【医師監修】新生児、赤ちゃんの目の特徴と気をつけたい症状・病気

【医師監修】新生児、赤ちゃんの目の特徴と気をつけたい症状・病気

赤ちゃんの愛くるしくてつぶらな瞳。いったい何を見つめているのでしょう? ママやパパの顔はどうやって見えているのでしょう? 赤ちゃんの目の特徴と、健康な視力の発達のために気をつけたい点を整理してお話します。


赤ちゃんの目はいつから見えるようになるの?

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猫などの動物と違って、人間の赤ちゃんは生まれてすぐにまぶたを開けることができます。ぱっちりとまぶたを開いているのですから、生まれた時から大人同様に世界が見えているのだろうと考えがちですが、実はそうではありません。

生まれたばかりは明暗がわかるくらい

赤ちゃんの眼球は、大人よりも少し小さいくらいにまで成長しています。赤ちゃんの目が顔に対して大きく見えるのはそのためです。大きさが十分に育っているだけでなく、物を見る器官としての構造も、生まれた時点でほぼ完成しています。実際に赤ちゃんの目は、生まれる前からすでに光を感じとることはできます。

ただし視力はまだ育っていません。新生児(生後1ヶ月まで)の視力は0.01~0.02ほど。目から30cmくらいの距離までであればどうにか焦点が合うくらいの視力しかなく、ぼんやりとしか見えていません [*1]。

生後の早い時期に急速に視力が成長する

生まれて間もなく、最初に認識できる色は白や黒、グレーだけです。他のさまざまな色を認識できるようになるのは、生後3ヶ月ごろ以降と言われています[*2]。

赤ちゃんの視力は目の位置が安定する生後2ヶ月ごろから急速に発達し始めます。目の位置が安定することで、ピントを合わせたり、近くのものを見る時に目を内側に寄せたり、動くものを追いかける目の動きが発達してくるのです。こうして左右の目を同時に使って(両眼視)、遠近感や立体感がわかるようになってきます。

3歳ぐらいになると 0.5以上の視力となり、成人と同じレベルに達するのは8~9歳ごろのことです[*1]。

視覚は刺激を受けて育つ

ところで、視覚は刺激を受けることで成長することをご存知でしょうか。逆の言い方をすると、暗闇にいる限り、赤ちゃんの視覚は育ちません。例えば、生まれた後、何らかの原因でピントの合った像が網膜に映されないままだと、網膜から脳に見えたものの情報を伝達する視神経の働きや、視神経から伝達された情報を映像として認識する脳の力がうまく育たず、 弱視(※)になってしまいます。

眼球断面図

ものが見える仕組み(イメージ)。カメラでいうとレンズの役割を果たす「水晶体」を通った映像が「網膜」に映り、網膜にある視細胞が感じ取った情報が「視神経」を通って脳へ伝達され、ものを見たと認識する

※弱視とは

弱視とは、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が良くならない目のことを言います。
裸眼視力が0.1以下であっても、眼鏡やコンタクトレンズで矯正して1.0以上の視力となる場合は、弱視ではありません。

時期別 チェックしたい赤ちゃんの目の症状

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赤ちゃんの目に異常がないか、しっかり視覚が育っているか、成長にあわせて次のような点をチェックします。乳幼児健診などではもちろん医師がチェックしますが、ふだんから下記のような症状がないか、少し気を付けておきましょう。

生まれて間もない時期

生後すぐは、医師が次のようなことを確認します。
・目が濁っているように見えないか…先天白内障、先天緑内障、網膜の病気などの可能性が考えられます。
・涙の量が多い、充血している、まぶしがる…先天緑内障、鼻涙管閉塞、まつ毛が目に当たっているなどの可能性が考えられます。
・黒目の大きさが左右で異なる…先天緑内障などの可能性が考えられます。
・その他…形態的な異常の有無を確認します。

生後3~4ヶ月ごろ

このころから両目で物を立体的にとらえる機能が発育してきます。これに伴い、斜視(左右の視線が一致しないこと)があればそれが明らかになってきます。斜視は片方の目でものを見てしまうため、使っていない方の目の視力が育たなくなり、弱視になりやすい状態です。 また、両目で物を立体的に見る力が育ちにくくなります。

斜視を疑うポイントは、目がより目になったりして視線が合わなくなっていないかどうかを確認することです。くわしくは、公益社団法人 日本視能訓練士協会のパンフレット『乳幼児版 目の健康「チェックシート」』を使って確認してみましょう。

乳幼児版 目の健康「チェックシート」
http://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/check.pdf

その他、先天緑内障や先天白内障などの症状も含めて、このころも以下の点に気を付けるようにしましょう。気になる症状があれば早めに眼科を受診してください。

・瞳が白く見えたり、光って見えたりしていないか
・目の大きさや形がおかしくないか
・視線が合うか
・動くものを目で追いかけるか
・目が小刻みに揺れていないか
・目つきや目の動きがおかしくないか
・極端にまぶしがったりしないか
・片目を隠すと嫌がらないか

