【医師監修】産後の膀胱炎 | その原因と7つの対処法

【医師監修】産後の膀胱炎 | その原因と7つの対処法

トイレに行くたびに痛みがある……、それは膀胱炎かもしれません。産後は、膀胱炎になりやすいといわれます。それはどうしてでしょうか。また対策はあるのでしょうか。産後の膀胱炎の原因と対処法について解説します。


産後は膀胱炎になりやすいって本当? その理由は?

そもそも膀胱炎(細菌性膀胱炎)とは、腎臓でつくられた尿が排泄されるまでに通る「尿路」に起こる感染症のひとつ。尿の出口から入った細菌が膀胱にとどまり、炎症を起こしている状態のことです。

腎臓と膀胱のイメージ
Lazy dummy

腎臓と膀胱のイメージ。上に2つあるのが腎臓、下にある袋のようなものが膀胱。腎臓でつくられた尿は、膀胱に運ばれ、ある程度溜まってから尿道を通って排泄される

妊娠前には膀胱炎になったことがない人でも、産後に膀胱炎にかかることは少なくありません。では、産後はなぜ膀胱炎になりやすいのでしょうか。

出産後には「膀胱炎のリスクが高くなる」

出産直後は、お産の時に赤ちゃんの頭で膀胱が圧迫されることにより神経が麻痺し、一時的に尿意を感じにくくなります。また、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で膀胱の筋肉がゆるんでいるので、尿が出しづらくなっています。そのため、膀胱のなかに尿が長時間溜まったままになりやすく、細菌が増えやすい状態になっています。

さらに産後は外陰部が悪露で汚れやすく、細菌が体内に入り込みやすくなっていることも、膀胱炎のリスクを高める要因のひとつとなります。

特に、分娩中や分娩後に尿がたまらないよう導尿のためにカテーテルを入れていた場合は、膀胱炎を発症するリスクが高くなります。

もともと女性は男性に比べて尿道が短く、外部から入った細菌が膀胱にたどり着きやすいという特徴があります。これに加えて、上記のような状況から、産後はより膀胱炎になりやすくなるのです。

産後は「尿もれ」も起こりやすくなる

なお、骨盤の底には膀胱や子宮、直腸などの臓器を支える「骨盤底筋」というハンモック状の筋肉群があります。出産によってこの骨盤底筋群が緩むと、膀胱や尿道が本来の位置より下がってしまい、「尿もれ」を起こすこともよくあります。

産後の尿もれについて、詳しくは下記の記事を参照してください。

【医師監修】 産後の尿もれは治る? 原因と対処、予防・改善のトレーニング方法

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7446

産後、ふとした瞬間に「あっ、出ちゃった!?」という感じで尿漏れすること、ありませんか? 妊娠中の尿漏れは聞いたことあるけど、産後も?と思う人もいるかもしれませんね。デリケートゾーンに関することなので、なかなか人に相談しづらいですが、実は「産後の尿漏れ」を経験する人は少なくありません。原因と対策を知っておきましょう。

産後、膀胱炎かもしれない場合はどうすればいい?

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産後は、これまでとまったく違った体調の変化が次々とあらわれます。膀胱炎に気づくためには、その特徴をまずは知っておくとよいでしょう。

膀胱炎の症状は?

膀胱炎の主な症状は、

・排尿の1回の量が少なくなり、回数が多くなる(頻尿)
・排尿時や排尿後に痛みがある
・残尿感

などが挙げられます。また、尿が濁ったり血が混じる(血尿)こともあります。

膀胱炎では、通常発熱を伴うことはあまりありませんが、膀胱から腎臓に感染が拡がり「腎盂腎炎」(腎臓が炎症を起こしている状態)になると発熱することもあります。

思い当たる症状があったら受診して

膀胱炎を思わせる症状があったら、医療機関を受診しましょう。泌尿器科が近くになければ、かかりつけの内科や婦人科でも診てくれます。

なお、母乳育児をしている場合は受付で前もって伝えておきましょう。母乳への影響を配慮した薬を処方してもらえます。授乳中は市販薬を自己判断で服用するのはやめましょう。

膀胱炎の検査方法・治療は?

膀胱炎が疑われるときは、尿検査で尿中の白血球や赤血球の数を調べます。また、原因となる菌を調べることもあります。

治療では、抗菌薬が処方されるので、指示された量と日数で飲み切ることが大切です。また、服薬とともに、安静にして水分を多くとり、細菌を尿といっしょに流し出すよう心がけます。

腎盂腎炎を起こしている場合は、点滴による治療や入院が必要となることもあります。異常を感じたら放っておかず、早めにまずは医師の診断を受けましょう。

産後の膀胱炎を予防する方法は?

産後なりやすい膀胱炎ですが、自分でできる予防法はあるのでしょうか?

産後の膀胱炎対策7つ

ここまでで説明したように、産後は膀胱炎になりゃすいものですが、日ごろから下記のようなポイントに注意することで、なるべくかからないように対策しておきましょう。

(1)水分を多めにとる
尿量や排尿回数を増やすことで、細菌が膀胱に入っても流し出すことができる

(2)排尿を我慢しない
膀胱内に尿が長時間溜まっていると、細菌が繁殖しやすくなる

(3)陰部を清潔に保つ
入浴や下着交換はこまめにする。また、悪露がまだ出ているときのパッドや尿漏れシートもこまめに交換する

(4)排尿・排便後は前から後ろに拭く
細菌が肛門から尿道に入り込むのを防ぐ

(5)セックスのあとは、できるだけすぐに排尿する
セックスによって尿道に入り込んだ細菌を流し出すため。セックスの前にはシャワーで陰部を清潔にするのも忘れずに

(6)下痢や便秘をできるだけ防ぐ
膀胱炎を引き起こす腸内細菌をできるだけ増やさないようにする

(7)疲労やストレスをためない
規則正しい生活を心がけ、ストレスはできるだけこまめに発散する

まとめ

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産後はいろいろな不調が現れてきますが、膀胱炎もそのひとつ。出産という大仕事は終わっても、ママの体はまだまだ本調子には戻っていません。産後はどうしても赤ちゃん第一になってしまいますが、自分の体も十分にいたわってあげましょう。もし、排尿で異常を感じたら悪化させる前に受診してくださいね。また、普段から水分は十分に摂り、トイレは我慢しないで、膀胱炎を予防しましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

(文:関川香織/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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