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もしも鼻からピーナッツを長めの距離で飛ばしたいならこんな方法

子供のころ、ピーナッツを鼻につめて飛ばす遊びが流行った。下品さに加え、鼻から取り出せなくなって病院のお世話になる者が多発し、学校から禁止令が出たのを覚えている。

【音速を超えた物体や周りの空気はどうなっているのか?】

もし鼻からピーナッツを吹き出したら、どれくらい飛ぶのだろうか? 鼻息だけではパワーが足りないのでくしゃみを利用し、上向き45度に発射すれば、およそ8m先まで飛ばすことができそうだ。

くしゃみは時速300km?

世間では、くしゃみは時速300kmにも及ぶ高速だと言われているが、本当だろうか? もし本当なら、鼻の断面積は口よりもはるかに小さいため、射出されたピーナッツは高速で飛び出し、人体に危険をおよぼしてしまうので、検証してみよう。

厚生労働省の資料によると、くしゃみで飛び散るだ液などの飛沫は約200万個で、およそ1.5m先まで飛ぶとされている。カゼやインフルエンザが爆発的に広まるのは、くしゃみやせきの飛沫に含まれるウィルスを他の人が吸い込んでしまうからだ。

そのため、飛沫が直接届かないように、病院のベッドは2mほどの間隔が望ましいとされている。

これらのデータから、くしゃみの速さを計算してみよう。身長170cm、頭のてっぺんから口までの距離を20cmとして地面から口までの高さを150cm、水平に吹き出された飛沫が2m飛ぶと仮定すると、飛沫が地面に落下するのは0.55秒後、時速13.01kmと、意外に遅い。

飛沫は小粒なのでくしゃみの全エネルギーを受け止められず、加えて空気抵抗があるので実際にはもう少し高速なのだろうが、2倍に見積もっても時速30km未満で、通説よりは1ケタ遅い。くしゃみの風速を実測した海外TV番組を観たところ、やはり時速63km程度、4~5m先までが限界だった。

空気が時速63kmなので飛沫は半分程度の時速30kmで計算すると、同じく150cmの高さから水平に射出した場合、飛距離は4.58mまで延びる。

まとめると、

・くしゃみの風速 … 時速60km

・飛沫の速度 … 時速30km

・飛沫の飛距離 … 4.5m

あたりが妥当なようだ。もし本当にくしゃみが時速300kmなら飛沫は20m以上飛ぶはずなので、通説はかなり疑わしい。

ブリッジして長距離を狙え?

口から噴き出される飛沫をショットガンに例えるなら、鼻ピーナッツはピストルのような状態で、ぴったりと触れる銃身から1つの弾を撃ち出すので、空気のモレが少なく距離/スピードともに有利だ。しかしピーナッツは1粒0.5~0.6gと重く、また鼻の内側と触れる部分で摩擦が生じるためデメリットも大きい。

そこで口からの飛沫と鼻ピーナッツは差がないと仮定しよう。

鼻ピーナッツの発射手順は以下の通りだ。

・ちょうど良いサイズのピーナッツを一方の鼻の穴に詰める

・口を閉じる

・くしゃみが出やすいよう、もう一方の鼻の穴を刺激する

くしゃみが出る直前で鼻への刺激を止め、空気が漏れないように指で押さえれば完了だ。

時速30kmで水平に射出すると、飛沫と同様に4.58m先までピーナッツは飛んでゆくはずだ。鼻の穴は下を向いているのであおむけに寝ていると楽に飛ばせるのだが、高さ10cmほどから射出したのではすぐに落下してしまう。

少々つらい体勢だが、立ったままからだをのけぞらせ、少しでも高さを稼いでおくのがポイントだ。

もっと遠くを狙うなら、さらにからだをのけぞらせて上向きに撃ち出す。もっとも飛距離が稼げる仰(ぎょう)角45度がおすすめだ。ほとんどブリッジしている状態なので、からだが固い人には酷な作業だが、高さ150cmから時速30kmで射出された鼻ピーナッツは、途中で高度3.27mまで達し、8.35m先まで到達する。

着地までわずか1.41秒間の文字通りの一発芸となるので、ギャラリーはまばたき禁止で願いたい。

まとめ

くしゃみがスムーズに出せないと、圧力が耳にかかってしまう。

鼓膜にも負担がかかるようだから、鼻ピーナッツにチャレンジする方はくれぐれも気を付けていただきたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年01月23日に公開されたものです

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