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2021年07月29日 17:20 更新

【医師監修】赤ちゃんが寒がっているサインとは? 寒さ対策もチェック!

冬だけでなく、夏に冷房した室内でも、赤ちゃんが寒くないかと気になることはありませんか? 赤ちゃんが体調を崩さないように、寒がっているのがわかると助かりますね。今回は、赤ちゃんが寒いときのサインと、寒さ対策をまとめました。

赤ちゃんが寒いときのサインは?

赤ちゃんの手足に触れて冷たいと、寒いのだと思って温めてあげたくなりますね。でも、赤ちゃんが寒いかどうかは手足ではなく、体の中心部をさわったり顔色を見たりして判断します。

手足が冷たい=寒いとは限らない

赤ちゃんの手足

赤ちゃんの体は体重あたりの体表面積が大人より大きく、そのうえ皮下脂肪が少ないため皮膚から熱が逃げやすく、衣服でおおわれていない手足はすぐに冷たくなりやすいです。

私たちの体は、暑いときには体温が上がりすぎないように皮膚の毛細血管が拡張して熱を放出し、寒いときは毛細血管を収縮させて熱が逃げないようにして体温を調節しています。そこで、赤ちゃんの手足が冷たいのは、体に熱がこもらないよう調節していることも考えられます。

赤ちゃんの手足が冷たい=寒いとは限らないですし、冷たいのはむしろよくあることなのです。

洋服の下の体温をチェック

寒くないか気になるときは、衣服でおおわれている部分を触ってチェックしてみましょう。一般に、私たちの体は胴体の中心部が37℃くらいに保たれ、肩から腕や下腹部から脚にかけての広い範囲は体温が低くなっています。そこで、背中やお腹が温かければ寒いわけではない、と判断していいでしょう。

むしろ、赤ちゃんの手足がいつも温かいようなら、温めすぎかもしれません。着せすぎや温めすぎは乳幼児突然死症候群(SIDS)の誘因の一つと考えられているので、注意が必要です。

体全体が冷たくなっている

泣く新生児

赤ちゃんの手足が冷たいだけで寒いとは言えないのですが、背中やお腹など体の中心部も含めて体全体が冷たくなっているうえ、機嫌も悪いときには寒いというサインと考えましょう。  

赤ちゃんは体温調節の機能が未熟なため、周囲の環境の影響を受けやすいのです。そのため、寒い状態が長時間続いていると、本来は37℃程度に保たれる体の中心部の体温も下がっていってしまうことがあります。

顔色や唇の色がいつもより悪い

赤ちゃんの顔を見たとき、いつもより顔色や唇の色が悪く、青ざめて見えたり白っぽく見えるときにも、寒いサインと考えられます。

私たちの体は、寒くて体全体が冷えると、体から熱を逃がさないようにするため毛細血管が収縮します。すると血行が悪くなるので、顔色や唇の色から赤みが抜けていつもより悪く見えるようになるのです。

赤ちゃんが寒そうなときの対処法

赤ちゃんの頭を触るおばあちゃん

赤ちゃんの体全体が冷えていたり、顔色が悪くなっていて機嫌も悪いのは、寒いというサインです。室温を上げたり着るものをプラスするなど、適切に対応しましょう。

体温が低すぎる場合は注意!

体の中心部の体温は37℃くらいに保たれているものですが、重い敗血症など何らかの原因で体温が下がってしまうことがあります。

赤ちゃんの機嫌が悪く、体温が低く感じたり、体温を測って36℃以下になっていたりするときは、速やかに子ども医療電話相談事業(♯8000)に相談するか、休日夜間対応の診療所を受診しましょう。

部屋が寒すぎないか確認する

エアコンで温度調整

寒くなる原因で一番に考えられるのは、赤ちゃんのいる環境の気温が低いということです。室温をチェックし、低いときには暖房を入れて20〜25℃ぐらいを目安に室温を上げましょう。

また、室温は適度でも、夏はエアコンや扇風機の風が直接赤ちゃんに当たっていると、体が冷えて体温が下がってしまいます。エアコンや扇風機を使う場合は、風の向きやベッドの位置などにも注意しましょう。

なお、冬に寒くて早く赤ちゃんを温めたいからといって、暖房器具の温風を直接当ててしまったり、ストーブなどの近くに寝かせたりすると、やけどをする危険があります。暖房器具の置き場所には、十分に注意してくださいね。

衣服やスリーパーなどで温める

体全体が冷えているときには、赤ちゃんに衣服やスリーパーを着せたり、おくるみなどでくるむと早く温めることができます。ただ、何かでくるむ場合は、体や手足の自由がきかなくなるほどきつくくるまないようにしましょう。

