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2021年07月27日 18:00 更新

【医師監修】赤ちゃんの引っかき傷が心配! 引っかく原因や対処法

赤ちゃんの顔に、いつのまにか引っかき傷ができていてビックリ! なんて経験のあるママは多いのではないでしょうか。赤ちゃんは、顔や体を引っかいてしまうことがよくあります。そこで今回は、引っかき傷の原因や対処法についてまとめました。

赤ちゃんが引っかき傷を作る原因

赤ちゃん 鼻 傷

赤ちゃんに引っかき傷ができるのは、自分で引っかいてしまう場合と、転倒などの事故による場合が考えられます。

赤ちゃんが自分で引っかいてしまう

赤ちゃんの引っかき傷で多いのは、やはり露出している顔でしょう。まぶたや鼻、頬など、顔に細い線のような引っかき傷ができているとき、一番に考えられるのは、赤ちゃん自身が顔を引っかいてしまったケースです。

赤ちゃんが顔の前で手を動かしているときに爪が当たってしまうこともあれば、顔がかゆいなどで手を顔に持っていったり、眠くて目をこすったりなど、いろいろな場面でちょっとした拍子に引っかいてしまうことがあります。

転んでしまったなどの外傷

引っかき傷だけでなく、赤ちゃんに傷ができているときには、自分で引っかいた以外にもいくつか原因が考えられます。

まず、おすわりやたっち、あんよなどが不安定な時期の赤ちゃんが倒れたり転んでしまったときや、歩き始めの赤ちゃんが外で何かにつまづいて転んでしまった場合などです。赤ちゃんは転んだときにとっさに手が出せないうえ頭が重いので、顔から転んでけかをしてしまうことがよくあります。

また、転んだ拍子に何か鋭いものが当たって、引っかいたような傷ができることもあります。こうした事故を防ぐには、赤ちゃんが過ごす室内はすっきり片付けておき、赤ちゃんの手の届くところに危険なものを置かないことが鉄則です。また、できるだけ赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。

赤ちゃんが自分で引っかいてしまう原因

顔を触る赤ちゃん

赤ちゃんは無意識に手を動かすことが多く、その拍子に引っかき傷を作ってしまうことはよくあります。また、かゆみのある部分をかいているうちに、引っかき傷ができてしまうこともあるでしょう。

無意識の動作で引っかいている

大人は、意識せずに顔をさわってしまうことがよくありますね。赤ちゃんも同じように、無意識に手を動かしていて、たまたま顔を触ったり顔をこするような動作をしたときに、爪で顔を引っかいてしまうのです。また、赤ちゃんの爪は薄くて鋭利になりやすいため、引っかき傷ができやすいということもあります。

体がかゆい

赤ちゃんに引っかき傷ができているときには、顔や体にかゆみの原因となる湿疹やかぶれなどの皮膚トラブルがないか確認しましょう。

顔や耳、体に湿疹ができていたり、汗をかいた刺激などで顔や体がかゆいときには、かゆみのある部位をこすることがあります。そんなときに、爪が当たって引っかき傷ができてしまうことがあるでしょう。

なお、赤ちゃんの敏感な肌は刺激に弱く湿疹ができやすいもの。乳児湿疹については以下の記事で解説しているので、気になる方はこちらもご覧ください。
【医師監修】<タイプ別>乳児湿疹の原因と正しい対処法

衣服など、何か気になることがある

「かゆい」以外に気になることがあって、赤ちゃんが顔を触ることも考えられます。衣服や寝具のふち、角などが顔や体の一部に当たっていて、気になっているために顔や体をこすり、引っかいてしまったりするのです。

赤ちゃんが頻繁に顔や体をよくかくのは、何かストレスがあるの? と心配するママもいるようですが、赤ちゃんが顔や体をさわるのは無意識であることが多く、珍しいことではありません。特に原因が見当たらなければ、あまり心配しすぎないようにしましょう。

ハンドリガードをしている

生後3~4ヶ月ごろになると、赤ちゃんのなかには、自分の手足を認識し始めるようになり、自分の手をじっと見つめる「ハンドリガード」という行動をするようになる子もいます。赤ちゃんが「グー」にした自分の手を、じっと見つめているのに気がついたことがあるママもいるでしょう。その際、手を顔の前に持ってくるので、手を動かしているうちに顔を引っかいてしまうことがあるのです。

ハンドリーガードはおおむね2、3ヶ月で見られなくなります。頻繁に顔を引っかいてしまうようなことがなければ、無理に止めることはしないでくださいね。

なお、ハンドリガードについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【医師監修】ハンドリガードとは?見られる時期と理由、しないときの対応」

赤ちゃんに引っかき傷ができてしまったら

赤ちゃん ワセリン

爪が当たった程度の線のような軽い引っかき傷ができることは、よくあることなので心配いりません。ただ、出血したり深い傷ができてしまったときには、傷の程度によって適切な対処が必要です。

受診が必要な場合もあるの?

