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社会現象を引き起こし、今も新商品を出し続ける人気玩具「たまごっち」。誕生秘話や強みをバンダイに聞いてみた

#思い出のお道具箱

マイナビウーマン編集部

何かの拍子でふと思い出すと、つい「懐かしい‼」とテンションが上がってしまうものってありませんか?

この連載では、アラサー世代にとって懐かしい文房具や雑貨にフォーカス。販売元に直撃して、製品誕生の背景と懐かしいアイテムの現在を探ります。

第4回目の今回は、平成女児が夢中になった「かえってきた!たまごっちプラス」について、株式会社バンダイのあおたまさんにお話を伺いました。

「たまごっち」はなぜ生まれた? 発売後の反響は?

こんにちは! 平成時代に女児だったマイナビウーマン編集部のたにしです。今日は「かえってきた!たまごっちプラス」について教えてください。よろしくお願いします!
バンダイのあおたまです。こちらこそよろしくお願いします!

「たまごっち」誕生の背景

たまごっちといえば、キャラクターを育てるたまご型のおもちゃとして有名ですよね。これまでさまざまなモデルが出ていますが、そもそも初代たまごっちはどのような背景で生まれたのでしょうか?
初代たまごっちは1996年11月23日に発売されました。社内で聞いた話ですが、当時人気だった熱帯魚を育てるPCソフトやキーチェーン型の小型ゲームから着想を得た企画だと聞いています。
育成ゲームと小型ゲームの掛け合わせでたまごっちが生まれたんですね。
はい。そして、企画当初はキーチェーン型ではなく腕時計型を想定していました。「たまご」と「ウォッチ」を掛け合わせて「たまごっち」という商品名になったんですよ。
そんな由来があったとは……!
ただ、初代たまごっちを見れば分かるように、腕時計型の商品にはなりませんでした。
それはなぜなのでしょうか?
当時は女子高生がトレンドリーダーとされていて、その人たちにターゲットを絞って企画を進めていきました。女子高生にヒットさせたいと考えた時、「スクールバッグにつけられるようにしよう」ということでボールチェーン型になりました。
なるほど。確かにスクールバッグをデコれたほうが、女子高生には受けそうですね。
あと、当時の開発者は生き物が好きだったらしく……。「本当の生き物みたいにお世話してほしい」という思いで、電源のオンオフがないとか、ちゃんとお世話をしていないと病気になったり死んでしまったりする、みたいな仕様になったそうです。
確かに、たまごっちってすぐ死んじゃうんですよね(泣)。たまごっちが死んでしまうことに対して、社内で反対意見はなかったんですか?
それに関しては、当時やっぱり議論になったみたいです。でも、「本当の生き物みたいにしてほしい」というこだわりとして貫いている感じですね。今もたまごっちの大事な要素の1つになっていて、現行モデルでもちゃんとお世話をしないと死んじゃうんですよ。
そこはずっと変わらないんですね。たまごっちが死んでしまうのは悲しいですが、その緊張感があるからこそ心をつかまれるのかもしれません。

そして社会現象化

たまごっち発売後の反響はどうでしたか?
かなり反響が大きくて、社会現象になりました。
確かにすごい人気だったと聞いています。買えなくて並んだ人もいたみたいですね。
そうなんです。買えなくて並んだ人がいたり、バンダイ本社に問合せがたくさん来たりという話は聞いています。特に「白いたまごっちがレア」といううわさが流れて、当時のユーザーからは伝説的に語られていました。
本社にまで問合せが来るなんてすごい人気ですね……! 白いたまごっち、私も憧れます!

こんなにある! 「たまごっち」のシリーズ

バンダイからは初代たまごっちの発売以降、いろいろなたまごっちがリリースされていますよね。
そうなんです。代表的なものをいくつか紹介しますね。

1997年:たまごっち オスっち・メスっち
たまごっちにオスっちとメスっちが発見されました。金属端子を接続することで、ブリードすることができます。

2004年:かえってきた!たまごっちプラス
赤外線通信機能を搭載したたまごっちで、たまごっち2次ブームを引き起こしました。

2004年:祝ケータイかいツー!たまごっちプラス
携帯電話をヒントにしたたまごっちで、当時の携帯サイトと連動して遊ぶことができました。

2005年:超じんせーエンジョイ!たまごっちプラス
たまごっちの進路を選択できる「人生」の要素が追加されたたまごっちです。

2008年:たまごっちプラスカラー
たまごっちで初めてカラーの液晶を採用したモデルです。

2009年:Tamagotchi iD
アイテムやミニゲームのダウンロードが可能になったモデルです。

2012年:Tamagotchi P?s
別売りの「たまデコピアス」を本体に差し込みバージョンアップ。最大4人同時通信機能を搭載しています。

2017年:Tamagotchi m!x
たまごっちを育てて「m!x」できるたまごっちです。パパ・ママと「m!x」されたこどもがどんな見た目に育つか、成長を見守る楽しみが広がります。

2023年:Tamagotchi Uni
腕につけて持ち歩くことも出来る商品で、たまごっちたちのメタバース「Tamaverse」に行くことができるモデルです。

時代と共にすごい進化を遂げていますね!

