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2023年01月19日 11:03 更新

【医師監修】おしゃぶりはいつまで使っていい? 上手にやめるコツは?歯並びへの影響

赤ちゃんのぐずりや寝かしつけ時の強い味方になってくれることもある「おしゃぶり」。しかし、いつまで使っていいのか、やめさせどきに悩む人もいるのでは。おしゃぶりはいつまで使っていいのか、やめる時期やその方法などについてまとめました。

1歳過ぎまではOK。2歳までには使用をやめたほうがよい

1歳過ぎまではOK、2歳までには使用をやめたほうがよいというおしゃぶりをしゃぶる赤ちゃん
Lazy dummy

おしゃぶりの使用を考え直したほうがよいタイミングは「1歳過ぎ」と「2歳」にあるそうです。なぜその時期なのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

常時使用は「1歳過ぎ」まで

「授乳や食事の時以外は、おしゃぶりをしているのが普通」のように、常におしゃぶりを使っている場合、1歳過ぎになったら少しずつ、おしゃぶりを使わない時間を増やしていくことをおすすめします。その理由は「言葉の発達を妨げないため」です。

個人差は大きいのですが、1歳を迎えるころには言葉が出始める赤ちゃんもいます。でも、常におしゃぶりをしていると、どうしても言葉を発する機会が減ってしまうもの。赤ちゃんの言語力は周囲とのやりとりやふれあいの中から、日々育まれていきます。

そのため赤ちゃんが言葉を覚え、発し始める1歳過ぎには自然に発語ができるよう、おしゃぶりを少しずつ使わない時間を作っていくのがよいでしょう[*1]。

かみ合わせが完成する前、2歳までには使用を中止

おしゃぶりには「長期にわたって使用すると、かみ合わせに異常が起きやすい」というデメリットもあります。

1歳6ヶ月~5歳までの子供1,120人について、おしゃぶり、指しゃぶりと乳歯の噛み合わせとの関係を調べたところ、2歳児ではおしゃぶり群で開咬(上下の歯がかみ合わず開いた状態)が多く見られたと報告されています。5歳児になると、その割合はさらに高くなっていたそうです[*1]。

また同様に4~5歳の子供432人についておしゃぶり、指しゃぶりと乳前歯部開咬の関係を調べた調査でも、おしゃぶりを使用している期間が長くなればなるほど開咬になりやすいという結果となっています。いずれの調査でもおしゃぶりを長期に使用すると、かみ合わせに悪い影響を与えることが示されています[*1]。

しかし、こうしたかみ合わせの異常は適切な時期におしゃぶりの使用を中止すれば、その後は成長に伴って改善される傾向にあるといわれています。そのためにはおしゃぶりを2歳までにやめることが必要です[*1]。
赤ちゃんのかみ合わせへの影響を少なくするためにも、おしゃぶりは長期にわたって使わないようにしましょう。

おしゃぶりは自然にやめられるもの? 平均的タイミングとやめる理由・方法

「おしゃぶりは2歳までにやめましょう」といわれても、自然にやめられるものなのか疑問を持つ人もいるでしょう。そもそも一般的にはおしゃぶりは何歳くらいまで使うことが多いのでしょうか?

2歳半で使用しているのは約1割

おしゃぶりの使用時期についてはこんな調査があります。離乳完了期にあたる1歳2ヶ月の子供748人と、乳歯が生えそろう2歳6ヶ月の子供459人、計1,207人の保護者に、おしゃぶりの使用状況を聞いたところ、1歳2ヶ月時点では26.9%、2歳6ヶ月時点では11.1%の子供が、おしゃぶりを使用していたことがわかりました[*2]。

やめる理由:「飽きて使わなくなる」が大半

また、おしゃぶりをやめたきっかけについても調査が行われています。調査対象は1歳2ヶ月児~3歳0ヶ月児の保護者、計3,385人で、2002~2003年に行われたこの調査によると、おしゃぶりを使わなくなった理由で最も多かった答えが「子供が飽きて使わなくなった」というものでした。ほかに興味のあるものが増えることで自然におしゃぶりをやめる子供が多かったようです[*3]。

やめる方法:興味をそらし、使う頻度を減らしていく

飽きたらやめてくれることが多いとはいえ、おしゃぶりをやめるタイミングを子供の興味の移り変わりに任せるのを不安に感じる人もいるでしょう。そこで親の側から働きかけをして、おしゃぶりをやめるきっかけをつかむ方法を調べてみました。

大切なのは使う頻度を「少しずつ」減らしていくこと。「おしゃぶりをやめさせたい」といっても、いきなり取り上げるのはよくありません。子どもの様子や生活状況を見ながら、おしゃべりやスキンシップを増やしたり、遊びに集中できる環境を整えたりなど、子供がおしゃぶりのことを忘れてしまうような工夫をすると少しずつ使う機会を減らしていけるでしょう。

