大声を出すと「暴行」になるって本当?「急ブレーキ、あおり、幅寄せも暴行」
師走(しわす)の名の通りなにかと忙しい12月。イライラしてつい大声を出したくなるときもあるが、他人に恐怖を感じさせると「暴行(ぼうこう)罪」になるのをご存じだろうか?
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なぐる/蹴るなどの行為はもちろんだが、たとえからだに触れなくても相手を威圧する行為は暴行とみなされる。音や光を使って脅したり、自転車ですれすれの距離を通過するだけでも、れっきとした犯罪行為なのだ。
からだに触れなくても「暴行」?
「暴行」は刑法208条に定められ、非常に幅広い範囲に適用される。「傷害」と混同されがちだが、
・相手がケガをしていない … 暴行(208条)
・相手にケガをさせた … 傷害(204条)
となる。「暴行された!」なんて話を聞くと、顔に殴られたあとがついている様子をイメージするが、これは傷害と呼ぶべきだ。つまり、暴行は「ケガはしていないが、恐怖を感じさせられた」未遂の状態と呼ぶべきだろう。
千葉県の「行政対象暴力対応マニュアル」、つまり組織的な暴力への対応マニュアルから、暴行/威圧の例を抜粋すると、
●暴力行為
・たん、つばを吐きかける
・机やいすをけり飛ばす
●脅迫行為
・「逆らうとヒドい目にあわせるぞ!」
・「ほかの者が危害を加えるぞ!」
●粗野/乱暴な行為
・タバコの煙を吹きかける
・大声を出す、不快感を与える
とされ、「不快感」や「脅し」がポイントとなる。相手の身体に触れなくても、大声で怒鳴りつけると「暴行」と判断されるし、水をかける、足もとに石を投げるなどもNGなので、イヤな客が帰ったあとに塩をまくなら、相手にかからないよう注意しよう。
急ブレーキも「暴行」!
クルマや自転車も、乗りかた次第で「暴行」罪に問われるケースがある。追突しそうなほどにクルマを近づける「あおり」や、相手の進路をふさぐように横から近づく「幅寄せ」も暴行と見なされるからだ。たとえ自転車でも、相手にぶつかるぐらいの至近距離を通過したり、ひとの直前で急ブレーキをかけて停まるなどすると、からだに触れなくても恐怖を感じさせたことにより暴行となる。
どちらも一歩間違えばケガでは済まないので、乗り物を使うのは厳禁で願いたい。
ほかにも楽器やラジオなどの音、懐中電灯やスポットライトの光、熱や臭いも暴行とみなされる。暴行罪はある意味で「可能性」も含まれているので、危険につながると判断されれば罪に問われる可能性が高い。なにか気に入らないことが起きても、慌てず騒がず、おとなの対応を心がけたいものだ。
まとめ
・相手が恐怖や危険を感じる行為は「暴行」と見なされる
・大声を張り上げる、机やいすを蹴り倒す、も暴行
・クルマの「あおり」「幅寄せ」も、暴行と見なされた例がある
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年12月14日に公開されたものです