平成女児から熱く歓迎された「かえってきた!たまごっちプラス」

「かえってきた!たまごっちプラス」誕生の背景

これまでたくさんのたまごっちがリリースされてきたなか、特に平成時代女児だった現アラサーの間ではやったのは「かえってきた!たまごっちプラス(以下たまごっちプラス)」ではないでしょうか?
そうなんです。社内では初代たまごっちが1次ブーム、たまごっちプラスから始まる赤外線通信のシリーズが2次ブームと評価されています。
初代たまごっちブームの後にたまごっちプラスを出したのはなぜですか?
初代たまごっちですごいブームを経験したので、担当者の中に「いつか復活させたい」という思いがあったようです。
復活まで10年くらい間が空きましたよね。復活のタイミングをうかがっていたのでしょうか?
復活前、当時の担当者が「女の子たちが初代たまごっちを手に入れて遊んでいる」といううわさを耳にしたらしいんです。それで「ペットの育成遊びには普遍的な面白さがあるからやっぱり復活させよう」と企画して、たまごっちプラスが生まれました。
発売から10年くらいたっても子どもたちの心をつかんでいた初代たまごっち、さすがです!

たまごっちプラスと赤外線通信

たまごっちプラスといえば赤外線通信で友達のたまごっちと交流できるのが特徴ですが、なぜ赤外線通信機能をつけたんですか?
担当者が「復活に際して何か新しい要素が必要だろう」と思い、インターネット調査をかけた時に出てきたのが「赤外線通信」というワードだったみたいです。
当時は赤外線通信がはやっていたんですか?
そうですね。当時、携帯各社がいろいろな機種を出している中で赤外線通信を売りにした機種がいくつかあり、話題になっていたからだと思います。「たまごっちにも赤外線通信機能をつけたらより面白くなるんじゃないか」ということで導入したと聞いています。
なるほど、時代に合わせて進化したのがたまごっちプラスなんですね!

「たまごっちプラス」発売後の反響

たまごっちプラス発売後の反響はどうでしたか?
初代たまごっちに次ぐブームといえると思います! おもちゃ屋さんに並んで買ったり、親に並んで買ってもらったけど欲しい柄を買ってもらえなかったりといったエピソードを聞きました。
確かに、整理券の配布を待って開店前からおもちゃ屋さんに並んだ記憶があります!

長きにわたってファンの心をつかみ続けてきた「たまごっち」の強み

海外ファンの心もつかみ続けるたまごっち

1996年の発売以降長年愛されてきたたまごっちですが、ファンの心をつかみ続けるために苦労したことや工夫したポイントがあれば教えてください。
日々の業務の中では、大変なことがいっぱいあります(笑)。マーケティングや商品開発の目線で大変なのは、海外での展開です。
たまごっちは海外展開もしていますもんね。やはり海外展開は大変なものですか?
日本に住んでいるので日本のユーザーが喜んでくれるものはなんとなく分かるのですが、海外のユーザーが喜んでくれるものは試行錯誤です。バンダイの海外支社が各国にあるので、現地のマーケティング担当者と密接にやりとりして、デザインなどを決めています。あとは、企画担当者が現地調査に行くこともあります。
現地調査と聞くと楽しそうですが、きっとやる方は大変ですよね……。
そうなんです(笑)。でも、大変な分、海外のユーザーが喜んでいる姿を見ると「こんなところまで届いているんだな」とやりがいを感じます!

たまごっちの変わらぬ魅力は「育成の面白さ」

たまごっちが長年ファンの心をひきつけている魅力はどこにあると思いますか?
メインは初代から受け継がれている「育成の面白さ」だと思っています。あとはこの時代に新しく加わった「コミュニケーション性」ですね。見た目のアイコニックなたまご型も、時代が変わっても受け継がれてきています。
どれも「たまごっちといえば」といった魅力ですね。メインの「育成の面白さ」は、例えばどのようなところにあるのでしょうか?
他のおもちゃにはある「電源のオンオフ」がないこと、たまごっち側から呼び出してくること、です。だからこそ本当に生きている感じがするし、死んじゃうとショックを受けるんですよね。
確かに、たまごっちはなかなかこちらの思い通りにならないところに「生き物感」があります。

たまごっちが長年愛されてきた理由

たまごっちがこれまで人気を獲得し続けられた理由は何だと思いますか?
根幹の育成遊びが脈々と受け継がれている一方、時流に合わせて新規性を付与して驚きを与え続けてきたことがポイントだと思っています。
確かに、過去のモデルを見ていても、たまごっちが常に進化していることが分かります。
そうなんです。赤外線通信機能をつけたり、Bluetoothでアプリとつながったり、Wi-Fiを搭載したり……。時代に合っていたからこそ、ずっと話題になり続けてきたのかなと思います。「成長していく世の中に合わせてたまごっちも成長しなくては」と、企画者が常にアンテナを張っています。
その努力と工夫がたまごっちを人気玩具にしたんですね!

これからもたまごっちをかわいがって

あおたまさん、今日はありがとうございました! 昔のたまごっちを見て懐かしい気持ちになったと同時に、今のたまごっちを見て進化に驚きました。昔たまごっちで遊んでいたユーザーや今のユーザーに一言お願いします!
1996年に初代たまごっちを発売してから28年目になったので、皆さんのそばにいつもたまごっちがいるのかなと思います。担当者として一番喜びを感じるのが、街中でたまごっちを持っている人を見た時です。ぜひこれからもたまごっちを持ち歩いて、一緒に育ててもらえたらなと思います。
ありがとうございます! これからもたまごっちをかわいがりたいと思います!

本連載では、読者の皆さんから「このアイテムについて紹介してほしい!」といったリクエストを募集しています。リクエストがある方は、画面をスクロールした先にある「コメント」からお寄せください!

(取材協力:株式会社バンダイ、文・編集:たにし/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2024年07月11日に公開されたものです

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