おしゃぶりがないと眠れないという場合は、寝かしつけの時にお話しをするなど、なるべく子供が安心できるような対応をしてみましょう。一時的にはママやパパの負担が増えるかもしれませんが、長い目で見ると「あの時、頑張っておいてよかった」と思えるはず。家族で協力しながら、子供の興味をおしゃぶりからそらす機会を積極的に作っていきましょう。

4歳以降もやめられない場合は小児科医に相談を

「子供の興味をそらしたり気持ちを満足させたり、いろいろと工夫したのに、おしゃぶりをやめられないまま4歳になってしまった」といった場合は、かかりつけの小児科医に相談することをおすすめします。

先ほどもお伝えしたように、おしゃぶりを長期にわたって使うことはかみ合わせなど口腔(こうくう)の発達に良くない影響を与えます。また、やめられるはずのおしゃぶりをやめられないということは、おしゃぶりに頼らざるを得ない何らかの原因があることも考えられます。一人で悩まず、専門家の意見を聞きながら改善の方法を探していけるとよいですね。

おしゃぶりのメリットとデメリット

おしゃぶりをしゃぶる赤ちゃんを抱っこするママ
Lazy dummy

最後におしゃぶりのメリットとデメリットを、あらためて確認しておきましょう。

おしゃぶりのメリット 

おしゃぶりのメリットとして考えられるものを挙げてみました。

●赤ちゃんの心が落ち着く
●泣き止みやすくなったり、眠りにつきやすくなったりする
●ママ・パパの子育てストレス軽減につながる
●乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防できる可能性があるかも


「吸う」という行為は赤ちゃんにとって、心の落ち着きを得られる動作です。また、赤ちゃんが落ち着くと、泣き止みやすくなったり眠りにつきやすくなったりすることもあり、その結果、子育てのストレスが減ることも。

何の予兆や既往歴もなく赤ちゃんが命を落としてしまう原因不明の病気、「乳幼児突然死症候群(SIDS)」のおしゃぶりによる予防効果については、アメリカの小児科学会が「効果あり」と発表しています。

しかしアメリカほどおしゃぶりは使われていないと言われている日本のほうがアメリカよりもSIDSの発生率が低いといったこともあり、日本ではSIDS予防としてはとくにおしゃぶりは推奨されていません。おしゃぶりとSIDS発生率の相関関係についてはもう少し検証が必要といえそうです。

おしゃぶりのデメリット

一方、デメリットとしては以下のようなことが挙げられます。

●かみ合わせの異常が起こりやすくなる
●おっぱいを嫌がることがある
●親子のコミュニケーション機会が減る
●中耳炎が起こりやすくなる


年齢が高くなるまでおしゃぶりを使い続けると、上下の歯がかみ合わず、口が開いたままになってしまうケースが見られます。また、赤ちゃんがママのおっぱいに慣れる前におしゃぶりを使い始めてしまうと、おっぱいを嫌がり、哺乳瓶やおしゃぶりなどの人工乳首を好む「乳頭混乱(にゅうとうこんらん)」と呼ばれる現象が起こることも。

そのほか、赤ちゃんが泣くとすぐおしゃぶりに頼ってしまうことで親子のふれあいが希薄になったり、発語の機会が減ったりする可能性があります。また、おしゃぶりの使用によって耳の圧力のバランスが変化して耳管の機能が損なわれ、中耳炎になりやすくなると言われているのもおしゃぶりのデメリットといえるでしょう。

まとめ

わが子が赤ちゃんのころからおしゃぶりを使っていてなかなかやめられないと、「いつまでおしゃぶりを使うんだろう」と心配になることもあるでしょう。そうした場合は一度、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。おしゃぶりをやめる目安はここで説明した通りですが、口の中や言葉を含め、子供の発達は個人差が大きいものです。一人で抱え込まず、専門家の意見を聞きながら、おしゃぶりを徐々に卒業できるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

赤ちゃんの成長を考えて作られた、人気のおしゃぶり4選

赤ちゃんの成長を考えた設計でありながら寝かしつけにも役立つ、人気のおしゃぶりを紹介します。

ピジョン SkinFriendly(スキンフレンドリー)

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ピジョン おしゃぶり Fun Friends 0-3ヵ月 / Sサイズ いちご柄 肌にやさしい シリコーン
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NUK(ヌーク) おしゃぶり キャップ付 ジーニアス

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おやすみ時向けに設計されたおしゃぶりです。赤ちゃんの口から外れにくい、薄型・軽量・コンパクト設計。頬へのくい込みをやわらげ、あとがつきにくい形状になっています。おでかけに便利なプチケースも付いていて、電子レンジでの消毒が可能です。「S/0ヶ月~3ヶ月ころまで」「M/2・3ヶ月~10ヶ月ころまで」「L/8ヶ月~18ヶ月まで」の3サイズ展開。

コンビ Combi テテオ teteo おしゃぶりキャップ付 サイズ2 グリーン (2・3ヵ月~10ヵ月頃まで) 赤ちゃんのお口に合わせた形とサイズ
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