お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

さおり&トニーの海外生活【後編】日本が世界一快適!? 海外移住で感じた、日本人とドイツ人のちがい

小栗左多里(おぐりさおり)、トニー・ラズロ

安全で、清潔で、便利な国と言われる日本。でもつい、私たちには当たり前になってしまいがちですよね。そんな日本のよさを改めて気づかせてくれるのが、シリーズ待望の最新刊『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し トニー&さおり一家の海外生活ルポ』。著者の小栗左多里さんと夫のトニー・ラズロさんが、ベルリンでの生活で感じた“ドイツ人と日本人のちがい”について、本書にはないエピソードも教えてくれました!

『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し』小栗左多里&トニー・ラズロ著より

故障のエスカレーターを3カ月放置。いつ直すの!?

「日本人がいちばん住みやすいのはドイツ」「日本人とドイツ人は、しっかりした点が似ている」、そんな話をベルリンに移住する前から耳にしていたというさおりさん。ところが実際に住んでみると「あれれ……?」と、いろんなちがいが見えてきたとか。

「日本は物事が滞りなく進んでいく国だと思うんです。一度電話をしただけで電気やガスもきちんと通るし、直すと言ったらかならずその日にきちんと直る。でもドイツでは、最寄りの中央駅のエスカレーターが壊れたときも、直しはじめたのが3カ月後! しかも、直ったら3日くらいですぐ壊れて、また1週間くらい工事で囲われていて(笑)」

その背景には、“労働時間の制限”がひとつの理由だと話すトニーさん。夜間工事を行う日本に比べて、ドイツでは夜や週末を含めて働く時間が制限されているそう。エレベーターや信号機すら故障中で使えないことも多々あるようで、「ドイツの人はそれに慣れているんですよね。日本人は辛抱強いっていうけど、これだけはドイツ人のほうが辛抱強いね(笑)」と、トニーさんの絶妙なフォローも!

“情報は闘って得る”ドイツの個人意識に学ぶもの

また、日本に帰国すると「便利すぎてびっくりする!」という、さおりさん。その便利さゆえに、考えることを怠ってしまいがちだと話します。

「日本では考えなくてもスムーズにできるし、騙されないし、疑わずに暮らしていける世界だと思いますね。お金さえ払えばなんとかなる、みたいな。でもドイツって、一つひとつのことに疑ってかかったり、自分でここまでやらなきゃだめだというものが多い。『情報は闘って得る』とよく言われるんだけど、本当にそんな感じですよ」

トニーさんによると、「ドイツは個人ベース。一人ひとりがしっかりしなきゃいけないと子どものころから言われているんです。ミーティングがあっても地図や確認事項もなく、準備していくべき部分をそれぞれが把握して集まる」と、段取りが多い日本とは真逆のよう。さおりさんも、息子さんの発表会の打ち合わせがずいぶん簡単なことに驚いたとか。

「バザーで『ゲームのブースを出しましょう』ということだけ決めて、行き当たりばったりでそのまま当日やるんです。だから、ぐだぐだになる可能性もあるんですけど(笑)、なんとかなる場合もある」

きっちりとしたところは日本の強みだけど、逆に“自分も無理しないから相手の自由も認める”という雰囲気はドイツのよさ。そんな、さおりさんとトニーさんのさまざまな見解が著書にもぎっしり。読めばグンと視野が広がること間違いナシです!

●小栗左多里&トニー・ラズロ 著『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し トニー&さおり一家の海外生活ルポ』(KADOKAWA/メディアファクトリー)

(水野久美)

※この記事は2014年08月28日に公開されたものです

小栗左多里(おぐりさおり)、トニー・ラズロ

小栗左多里/岐阜県生まれ。1995年デビュー。代表作は『ダーリンは外国人1~2』『ダーリンの頭ン中1~2』『さおり&トニーの冒険紀行イタリアで大の字』など。2012年にベルリンに移住し、『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し』が大好評発売中。

●小栗左多里WEB
http://ogurisaori.com/

 

トニー・ラズロ/ハンガリー人の父とイタリア人の母の間に生まれ、米国に育つ。1985年より日本を拠点にライターとして活動。92年に多文化共生を研究するNGO「一緒企画(ISSHO)」を設立。著書に『トニー流幸せを栽培する方法』など。

この著者の記事一覧 

SHARE