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2021年04月05日 10:55 更新

【医師監修】妊娠したかも…病院にはいつ行くべき?

妊娠検査薬で陽性反応が出たら、なるべく早く病院を受診したいもの。しかし受診が早すぎると診断ができなかったり、遅すぎるともしもの時に間に合わなかったりすることも。いつ医療機関を受診するのがベストなのでしょうか。

妊娠検査薬で陽性反応、すぐ病院に行ってもよい?

妊娠検査薬で陽性が出たら病院で診察を受ける
Lazy dummy

妊娠を待ち望み、少しでも早く妊娠しているかどうかを知りたい――そんなとき、自宅で簡単に検査できる妊娠検査薬は心強い存在になります。

妊娠検査薬は尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という物質の濃度を検出し、妊娠反応の有無を判定しています。hCGは、着床後に分泌が始まる妊娠中の女性に特有のホルモンで、通常、男性や妊娠していない女性ではつくられません。このhCGが一定以上の濃度で尿中にあると妊娠反応が陽性=「妊娠の可能性あり」となります。

一般的な妊娠検査薬は、元々の「生理予定日の約1週間後(妊娠している場合、妊娠5週に当たる)から」判定できるとされていますが、この時期に使用して陽性反応が出たら、正常な妊娠かどうか確認するため、産婦人科を早めに受診することが大切です。

しかし、妊娠を待ち望んでいる人の中には「早く知りたい」という気持ちが先走って、ついフライング検査をしてしまう場合があります。また、早期妊娠検査薬と呼ばれる、検出感度を高めて比較的少量のhCGでも反応するようにできている検査薬により、通常より早めに妊娠の有無を確認することもあるかもしれません。

これらの検査方法で陽性が出た場合にも、早めに受診したほうが良いのでしょうか? 実は、生理開始予定日の週(妊娠4週)など、あまり早すぎるタイミングでは、産婦人科を受診しても、正常な妊娠かどうかを確認できないことがあります(理由は次の【医学的な「妊娠」の定義】の項で解説します)。


医学的な「妊娠」の定義

そもそも妊娠検査薬で妊娠反応が出ているだけでは、医学的に「妊娠」と診断はされません。医学的に「妊娠」と診断できるのは、赤ちゃんを包む袋である胎嚢(たいのう)(GS)を子宮内に確認したときです 。胎嚢は早くて妊娠4週の中ごろくらいから見えはじめ、妊娠6週以降になると、ほぼ確実に確認できるようになります[*1]。

その後、胎嚢に加えて妊娠5週後半から胎児心拍が確認可能となります。胎児心拍は妊娠7週以降になるとほぼ確実に確認できるとされています。 このころの胎嚢や胎児心拍の診断にはおもに経腟超音波検査が用いられます。

あまりにも検査する時期が早すぎると、胎嚢が確認できず、正常な妊娠をしているか、診断できないことがあります。

病院にはいつ行く? 妊娠反応が出てから受診までのタイミング

さて、上記を踏まえた上で、妊娠検査薬が陽性反応となった場合、どのタイミングで産婦人科を受診するのがベストといえるか考えてみましょう。

胎嚢が見えはじめるのは、早くて妊娠4週の中ごろです。妊娠週数では、妊娠前の最終生理開始日を妊娠0週0日と数えるので、次の生理開始予定日=妊娠4週0日にあたります(生理周期が28日周期の場合)。つまり胎嚢が確認できるのは、早くて元々の生理開始予定日の3~4日後です。さらに、胎児心拍が確認できるのはこの約1週間以上後=妊娠5週の後半からです から、大体妊娠5~6週にあたる期間に婦人科を受診するのがベストなタイミングと言えそうです 。

妊娠検査薬の使用タイミングと胎嚢・胎児心拍を確認可能な週数の関係

通常の妊娠検査薬は生理開始予定日の1週間後から判定できるとされているため、そのタイミングに妊娠検査薬で検査→陽性反応が出る→病院予約をすると、受診のタイミングとしてもベストになりそうです。

なお、通常の妊娠検査薬でもフライング検査をした場合や、早期妊娠検査薬を使用した場合は、陽性と出てすぐに産婦人科を受診しても、その時点では妊娠の確定は出来ず、1週間程度経ってからもう一度受診を指示されることが多いようです。また、これらの場合、陽性となった1週間後に通常の妊娠検査薬を使って再度検査して陽性となるか確認してから、産婦人科を受診する方法もあります。

早すぎる受診がNGというわけではありませんが、早すぎた場合は再度受診する可能性もあるということは覚えておきましょう。ただし、初めての妊娠で不安な場合や、体調がいつもと違うなどという場合には早めに受診するようにしましょう。

異所性妊娠の可能性もあるので待ちすぎも禁物!!

胎嚢・胎児心拍が、一定の妊娠週数をすぎないと確認できないのなら、妊娠検査薬で陽性が出ても受診はなるべく待った方が良いのでは? と思う人もいるかもしれませんが、実は逆で、あまりのんびりしすぎるのも良くないのです。

なぜなら、hCGが検出されても受精卵が子宮体部以外の卵管などに着床してしまう異所性妊娠(子宮外妊娠)の場合もあるからです。この場合、妊娠6週ごろに急激な下腹部の痛みや出血といった症状が起こることがもっとも多いと言われています。妊娠5~6週に受診ができれば、万が一、異所性妊娠であった場合でもこうした症状が起こる前に発見、治療することも可能になります。

異所性妊娠はお腹の中に大量に出血することで出血性ショックを引き起こし、命に関わる事態にもなりえます。妊娠が確定していなくても、妊娠の心当たりがある、妊娠検査薬で陽性が出ている人でこうした症状があった場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

まとめ

妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診することは多くの女性が知っていることと思います。ただ、ここで紹介したタイミングを頭に入れておくと、受診から妊娠の診断を受けるまでをスムーズに進めることに役立つのでぜひ覚えておきましょう。妊娠初期は新しい命をお腹に宿した女性、胎児ともにとても不安定な時期です。そして、妊娠、そして出産とは奇跡の連続がなせるわざ。そのことを念頭に置き、授かった大切な命を育んでいきましょう。

(文:山本尚恵/監修:直林奈月先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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