【医師監修】3歳児の理想的な睡眠時間は? 睡眠不足の影響と対処法

【医師監修】3歳児の理想的な睡眠時間は? 睡眠不足の影響と対処法

「寝る子は育つ」という言葉があるように、子供の成長にとって睡眠はとても大切。3歳の子供の理想の睡眠時間は10~13時間、最低でも8~9時間はとる必要があるといわれます。今回は、3歳児の睡眠の特徴や就寝・起床時間、睡眠不足のリスク、睡眠改善のコツなどを解説します。


この記事の監修ドクター
順天堂大学医学部付属練馬病院 小児科 丘逸宏 先生
北里大学医学部卒業後、順天堂医院小児科、もりおかこども病院、国立成育医療研究センター消化器科を経て現職に至る。小児消化管を専門に日々超音波や内視鏡などを駆使して診療にあたっています。

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3歳児の理想的な睡眠時間と平均睡眠時間

個人差はあるものの、「大人は6〜8時間が標準」などといわれますが、まだ幼児である3歳児はどれくらい睡眠をとればよいのでしょう。また実際の睡眠時間はどれくらいなのでしょうか。

3歳児の睡眠の特徴

3歳ぐらいは、それまでの「何をするのも一緒」という親子一体の関係性から、徐々に自立していく時期。大人にやってもらうことが多かった身の回りのことも、少しずつ自分でできるようになります。

睡眠についても成長が見られ、夜間にまとめてしっかり眠るリズムがついてきます。また3歳ぐらいからは、ノンレム睡眠(大脳を休める睡眠)とレム睡眠(覚醒に近く、夢を見る睡眠)を約90分のサイクルで繰り返すようになるなど、大人とほぼ同じ睡眠リズムになってきています[*1]。

3歳児の理想的な睡眠時間は?

年齢ごとの理想的な睡眠時間については諸説ありますが、目安のひとつとして挙げられるのはアメリカにあるNational Sleep Foundation(国立睡眠財団)が2015年に発表したデータです。アメリカの睡眠科学、睡眠医学、疫学、生理学、小児科学、神経学など各分野の専門家のもと検討されたこの研究によると、3~5歳の幼児の推奨睡眠時間、つまり理想の睡眠時間は10~13時間とされています[*2]。

この研究ではさらに、睡眠時間の許容範囲にもふれています。それによると3~5歳の幼児には最低でも8~9時間の睡眠が必要で、8時間を下回るのは推奨できないとのこと。また睡眠時間が長すぎるのも良くなく、14時間以内におさめることとされています[*2]。

3歳児の平均睡眠時間は

では実際の3歳児の平均睡眠時間はどれくらいなのでしょうか。いくつかの研究結果を見てみましょう。

先に挙げたNational Sleep Foundationによる、0~3歳児までの乳幼児を対象とした睡眠習慣についての国際比較によると、日本の乳幼児の総睡眠時間は11.62時間(夜間+昼間)、昼寝(昼間睡眠時間)は2.19時間と、両方とも調査対象17カ国の中でもっとも短いという結果でした(夜間睡眠時間は9.42時間で、17カ国中9番目に短い)[*2]。

子供の平均睡眠時間については、社団法人日本小児保健協会が発表した「平成12年度幼児健康度調査報告書」の中でもふれられています。それによると平均睡眠時間は1歳で9.6時間、3歳で9.8時間となっています。これは昼寝の時間を含まない夜間の睡眠時間のみの平均で、前述のNational Sleep Foundationのデータともほぼ合致しています[*3]。

これらのデータから推測するに、日本の3歳児の平均睡眠時間は9~10時間。理想の睡眠時間である10~13時間よりもやや短めであることがわかります。

3歳児の起きる時間、寝る時間

参考までに3歳児が何時に起きて、何時に寝るのかについても見てみましょう。

社団法人日本小児保健協会が行った平成22年度の調査によると、3歳児の起床時刻は7時が、一方の寝る時刻については21時がそれぞれ最多でした[*4]。

夜9時に寝て、朝7時に起きる。これが3歳児の平均的生活リズムのようです。

睡眠不足が子供にもたらす影響

国際的に見て、比較的短い日本の幼児の睡眠時間。もしもこれがさらに短くなり、睡眠不足になった場合、子供たちにはどんな影響があるのでしょうか。

体調・発達などにリスクが生じる

睡眠不足が続くと、大人も体調を崩したり、病気を引き起こしたりすることがありますが、子供にとってはそれ以上の影響があるようです。

子供の睡眠の問題は大人と同様、体調への影響があるばかりか、心身の発達を妨げたり、将来の生活習慣病の発症リスクが高まったりなど、長期にわたって身体的、心理的影響を与えることがわかってきています[*2]。具体的な影響の例は以下の通りです。

