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意外とドロドロなものが多い? 女性歌人の詩を知っていますか?「百人一首は結構ドロドロ」

皆さんは、紫式部や小野小町など、平安時代に生きた女性歌人たちの「歌」にどんなものがあるか知っていますか? 彼女たちの残した歌は「恋愛」にまつわるものが多く、歌の意味を知ると意外と心に響くものもあったりするのです。

今回は、そうした女性歌人たちの歌を紹介します。

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百人一首で目にするあの歌……内容はけっこうドロドロ?

女性歌人の残した歌は数多くあります。今回はその中から、比較的目にする機会が多い「小倉百人一首に使われている女性歌人の歌」からピックアップして紹介しましょう。

●めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな

現代訳
「久しぶりにあなたにめぐり会えたのに、それがあなただと分からないようなわずかな間で帰ってしまった。まるですぐ雲に隠れてしまう夜中の月のように……」

『源氏物語』の作者といわれている紫式部の残した歌です。相手が恋人なのか、旧友なのかは諸説ありますが、もっと一緒にいたかったという切ない気持ちが歌われています。

●難波潟 みじかき蘆(あし)の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや

現代訳
「難波潟の蘆の短い節々の間くらい短い間でいいので、あなたと会いたいのです……。それも叶わないまま人生を終えろと言うのでしょうか……」

こちらは伊勢という女性歌人の歌です。情熱的な恋愛の歌を多く詠んだ人物とされており、この歌も好きな人に少しでもいいから会いたいという強い思いが歌われていますね。

●忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな

現代訳
「いつまでも君のことを忘れないとあなたは言いますが、その思いは永遠ではありません。あなたが心変わりするのならば、愛されている今、命を終えたいのです」

儀同三司母(ぎどうさんしのはは)という女性歌人の歌です。愛されたまま死にたいという非常に情熱的な歌ですよね。ここまで愛されるのは幸せなことですが、ちょっと「重いなぁ」という感じもします。

●やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな

現代訳
「あなたが来ないと分かっていたら 寝てしまっていたのに。あなたを信じて待っていたら沈みゆく月を見ることになってしまいました」

赤染衛門(あかぞめえもん)という平安中期の歌人の歌です。もし今同じシチュエーションが起これば、「彼氏が来るって言ってたけど来ねーじゃん。寝た方が良かった」なんてTwitterでつぶやかれるかもしれませんね(笑)。

●恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

現代訳
「あなたを恨み恨んで気力もなくなり 着物の袖は涙で濡れて乾くこともない……。それだけでなくこの恋の悪いうわさも立てられ、私のことが悪く言われていくことも悔しい……」

相模(さがみ)という歌人の歌ですが、この歌に登場する女性はもうボロボロです。ろくでもない男に引っ掛かってしまったのでしょうね。恋愛の歌ですが、恨み成分たっぷりです。

●長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ

現代訳
「昨晩心を許したあなたの心が末長く変わらないのは信じがたい。この乱れた黒髪のように、今朝は心が乱れて物思いにふけってしまいます」

こちらは、待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)という女性歌人の歌です。本当に信じていいのか不安になる女性の気持ちを歌っています。

百人一首の中だけでも、こうした女性歌人の「恋愛の歌」がいくつもあります。全体的に、女性の重い気持ちを歌ったものなどドロドロしたものが多いですね。昼ドラのようです(笑)。
いつの世も、恋愛に関して取り上げられるテーマは変わっていないということでしょう。

百人一首以外でも、こうした恋愛の歌は数多くあります。面白そうだなと思った方は、調べてみるといいかもしれません。お気に入りの一句が見つかるかもしれませんよ?

(中田ボンベ@dcp)

※この記事は2014年09月26日に公開されたものです

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