渡邊さん:多分ウチの妻も、そこまで説明しようとは考えたこともなかったと思うんです。でもミーティングを始めてみると、あえて言葉にしなくちゃいけない場面がたくさん出てくる。ミーティングをしていなかったら、ずっと気がつかなかったことだと思います。

――それでは最後に、子育て中の共働き夫婦に向けてエールをお願いします!

渡邊さん:仕事に生きがいを感じていれば、ぜひ長く仕事を続けたいし、自分のやりたい場所で活躍したいと思うのは男女とも同じこと。でもそのためには、夫婦で協力していかないと、長く幸せに働き続けることは難しい。

だからこそ、定期的なミーティングを実践して、夫とコミュニケーションを取ることを諦めないで欲しいと思っています!

まとめ

産後の生活は赤ちゃんが中心になり、夫婦がお互いの考え方や価値観を確認する機会は減るばかり。もしも「子どもが産まれてから、夫への愛情が減ってきている気がする」「最近は、子どもにも夫にイライラしてばかり」と感じているなら、夫婦間のコミュニケーションが足りない証拠かもしれません。日々の生活に追われて大変な時期だからこそ「夫婦でのミーティング」を習慣化させ、夫婦間コミュニケーションを改善してみてはいかがでしょうか。

(文:関亜希子)

お話を伺ったのは……
渡邊大地さん
株式会社アイナロハ 代表取締役/札幌市立大学看護学部 非常勤講師
大学卒業後、会社員を経て、2011年に株式会社アイナロハを設立。2012年より「産後サポート “ままのわ”」事業をスタート。自治体の産後サポート事業、全国の産院での両親・父親学級の開催、講演など、多方面で活躍中。三児の父。
◆株式会社アイナロハHP:http://www.ainaloha.com/

産前・産後の夫婦に読んで欲しい! 渡邊さんの著書

『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』
渡邊大地、青柳ちか(KADOKAWA 2019/9/25発売)
渡邊さん夫婦が経験した産後のすれ違いなど、さまざまな問題をマンガ化。離婚の危機を回避したエピソードも掲載。『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』の第2弾

『赤ちゃんがやってくる! パパとママになるための準備カンペキBOOK』
渡邊大地、あおのそらこ(KADOKAWA 2016/11/10発売)

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』
渡邊大地、青柳ちか(KADOKAWA 2014/3/14発売)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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