精神・言語の発達に影響

睡眠のリズムを正しく作ることは、乳幼児の言葉と心の発達にとって重要な役割を果たすということが、研究により明らかになっています。

子供の睡眠の状況と精神および言語の発達状況を、生後7ヶ月~36ヶ月(3歳)まで断続的に追跡した調査によると、生後7ヶ月と19ヶ月(1歳7ヶ月)時点の睡眠のリズムが、生後24ヶ月(2歳)時点での心の発達、および36ヶ月(3歳)時点での言葉の発達に影響を与えることが示されています[*2]。睡眠や生活のリズムを整えることは、乳幼児の心身の発達にとって重要だということが、改めてわかる結果となりました。

肥満リスクが高まる

幼児期の睡眠不足が、その後の肥満リスクを高めるという報告も出ています。
約8,000名の3歳児を対象としたコホート研究(観察研究)を行ったところ、3歳時点での昼寝を含む1日の総睡眠時間が10時間以下の子供は、11時間以上の子に比べて、中学1年時点での肥満リスクが1.2倍以上も高くなることが示されています[*2]。

またイギリスで行われたコホート研究では「3歳時点での睡眠時間が10.5時間未満の場合、幼少期から肥満リスクが高まる」という報告がされています[*2]。肥満はさまざまな病気を引き起こすきっかけとなるため、健康リスクを考えても、睡眠をしっかりとることが大切といえます。

4人に1人が何らかの睡眠の問題で悩んでいる

「睡眠は大切」、それはわかっていても、どう対処すればよいのかがわからなかったり、もしくは問題に気づかずに見過ごしたりしていることが多々あります。実際、子供の約4人に1人が、大人になるまでに何らかの睡眠の問題で悩んでいるといわれています[*1]。

幼児期の睡眠不足が将来的な影響を与えることも

こうした子供の睡眠の問題が慢性的に続くと、乳幼児期だけでなく将来的にも身体的、精神的に大きな問題となる可能性が考えられます。子供の睡眠について問題を抱えている場合は、今のうちに改善しておきましょう。

より良い睡眠をとるためのコツ

最後に、子供の睡眠問題の改善に大切なポイントを紹介します。「子供がなかなか寝ない」「いつも睡眠不足な気がする」という方は参考にしてみてください。

眠りの環境を整える

眠る場所の環境は、眠りの質や習慣に大きく影響します。子供が静かに、安心して眠れる睡眠環境になっているかどうかを確認しましょう。親子で同じ部屋で寝ている場合は、とくに要注意。親が夜ふかしだと子供も夜ふかしになるなど、保護者の睡眠習慣は子供にも影響を与えます。どうしても子供が寝ないという場合は、思いきって親も子供に合わせた時間に寝るといった、生活リズムのドラスティックな改革が必要かもしれません。

スマホの使い方には親子で注意

テレビやスマートフォン、タブレット端末などから発せられるブルーライトも、睡眠の質に影響を与えるといわれています。とくに寝る前に明るい光が目に入ると、寝つきが悪くなることも[*5]。寝かしつけのときについスマホをいじってしまいがちですが、それが子供の入眠の妨げになりかねません。スマホなどの情報通信機器の使い方には、親子で注意が必要です。

昼寝をさせすぎない

まだ睡眠リズムの定まっていない乳児のうちは昼寝(午睡)が必要ですが、成長とともにその必要度は低下していきます。夜にまとまった睡眠がとれるようになる3歳児では、個人差があるものの、昼間の睡眠が必要ない場合もあります。昼寝の必要があるケースでも、必要以上に日中、睡眠をとらせてしまっては、夜の睡眠の妨げになることがあります。昼寝の時間が長すぎる場合は、少しずつ時間を短くしていきましょう。

まとめ

幼児期の睡眠不足は今だけでなく、将来にわたって子供の発達に影響を与えることが少なくありません。心身の順調な発達のためにも、子供の睡眠環境の改善や眠るときのルールづくりなどを早めに行い、質、量ともに十分な睡眠が取れるようにできるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:丘逸宏 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]愛媛大学医学部附属病院 睡眠医療センター「未就学児の睡眠指針」2018.3
[*2]「乳幼児の睡眠と発達」Japanese Psychological Review 2017, Vol. 60, No. 3
[*3]公益社団法人 日本小児保健協会「子どもの睡眠に関する提言」
[*4]「平成22年度 幼児健康度調査」日本小児保健協会
[*5]綾木雅彦ほか「住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響」住総研 研究論文集,42,p85-95,2015

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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