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会社が倒産したら、社内預金はどうなる?

円安の影響で相次ぐ値上げ。原材料費の高騰も相まって食品までもが値上げされるなか、少しでもカバーしようと社内預金を利用しているひとも少なくないだろう。

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社内預金のメリットは利率の高さで、銀行の普通預金が0.02%程度なのに対して最低でも0.5%と定められているのが大きな魅力だが、もし会社が倒産したら、給与とは異なり1円も戻ってこない可能性もある。預金の払い戻しが遅れた、解約を拒否されたなど、倒産を予感させる前兆があったら、労働基準監督署に行って「管理中止命令」を出してもらうのが得策だ。

高利率の陰にはリスクも

社内預金は大きく2種類あり、

1.会社がお金を預かる

2.お金は銀行に預け、会社は通帳を預かる

で、ここでは1.を社内預金と表現することにする。どちらも会社が勝手に始めることもできないし、一定の金額を天引きすることもできない。とくに強制的な預金は労働基準法・18条で禁止されているため、まずは会社と社員が協定を結び、労働基準監督署に届け出なければ始まらない。

2.の場合、社員がちゃんと貯金しているかを見守るような役割となるが、1.は集めたお金を会社が運用と管理をおこなうことになる。預金というよりも「社員から借りたお金」と表現すべきもので、無利子で預かるわけにはいかない。

そこで現在は最低0.5%の利息をつけるように定められ、社員の利益が守られているのだ。

利息の高い社内預金にデメリットがあるのか? 現在の普通預金が0.02%程度なので、25倍も高い利息なら誰も不満に感じることはないだろうが、会社が倒産した場合、1円も戻ってこない可能性がある。

日本の金融機関が破綻しても、円預金は「預金保険制度」のおかげで、

・利息がつかない預金(当座預金など) … 全額

・利息がつく預金(普通/定期預金など) … 元本1,000万円と、破綻日までの利息

が保護される。ところが社内預金にはこの制度は適用されず、会社は個々に保証/信託契約を結び、万が一に備えなければならない仕組みになっている。これは保全措置と呼ばれ、きわめて安全に聞こえるかもしれないが、会社が倒産してしまうと、ほとんど意味を持たなくなってしまうのだ。

社内預金は「借金扱い」

勤め先が倒産したら、だれもが「今月分の給料ってどうなるの?」と思うだろう。ご安心あれ、未払いの給与や賞与は民法・308条で「先取特権」が認められているので、買掛金などほかの借金よりも優先的に支払われる。

しかし社内預金は、これには当てはまらない。同意のもとで預けた時点で、すでに給与とは呼べないからだ。

給与が優先的に支払われる理由は「雇用関係」で、社員を保護するために「先取特権」が認められている。ところが預金になると「任意である」「雇用がきっかけとは限らない」の理由から、給与よりもプライオリティが低い。

民事再生/会社更生法では扱いが少々異なるが、まずは給与を支払い、その後に残ったお金で返す「借金」扱いのため、少しでも戻ればラッキー、場合によっては1円も戻らない可能性もある。

ウチの会社は大丈夫?と不安なひとは、社内預金の払い戻しを請求してみると良いだろう。労働基準法・18条5項で「請求されたら遅延なく返還しなさい」と定められているので、いきなり解約しても構わない。もし「少し待ってほしい」「解約できない」などと言われたら、違法なだけでなくお金がない証拠といえよう。

納得がいかなければ、労働基準監督署に行って貯蓄金管理の中止命令を出してもらうこともできる。いずれにせよ、放っておけば泣き寝入りの可能性・大なので、くれぐれもご注意を。

まとめ

・社内預金の魅力は、0.5%以上の利息

・会社が倒産したら、未払いの給与/賞与は優先的に支払われる

・社内預金は給与ではないので、戻ってこない可能性あり!

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2015年01月10日に公開されたものです

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