赤ちゃんが無意識に手を動かしたり肌をかいたりして引っかき傷ができても、出血もせず赤い線がついたくらいなら、様子を見ていて大丈夫です。赤ちゃんの肌は傷の回復が早く、自然と治っていきます。ただ、以下にあてはまるような傷ができた場合は小児科、あるいは皮膚科へ行きましょう。

すぐに受診
・出血量は多くないが、なかなか止まらないとき
・ガラスなどが刺さって取り除けないとき
・指の曲げ伸ばしができないとき
・深い傷や大きな傷ができたとき
・泥などによる汚染の多い傷ができたとき
・動物にかまれて傷ができたとき
診療時間内に受診
・傷がなかなか治らず、ジュクジュクした状態が続いているとき

治ってきたら保湿や傷用テープなどが有効

せっかく傷が治ってきてかさぶたができても、かさぶたがかゆくてさわってしまうため、なかなか治らないというケースもあるでしょう。そんなときは、ガーゼ付きの絆創膏(ばんそうこう)を貼って保護してもいいのですが、はがれて誤飲する心配があるかもしれません。

その場合は傷に少量のワセリンを塗り、サージカルテープなどの紙絆創膏をやや大きめに貼るといいでしょう。紙絆創膏は、貼ったら手を当てて温めノリを溶かすようにすると、しっかり接着されてはがれにくくなります。

傷あとへの対処

深い引っかき傷などで「傷あとが目立つのでは」と気になる場合には、傷あとにスキントーンタイプのサージカルテープを貼っておくといいでしょう。自然にはがれるまで貼りっぱなしでOKです。テープの色が肌色で目立ちにくいので、顔など露出した部分の傷あとの保護に向いています。

さらに、傷ができてから3ヶ月間くらいは、傷になった部分の皮膚が乾燥しないよう、ワセリンなどで保湿をします。そして、3~6ヶ月くらいたつまでは、傷あとが日焼けしないように外出時は日焼け止めを塗ります。日焼け止めは、ベビー用の低刺激性のもので、SPF15~20、PA++くらいを目安に選びましょう。

傷あとが残らないか心配な場合は、皮膚科や形成外科で相談してくださいね。

赤ちゃんの引っかき傷を防ぐには

赤ちゃんの伸びた爪を切る

引っかき傷を予防するには、まずは爪を短く切っておくことがポイントです。また、かゆみの原因となる肌トラブルが起こらないよう、スキンケアも日課にしましょう。

爪をチェックする

赤ちゃんの皮膚は薄くてやわらかく、爪は薄くとがりやすくなっています。そのため、皮膚に爪が当たるとどうしても引っかき傷ができやすいのですね。引っかき傷を防ぐには、爪が伸びていないかこまめにチェックし、伸びていたらカットする習慣をつけましょう。

かゆみがあるようなら、原因を見極める

赤ちゃんが頻繁に顔や耳などを引っかく場合、かかないように手袋(ミトン)をつけるという対策もあります。ただ、手袋は縫い目から糸が出て、指に巻きつく危険があります。また、赤ちゃんは周囲のものを自分の手で触り、感覚や感触を確かめながらいろいろなことを学んでいきます。手袋を使うとしても、毎日、または長期間にならないようにしましょう。

赤ちゃんが顔や耳を頻繁にかくのは、たいてい湿疹などかゆみの原因があるはずです。原因を取り除かず手袋をつけるのは、かゆみを我慢させることになってしまいます。まずは、赤ちゃんがかいている部分をよくチェック>し、わからなければ原因を確認するため皮膚科か小児科で相談しましょう。

清潔に保つ

肌トラブルによるかゆみを防ぐには、スキンケアが大切。スキンケアの基本の1つが「清潔」にすることです。

赤ちゃんは汗かきなので、新生児期から1日1回は洗浄料を使って、体だけでなく顔も洗うことが大切です。洗い終わったら洗浄料が残らないようしっかり流して、肌を清潔に保ちましょう。

保湿をする

スキンケアの基本のもう一つが「保湿」です。赤ちゃんの肌は大人より皮膚が薄くバリア機能が弱いため、乾燥しやすい状態。朝起きたときや夜の入浴後など肌のきれいなときに、1日2回ほど保湿するのがおすすめです。また、授乳や食事のとき、汗をかいたときなど、肌が汚れたときには、きれいに拭いてから、忘れずに保湿剤を塗っておきましょう。

赤ちゃんの肌はデリケートなので、赤ちゃんでも使える低刺激な保湿剤を選ぶと安心です。軟膏、クリーム、ローションなどいくつかタイプがあります。赤ちゃんの肌の状態や使いやすさで選ぶとよいでしょう。

なお、赤ちゃんの保湿ケアについては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
【医師監修】赤ちゃんの保湿ケアはなぜ大事?正しい手順とやり方、保湿剤選びの目安
【医師監修】赤ちゃんの肌にワセリンはどう使う? 正しい使い方と選び方のポイント

まとめ

赤ちゃん 頬 すべすべ

赤ちゃんの柔らかくてきれいな肌に引っかき傷がついてしまうと、痛々しくて、早く治ってほしいと思いますね。でも、赤ちゃんは何かの拍子に顔を引っかくことはよくあります。赤ちゃんの肌は傷の治りも早いので、たまのことならあまり気にし過ぎないようにしましょう。

頻繁に引っかいて傷ができてしまうときは、かゆみを伴う肌トラブルなどの原因があるかもしれません。早めに受診して原因を確認し、適切に対処して傷ができないようにしたいですね。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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