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お巡りさんじゃなくても「逮捕」できるって本当?

刑事ドラマでお約束の逮捕シーン。犯人が手錠をかけられて連行される光景が多いが、じつは必ず逮捕されるとは限らないし、手錠も当たり前「ではない」のはご存じだろうか。

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犯人が逃亡したり、証拠となるものを隠したりするのを防ぐのが逮捕で、現行犯であれば一般市民がおこなうこともできる。同時に、おぼれたひとの衣服を破いて脱がせたり、クルマにひかれないように突き飛ばしても「緊急避難」とみなされ罰せられないルールもある。

救命時にマウス・トゥ・マウスの人工呼吸をおこなっても痴漢呼ばわりされるいわれはないので、ためらう必要はないのだ。

現行犯なら、誰が逮捕してもOK!

逮捕の目的は、逃亡や証拠隠滅(いんめつ)を防ぐことだ。違法な行為をおこなっても、逃げも隠れもしなければ在宅起訴(ざいたくきそ)となり、身柄を勾留されることはない。逆にいえば、悪質と判断された場合に「逮捕」されるのだ。

逮捕にも、

1.通常逮捕 … 裁判所が発行する逮捕令状をもとにおこなう

2.緊急逮捕 … 逮捕したあとで、裁判所に逮捕令状を請求する

3.現行犯逮捕 … 逮捕令状なし

があり、その名が示すように1.が基本パターンだが、殺人や強盗などの凶悪犯罪では2.の緊急逮捕となる。

3.の現行犯逮捕は犯行がおこなわれている、またはその直後で、ドラマや漫画でおなじみの「泥棒だ!誰か捕まえて!」のシーンといえばわかりやすいだろう。この場合、セリフの通り誰が捕まえても構わない。お巡りさんではない一般市民が「逮捕」してもまったく問題ないのだ。

在宅起訴と比べ、逮捕は「悪質な犯罪者」向けと表現できるが、必ずしも手錠をかけられるわけではない。暴れたり逃げようとするのを防ぐための措置なので、素直に応じれば使われない場合もあるのだ。

フランスの大泥棒の孫が主人公のアニメでは、「逮捕する!」と叫びながら手錠を振り回す警部が登場するが、犯罪=逮捕とも限らないし、逮捕=手錠が使われるの意味ではないのでお間違えなく。

人命優先なら、多少あらっぽくてもOK

おぼれたひとの服を脱がせたり、呼吸をしていないひとに人工呼吸すると犯罪になるのか? AED(自動体外式除細動器)を使おうために服を切ったところ、痴漢呼ばわりされたなんて話も聞くが、本来は「緊急避難」と呼ばれ、罪を問われることはない。

緊急避難は刑法37条に定められ、要約すると「ひとのからだや命を危険から救うときは、多少の害があっても罪にならない」の意味だ。

たとえば道路上で倒れているひとを見かけ、クルマにひかれないようにと歩道まで引きずったとする。その際に靴やカバンにすり傷ができたとしても緊急避難が適用され、つまりは「小さな害より命が大事!」ルールが適用されるのだ。

ただし、「避けようとした害を上回ってはいけない」と定められているのでやり過ぎは厳禁だが、

・おぼれたひとの服を脱がす

・意識のないひとに、マウス・トゥ・マウスで人工呼吸する

も緊急避難と見なされる。服を脱がせる際は周囲から見えないように配慮するのがベストだろうが、「緊急」だけにその余裕がなくても非難されるいわれはない。人命最優先で臆せず行動しよう。

まとめ

・逃亡や証拠隠滅の可能性があると逮捕、なければ在宅起訴になる可能性が高い

・逮捕=手錠が使われるとは限らない

・人命救助の際に多少の害が発生しても「緊急避難」となり罪を問われない

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年12月14日に公開されたものです

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