あまりにも手足が冷たい場合は手袋や靴下もOK

冬のベビーカー

冷え込む冬の外出などには、露出している手足がとても冷たくなってしまうことがありますね。その場合は、手袋や靴下を使用してもよいでしょう。

ただし、不必要に手足をおおうと体温調節がうまくできなくなって、体に熱がこもってしまうこともあります。手袋や靴下を使う前には、背中やおむつの中などを触って汗をかいていないか確認しましょう。汗をかいているようならむしろ暑いのかもしれないので、その場合は手袋や靴下の使用はやめます。

自分の手で温める

赤ちゃんが寒そうだったら、大人の手でやさしくさすって温めてあげてもいいですね。その際は、背中など衣服でおおわれているのに冷たくなっている部分からさするといいでしょう。

温める際の注意点

おくるみの赤ちゃん

赤ちゃんが体調を崩すのが心配で寒くないか気になりますが、温めすぎると乳幼児突然死症候群のリスクがあったり、あせもができたりすることもあります。温める前に、本当に寒いのかどうか見極めることが大切です。

温めすぎは乳幼児突然死症候群のリスクが高まる

はっきりした原因はわかっていませんが、睡眠中の着せすぎや温めすぎは乳児突然死症候群(SIDS)の誘因の一つになると考えられています。そこで、気温が低くて赤ちゃんの手足が多少冷たくなっていても、眠っているときに温めすぎたり着せすぎたりしないよう注意が必要です。

暑がっているようなら無理に温めない

手足が多少冷たくなっているのは赤ちゃんによくあることです。

赤ちゃんを温める必要があるかどうかは、やはり背中やお腹など衣服でおおわれた体の中心部を触り、冷たくなっていないかチェックすることが一番です。汗をかいているなら暑いということなので、1枚かけるものや着せるものを減らしたほうがいい場合もあります。

あせもに注意

お昼寝の赤ちゃん

赤ちゃんはとても汗かきです。冬でも、室温が高かったり体を動かしたりすれば、すぐに汗をかいてしまうでしょう。

汗をかいたのにそのままにしているとあせもができやすくなるので、汗をかいたら着替えるなど予防に努めましょう。

赤ちゃんにとっての部屋の適温は?

赤ちゃんはまだ体温をうまく調節できないので、周囲の環境の影響を受けて体温が上下しやすいものです。そこで、赤ちゃんにとっての適温の目安を知り、いつも快適な室温で過ごせるようにしてあげたいですね。

秋、冬、春の室温は20~25℃

ベビーベッド

春は季節のはじめと終わりでは気温差が大きいうえ、1日のうちでも朝と夜の気温差があります。そこで、室温は20~25℃を目安に保つ[*1]と、赤ちゃんも快適に過ごせるでしょう。春先で寒い日には、暖房を入れるといいですね。

秋〜冬も、室温は20~25℃くらいを目安にしましょう。秋も春のように、はじめと終わりや朝と夜で気温差があります。残暑が残っている時期は冷房を入れ、寒くなったら暖房して、快適な室温を保ちましょう。

夏も快適な温度に保つ

赤ちゃんが快適な温度は20~25℃ですが、最近の夏は、気温が35℃以上になるような暑さの厳しい日も多いものです。気温がかなり高い日に冷房を我慢したり、室温が30℃を超えるような状態が続くと、熱中症になる心配があります。赤ちゃんが心地よく過ごせるように、快適な温度を保つといいでしょう。

外気温との差を4~5℃に調節しましょう

室温と外気温との温度差が大きくなると、赤ちゃんの体に負担がかかることがあります。あまりにも気温が高い日は別として、夏場は室温と外気温の差が4~5℃以内になるよう調節するといいでしょう[*1]。赤ちゃんにとって快適な室温を保つよう、エアコンなどを上手に使って調節してくださいね。

なお、エアコンの設定温度と実際の室温は必ずしも一致しないことがあります。できれば赤ちゃんのいる場所の近くに温湿度計を置き、適温を保てるようにエアコンの設定温度を調節するといいですね。

赤ちゃんがいる部屋の温度の目安はこちらの記事も参考にしてください。
▶︎赤ちゃんの室温の目安は? 季節別の温度調整ガイド

湿度は50〜60%が良い

温度湿度計

快適な環境には湿度も大切です。季節に限らず、湿度はだいたい50~60%を保つようにしましょう[*1]。

夏は、同じ室温でも湿度が下がれば快適さが増します。そこで、エアコンは室温を下げすぎずに湿度を下げるように使うといいですね。

湿度が下がって空気が乾燥すると、気道の粘膜の防御機能が下がって、風邪などをひきやすくなるので、冬は加湿器を使ったり室内に洗濯物を干すなどで湿度を上げる工夫をしましょう。

まとめ

季節に関係なく、赤ちゃんは体が冷えることがあります。赤ちゃんが寒いときは、そのサインに早く気づいて適切に温めてあげたいですが、着せすぎやあたためすぎもよくありません。日頃から、赤ちゃんの様子をよく見たり体に触ったりしてこまめにチェックし、快適に過ごせるようにしてあげましょう。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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