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2022年12月16日 15:40 更新

【医師監修】トイレトレーニングはいつから? 時期の目安と開始のサイン、おすすめのタイミング

トイレトレーニングの開始時期には、明確な基準や決まりがありません。それだけに、目安となる時期やベストなタイミングが気になりますね。そこで、おおよその目安と発達に沿った開始のサイン、おすすめのタイミングを紹介します。

トイレトレーニングを始める一般的な時期は?

トイレトレーニングをスタートする時期は、国や時代背景などによって大きく異なります。例えば、1970年台の古い調査ですが、ケニアでは生後1週間からトイレトレーニングを始め、生後5、6ヶ月には排泄コントロールが完成していたとする報告があります。

また、日本でも30年ほど前は1歳ごろ始めるのが主流でしたが、ここ数十年で2歳以降へと開始時期は遅くなってきています。これは、紙オムツの使用が一般的になったこと、高い月齢から始めて短い期間で終わらせようという考え方が増えたからではないかと言われています[*1]。

ママたちの意識も「早くオムツをはずしたい」から「時期にこだわらず子供のペースに合わせたい」と変化してきているようです。

現在では2歳半~3歳で始めるのが一般的

トイレをする2~3歳児
Lazy dummy

今日の日本では、2歳半~3歳でトイレトレーニングを始めるのが一般的なようです。

新生児のうちは排尿の働きが未熟で、1回の量が少なく、1日に20回ほど排尿していますが、成長とともにおしっこが溜められるようになり、1歳くらいで溜まった感覚がわかるようになります。それでもまだ、このころは尿意を感じると反射的におしっこが出てしまいます。

反射的に出るのを抑えることができるようになってくるのは、だいたい2〜3歳ごろのようで、3歳児のおよそ半分は昼間、尿をもらすことがなくなったという報告もあるそうです。

この頃にはおしっこをしっかりまとめて出せるようになり、1日の回数は約6〜8回になっています。この時期にトイレトレーニングを始めるのは、無意識に反射的な排尿を抑える神経が発達しつつあり、トイレに行くまで排尿を抑えることがある程度できるようになっているからでしょう。

ただ排尿機能の発達には個人差があり、早ければ3歳くらいで完成しますが、7〜8歳でも完成しない子もいます[*2]。

うんちの場合は、1〜2歳くらいで自分の意思で肛門を締めて我慢ができるようになると言われています。ですが、このころはまだ便座に座っていきむことが難しい場合もあり、無理にトイレトレーニングをすると便秘の原因となることも[*3]。

いずれにしても、焦ってトイレトレーニングを始める必要はありません。オムツはずれは、早ければ早いほどいい、ということはないのです。オムツを買わなくてよくなる、オムツ替えの手間がなくなるといった親のメリットはありますが、無理に早く始めると、トレーニング期間が長引く、失敗が多くなるというデメリットが出てくることもあります。

トイレトレーニングを始めると、失敗してお漏らしする、イヤイヤ期と重なったりして難航するなど、大変なこともあります。さらに、お友達がもう出来ている、世代間ギャップによる周囲からのプレッシャーなどで、多くのママが焦りを感じてしまうものです。

でも、オムツはいつか卒業していくものです。次に紹介する発達の目安を参考に、お子さんのペースを大事にしながら、ゆっくりでも構わないという気持ちで進めていきましょう。

トイレトレーニングに必要な体と心の発達は?

トイレトレーニングのイメージ画像
Lazy dummy

子供自身の体と心にトイレトレーニングを始める準備が整っているかどうか見極めるために、どんなことに注意したら良いか紹介します。

トイレトレーニング開始の目安

トイレトレーニングを始めるには、体の発達や心の成長でできれば満たしておきたいいくつかの条件があります。

こんな様子がみられたらトイレトレーニングを始めてみよう

・一人で歩くことができる(自分で歩いてトイレに行くことができる)
・下着の上げ下げができる
・コミュニケーションがある程度とれる(言葉などで、おしっこ、うんちが出たことを報告できる)
・トイレに興味を示している
・おしっこが出る間隔が2時間以上 程度はあいている(膀胱におしっこを溜められるようになる)

年齢にこだわって何歳から、と決めるよりも、以上の条件にだいたい当てはまるようになったころを目安にスタートすると良いでしょう。

ただし、うんちに関しては、子供によっては出し方にこだわりがある場合も。トイレ以外の場所でしゃがんで出したがる子や、おしっこはトイレでできるのにうんちはオムツで出したい、という子もいます。