生後1年後ごろ

物がはっきりと見えるようになるこのころには、生後3~4ヶ月ごろでの注意点に加えて、以下のような点にも気を付けてください。

・物を見るとき目を細める…視力が良くない可能性が考えられます。
・首をかしげて物を見ようとする…斜視や乱視、または片方の目の視力が良くない可能性が考えられます。
・まぶたが下がっている…眼瞼下垂の可能性が考えられます。
・近くを見るとき目が内側による…遠視の可能性が考えられます。

赤ちゃんの時に注意したい目の病気

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さきほど、赤ちゃんの目ではどんな症状に注意したいか説明しましたが、ここからは赤ちゃんや子どもの目によく見られる病気を簡単に紹介します。

結膜炎

乳幼児に多い目の病気です。細菌が原因の場合は抗菌薬の目薬で治りますが、ウイルス性の場合は炎症を抑える薬や、細菌の混合感染を防ぐために抗菌薬を点眼します。花粉やハウスダストなどのアレルギーによって起こることもあります。この場合は抗アレルギー薬や炎症を抑える薬を点眼します。

眼瞼内反、睫毛内反(逆さまつ毛)

眼瞼(がんけん)とはまぶたのこと、睫毛(しょうもう)とはまつ毛のことです。赤ちゃんはまぶたが厚ぼったいために、まつ毛が目の表面に当たりやすく、そのため涙目になることがあります。ほとんどの場合、成長とともに良くなっていきますが、治らなければ手術で治療します。

鼻涙管閉塞

涙が目頭にある涙の排出口(涙点)から鼻の奥に流れていく 経路である「鼻涙管」が詰まっている状態で、これも涙目の原因の1つです。成長とともに自然に開通することが多いのですが、鼻の部分のマッサージをしてあげていると、流出経路ができる場合があります。月齢によっては鼻涙管に細いチューブを入れて鼻涙管を開通させます。この方法で効果がない場合は、まれに手術を行うこともあります。

斜視

左右の視線が合っていない状態です。原因として、眼球を動かす筋肉や神経などに問題がある場合や、片方の目の視力が悪いために、その目を使っていない場合、遠視のために内斜視(より目)になっている場合などがあります。使われていない方の目の視力が育たず、弱視の原因となるため、早めに治療することが大切です。

なお、既に片方の目の視力が悪くなってしまっている場合の治療法として、医師の指示のもと、良い方の目にアイパッチをして使わないようにし、悪い方の目を強制的に使うようにすることもあります。その場合、赤ちゃんはあまりよく物を見えない状態になりますので、事故を起こさないよう、保護者が注意して見守る必要があります。

※記事末尾「安易な眼帯はダメ!」でも解説していますが、保護者の判断で赤ちゃんにアイパッチや眼帯などをしてはいけません。医師の指示があった場合にのみ使用しましょう。

眼瞼下垂 (がんけんかすい)

まぶたが垂れ下がっている状態です。垂れ下がったまぶたが瞳孔にかかっていると、視野が遮られて見にくいだけでなく、視力が育たないため弱視の原因となります。
眼瞼下垂はさまざまな原因があり、それぞれに合った治療を行いますが、必要な場合は まぶたを動かす筋肉を手術で調整することもあります。

眼球振盪(がんきゅうしんとう)、眼振(がんしん)

赤ちゃんの目が細かく震える場合、眼球振盪(眼振)という病気の可能性があります。弱視や斜視に伴ってみられることが多い病気です。原因は視力が悪くて物がよく見えていない場合と、目を動かす神経に異常がある場合があります。

眼振には生理的眼振といって、動く乗り物の中から外の景色を見ているときなどに起こるものものありますが、病気によるものである場合は、その症状を緩和したり、原因となっている異常の治療などを行います。

その他、先天性の病気など

そのほかの赤ちゃんの目の病気として、先天白内障や先天緑内障、網膜芽細胞腫などがあります。生後すぐの検査や乳幼児健診の際に医師が確認しますが、もし何かの異常に気づいたら、次の健診を待つのではなく、早めに受診して調べてもらいましょう。

安易な眼帯はダメ!

最後に大切なアドバイスを1つ。
結膜炎などで子どもが目を赤くしていたりすると、「治るまで眼帯をしてあげないとかわいそう」と思うかもしれません。しかし安易な眼帯は禁物です。

眼帯やアイパッチなどをすると、視覚の刺激が完全に途絶えるので、その間は視覚の発育が途絶え、短期間で弱視になってしまう恐れがあります。眼帯やアイパッチなどの必要性は眼科医が判断しますので、必ずその指示を守ってください。

まとめ

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斜視や涙目など、気になる症状が見られるときは、すぐに医師に相談をしてください。目の病気の多くは、適切な治療で治ります。気づくタイミングが遅くならないように気をつけましょう。新生児~乳幼児期の視力の発育は、その後からでは取り戻せないことをしっかり理解しておくことが大切です。

この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]成育医療研究センター/乳幼児健康診査身体診察マニュアルp.9
http://www.jpoa.org/pdf/PEmanual.pdf
[*2]山内留美:乳幼児の視覚の発達について, 光学, 35巻12号673-674, 2006.
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/35-12-kobo.pdf
[*3]日本弱視斜視学会 内斜視
https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus3

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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