孤独を感じる本当の理由とは? つらい気持ちを解消する5つの方法
誰かと一緒にいるのになぜか孤独や寂しさを感じると、理由も分からずにつらくなってしまいますよね。そんな説明できない孤独感を解消する方法はあるのでしょうか? 今回は、心理カウンセラーの大塚統子さんに孤独を感じる本当の理由と解消方法を解説してもらいます。
ふとした瞬間に孤独を感じたり、「自分はひとりぼっち」と思って寂しくなったりすることはありませんか?
1人が好きであえて孤独を選んでいる人もいますが、「孤独がつらい」と悩む人もたくさんいるようです。
今回は、孤独を感じる原因と孤独感を解消していく方法、孤独がもたらす心理的なメリットなどを紹介していきます。
そもそも「孤独」の正体とは?
孤独とは、物理的な意味では、仲間や身寄りがなくひとりぼっちなこと。
精神的な意味では、思うことを語ったり、心を通い合わせたり、心の拠り所になったりする人が1人もなく、寂しいことやその状態を言います。
感情的な面では、実際にひとりぼっちでいるかどうかよりも、誰かといても「気持ちを分かり合える人がいない」と感じる孤独の方が問題になりやすいでしょう。
たとえ家族や恋人・友人などがいたとしても、孤独を感じることはあるのです。
孤独を感じる原因
「理解されていない」「大切に思われていない」「必要とされていない」「好かれていない」「愛していない」など、自分と人との間に「心のつながりがない」と感じると、人は孤独になります。
では、なぜ「心のつながりがない」と感じるのでしょうか。心理的な理由を解説していきます。
(1)自分で心に壁をつくっている
過去に人間不信になるような出来事があったりして心を閉ざしていると、自分と人との間に乗り越えにくい心の壁をつくります。
この壁があれば、自分の心を守り、「もう傷つきたくない」「干渉されたくない」「自分のペースを邪魔されたくない」といった願いはかなうでしょう。
しかし、同時に、人から自分に向けられた思いも壁を越えて届くことがありません。自分でつくった壁の内側は孤独な世界になりがちなのです。
(2)人からの愛情・好意・善意を素直に受け取れない
例えば、人からプレゼントをされても喜べない人がいます。まるで相手に迷惑をかけているようで「申し訳ない」と感じたり、「お返しをどうしよう?」と悩んだり。
人が自分に向けてくれる気持ちを、「私を困らせるもの」のように捉えると、人の善意が素直に受け取れません。むしろ、困りたくないから人と距離を取ろうとして、孤独を感じてしまうことがあります。
(3)人から「してもらう」ことを期待している
人は「愛されたい」と思うものです。
しかし、「親なら子どもを愛してくれるはず」などのように、「自分はしてもらう側」で愛されるのを待っていると、気持ちが満たされるかどうかは相手の都合次第になります。
その結果、「私の気持ちを分かってくれない」などと孤独を感じる場合があります。
(4)愛情表現のすれ違いに気付かない
「自分だったらこうするのに」と考えることも、孤独の原因になりやすいものです。どのようにして人を大切にするかは、人それぞれです。
例えば、風邪をひいた時に、つきっきりで看病するのが愛情と思う人もあれば、ゆっくり休めるように1人にするのが愛情と思う人もいます。
自分のやり方とは違う愛情表現の方法があると思えないと、孤独にはまりやすいでしょう。
(5)自分を嫌って人と関わろうとしない
自分のことが嫌いな人は、「人も自分を嫌うだろう」と考えやすいです。
そこで、「人から嫌われたくない」「自分なんかに好かれても迷惑だろう」などと、自分から人と関わることをやめてしまいがちです。
そして、自分は人に何も与えていないから、自分も人から何かを与えられることはないだろうと考えることになり、孤独になっていくのです。
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孤独を感じた時の対処法5つ
孤独な時に必要なのは、人から自分に向けられた優しい思いに気が付いたり、自分から人と関わったりしていくことです。
ひとりぼっちの寂しさに焦点を当てるのではなく、気持ちのつながりがあることに焦点を当てていきましょう。
(1)家族や友達に連絡する
自分から誰かに連絡を取ってみましょう。
この時、その瞬間の寂しさを紛らわせようとするのではなく、「連絡を取りたいと思える人がいる」「連絡したら応えてくれる人がいる」という幸せを意識してみましょう。
(2)与えられたものに気付く
誰かが自分にしてくれたこと、自分に向けてくれた温かい気持ちに感謝してみましょう。
人は1人では生きられません。必ず誰かに支えてもらっています。
例えば、一膳のご飯を食べるためにも、稲を育ててくれた人、お店まで運んでくれた人……たくさんの人が関わってくれています。自分に与えられているものに気が付くと、ひとりぼっちではないと思いやすいでしょう。
(3)自分が先に笑顔を見せる
近寄りがたい雰囲気がある人には、あえて関わりたいとは思わないでしょう。笑顔でいれば、少なくとも「怒っていない」と相手に伝わります。
また、笑顔を向けてくれる人には、笑顔を返したくなる人が多いものです。
自分が先に笑顔を見せる、あいさつする、話しかける、お礼を言うなどを心掛けてみましょう。そうすることで自分から人とのつながりをつくることができるでしょう。
(4)誰かの役に立つことをする
「自分は誰かの役に立てている」と思えると、孤独ではなくなります。
例えば、ペットを飼ってお世話をするとか、募金をして知らない人の役に立つことだってできるでしょう。
自分以外の誰かに興味を持って、「自分にできることをしよう」と行動すると、寂しさを抜け出せるでしょう。
(5)夢中になれる趣味を見つける
特にすることもなくボーっと考える時間があると、孤独感で寂しくなる人もいます。
他のことを忘れて夢中になれる「好きなこと」を探し、打ち込んでみましょう。
また、気軽にできる筋トレやストレッチ、10分間のお掃除などで体を動かすのもいいでしょう。運動すると、気分が変わりやすいものですよ。
孤独を感じる心理学的メリット
「望んでいないのにひとりぼっち」と思う孤独は寂しくつらいかもしれませんが、「1人で過ごしたい」と積極的に孤独を選択する人も少なくありません。
実は、孤独は悪いことばかりではないのです。ここからは、孤独でいることのメリットを紹介します。
(1)自分自身の内面を見つめられる
1人でいることで、誰かに邪魔されることなく自分と向き合い、自分の思考や感情・感覚に集中することができます。
内面と対話して自分自身を理解し、新たな気付きを得ることも多くあります。また、独創的なアイデアは1人で考えている時に生まれやすいとも言われています。
(2)ストレスから解放される
他者と関わることは、少なからずストレスを生むものです。
孤独でいると、他者からの干渉や、社会的なプレッシャーから解放されます。1人になることでリラックスすることができるのです。
(3)自分も他人も大切にできる
積極的に孤独を肯定し、1人でいることを能動的に楽しんでいると、自分自身の価値観や感性を尊重できます。
自分を大切にしていると心に余裕ができるので、他人のことも大切にしやすくなります。
孤独は人生を豊かにするもの
孤独でいることは、悪いことではありません。むしろ良い面もたくさんあります。
孤独が問題になるのは、自分は誰とも「心のつながりがない」と感じてしまう時です。
誰かから向けられた優しさを思い出してみましょう。そして、自分から誰かと関わることにチャレンジしてみましょう。
寂しさを感じるからこそ、誰かとつながる喜びを大切に思えるのだとしたら、孤独は人生を豊かにしてくれるものなのかもしれません。
(大塚統子)
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