そんな時、無理にトイレに誘うと、出すのを我慢して便秘の原因になったり、便秘を悪化させたりすることがあります。子供が嫌がるようならトイレで排便させることは急がず、おしっこで慣れてからうんちのトレーニングを始めましょう。

夜のオムツはずれは日中より後になるもの


平成22年度の幼児健康度調査によると、「おしっこのしつけを始めていますか」という問いに対して、「もう完了した」と回答したのは、2歳児7.6%、3歳児57.5%、4歳児83.2%、5~6歳児90.9%でした。

一方、「おねしょをしますか」という問いに対し、「時々する」または「毎晩のようにする」と回答したのは、2歳児では52.6%、3歳児では45.6%、4歳児では28.7%、5~6歳児では21%でした。

つまり、おしっこのしつけが完了していると約8割の人が答えたのは4歳児でしたが、5、6歳になっても約2割の子はまだおねしょをしていることがわかります[*4]。

日中のオムツがはずれても、おねしょはしばらく続くようです。なかなか治らなくても、焦ることはありません。おねしょをしないためには「夜間に作られる尿を溜めておけるだけ膀胱の容量があること」、「尿意で目を覚ますようになること」、「抗利尿ホルモンが分泌され夜間の尿量が抑えられる」ことが必要です。成長にともなってこれらの条件がそろうまで待つことしかできません。

夜のオムツはずれは日中よりも後になると考えましょう。子供によっては、日中にパンツになると夜もオムツを履きたがらないことがあります。その場合は、防水シーツなどを使用して対応しましょう。

もし、5歳以降になっても月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合は「夜尿症」に該当します。7歳の時点で夜尿症がある子供は10%程度といわれており、その後、年間約15%ずつは自然に治っていくが、まれに夜尿が治らないまま成人になることもあるとされます。

日本泌尿器学会では、小学校に入学しても夜尿症が続く場合は小児科か泌尿器科の受診をすすめています[*5]。これは生活指導などの治療を受けることで、夜尿が治るまでの期間を短縮できると言われているからです。それ以前であっても本人や家族がおねしょで悩んでいるようであれば、一度、医師に相談してみましょう。

トイレトレーニングを始めるおすすめのタイミング

逆立ちする赤ちゃん
Lazy dummy

一番大切にしたいことは、子供自身がやる気になったタイミング。または、親が余裕を持って付き合える時期かということです。それでも中々決められない、タイミングがつかめない場合は、下のおすすめも参考にしてみてください。

季節は夏がおすすめ

冬は寒いので、トイレに行くこと自体が嫌になりがち。また、寒さでトイレの回数が増える傾向にありますが、それとともに失敗も増える可能性があります。

その反面、夏は汗をかくこともあり、冬に比べてトイレの回数は減るでしょう。また薄着なのでトイレでもたもたしない、失敗しても洗濯物がすぐに乾くという点でもトイレトレーニングを始めやすい季節です。

保育園・幼稚園の方針も参考に

通っている保育園に合わせる、幼稚園入園を目標にするなど、集団生活を意識して決めるのもいいでしょう。保育園でトイレトレーニングが始まったら、家でも一緒にやってみましょう。

園によってトイレトレーニングの方針は異なり、2歳児クラスで始めるケースもあれば、目安の時期を設けつつ、個別に対応してくれる園もあります。どちらの場合でも、先生から情報共有してもらいながら園と連携して進めましょう。

入園予定の幼稚園がオムツ替えに対応していない場合は、入園までに完了することが目標になりますね。もし間に合わなくても、園生活を送るうちにオムツがはずれる子もいるので、焦らずに取り組んでいきましょう。

まとめ

トイレトレーニングを始める時期は、今の日本では2歳半~3歳が一般的なようです。このころの子供の発達段階がトイレトレーニングを始めるのに適していると考えられるためです。ただし、子供の成長スピードには個人差が大きく、イヤイヤ期もあって子供自身のこだわりも出てくる時期のため、適切な時期は一概にはいえません。何よりも子供の様子を見て、発達のサインやトイレへの興味が出てきたら始めましょう。親がオムツをはずすのではなくサポートをするという気持ちで、焦らずに進めていきましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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