【医師監修】妊婦は豆乳OK? その栄養素や飲んで良い量は?

【医師監修】妊婦は豆乳OK? その栄養素や飲んで良い量は?

煮た大豆を濾してできる「豆乳」。ヘルシーなイメージで、特に女性に根強い人気があります。では、妊婦さんの場合はどうでしょう? 普段どおりに飲んでも良い?むしろ普段より積極的に飲むべき?逆に妊娠中は控えたほうが良い?妊娠中の豆乳摂取について解説します。


豆乳の特徴

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豆乳には健康に良い栄養素がたっぷり含まれています。また、その成分から、男性よりも女性に向いている食品という見方もできます。豆乳の優れている点をまとめてみましょう。

豆乳は女性の健康サポート食品

豆乳が優れている点は、まず、比較的低カロリーでありながら、良質な植物性たんぱく質を豊富に含むことです。

そして、豆乳に含まれている「大豆イソフラボン」には、骨粗鬆症や更年期障害など、女性に多い病気の発症・進行を遅らせたり、症状を緩和する作用があると言われています。日本人に不足しがちで骨粗しょう症予防に大切なカルシウム、便秘予防に役立つオリゴ糖なども含まれています。

豆乳が「特に女性に良い」と言われ、実際に近年、人気の飲み物になっているのには、このような背景があるためと考えられます。なお、豆乳には血中コレステロールを正常に近づけ、動脈硬化の進行を抑える働きなども報告されているため、実は男性にもおススメの飲み物です。

大豆イソフラボンとは

豆乳の栄養を語る時にキーポイントとなる「大豆イソフラボン」について、ここで少し詳しく触れておきましょう。

大豆イソフラボンとは、ポリフェノールの一種で「植物由来のエストロゲン」とも呼ばれます。エストロゲンとは女性ホルモンの一つ。豆乳を飲むと、それに含まれている大豆イソフラボンが体の中で、女性ホルモンに似た働きをするとされています。

先ほど挙げた、豆乳による骨粗しょう症や更年期障害による症状の予防・緩和作用は、主にこの大豆イソフラボンによるものと考えられています。

「良質なたんぱく質」とは

ところで、もともと日本人は、大豆を主要なたんぱく源とする食生活を送っていました。今でも、豆腐や納豆、味噌、大豆もやしなど、大豆製品は食卓に欠かせない存在です。このような大豆は、先ほども述べたように「良質なたんぱく質が豊富」な食品で、「畑の肉」とも呼ばれます。

では、「良質なたんぱく質」とは何かと言うと、それは栄養学的に「アミノ酸スコアが高い」ということです。アミノ酸スコアが高いとは、たんぱく質を構成しているアミノ酸のうち、体内では作ることができず、食べ物として摂取しなければいけない「必須アミノ酸」が豊富だという意味です。
大豆のアミノ酸スコアは「100」[*1]。つまり、必須アミノ酸はすべて基準に達しているということです。

このように優れた特性を持つ大豆から作られた豆乳も、やはり栄養価の高い飲み物です。そのため、例えば高い栄養価が期待される乳児の栄養源として、母乳や牛乳と並び豆乳もよく用いられますし、その際、アレルギー回避等の理由で豆乳が優先的に選択されることも稀ではありません。

豆乳の摂りすぎに注意が必要と言われる理由

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ここまでの解説を読んでいただく分には、豆乳は体に良いことばかりで妊婦さんがいくら飲んでも心配ないのではないかと思う人も多いことでしょう。ところが、「妊娠中は豆乳を飲んではいけない」という情報もみられます。本当のところはどうなのでしょうか。

エストロゲンを薬として使った場合は…

イソフラボンはすでに解説したように、女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをします。このことが「妊娠中の豆乳は良くない」と言われる主要な原因と考えられます。実際、妊娠中の母親の病気の治療等のために、エストロゲンを薬として投与すると、赤ちゃんに生殖器機能障害などの発生が増えることが報告されています。

その一方で、妊娠中に豆乳を飲んだことが原因で何かしら有害なことが発生したとの事例報告は存在しないとされています[*2]。つまり、食品経由ではなく、薬としてエストロゲンを使った場合は、赤ちゃんに影響が現れる可能性があるということです。
薬はエストロゲンを濃縮したものです。要するにエストロゲンの量が多すぎれば問題になるということですね。

なお、サプリメントはどうかと言うと、妊娠中に通常の食生活に上乗せして、サプリメントなどの健康食品から大豆イソフラボンを摂取することには特段のメリットがなく、推奨されていません。

ふつうは心配する必要はないが、サプリ使用には注意

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どの程度のイソフラボンなら心配ないのか、もう少し具体的にみてみましょう。

大豆イソフラボンの安全性については、イギリスやアメリカなど海外でも検討されています。
妊娠中に限ったものではありませんが、フランス食品衛生安全庁では、健康への影響が考えられない量としてイソフラボンアグリコン(腸内細菌等の作用によって、大豆イソフラボンが腸から吸収されるときになる形態)は1日に体重1kgあたり1mgという上限を示しています。
また、乳幼児や、本人または家族に乳がんの病歴のある人は、大豆イソフラボンを含む植物エストロゲンの摂取を制限すべきとしています。

イタリアでは、大豆イソフラボンなど、植物エストロゲンを補完した食品による一日摂取量が80mg/日を超えないようにとの勧告が出されています[*2]。

これも妊婦を対象としたものではありませんが、日本では内閣府食品安全委員会が発表しているデータが一つの目安となります。そこでは、大豆イソフラボンの安全な1日の摂取量の上限を70~75mgとしています[*2]。

食品中にどのくらいのイソフラボンが含まれているかは、以下の表が参考になります[*3]。

食品名(検体数)/含有量(mg/100g)/平均含有量(mg/100g)
大豆(11検体)/88.3~207.7/140.4
煮大豆(3検体)/69.0~74.7/72.1
揚げ大豆(1検体)/200.7/200.7
きなこ(2検体)/211.1~321.4/266.2
豆腐(4検体)/17.1~24.3/20.3
凍り豆腐(1検体)/88.5/88.5
おから(1検体)/10.5/10.5
金山寺みそ(1検体)/12.8/12.8
油揚げ類(3検体)/28.8~53.4/39.2
納豆(2検体)/65.6~81.3/73.5
味噌(8検体)/12.8~81.4/49.7
醤油(8検体)/1.0~1.7/0.9
豆乳(3検体)/7.6~59.4/24.8

この表からわかるように、豆乳に含まれるイソフラボンの量は100gあたり25mgほどですから、豆乳だけなら約300gが摂取上限ということになります。ちなみに、豆腐は100gで20mgのイソフラボンを含んでいます。

以上から、あまり偏った食生活をしていない限り、妊娠中に豆乳を飲んだからといって、即イソフラボンの摂り過ぎになることはないでしょう。ただ、紹介したように食品によっては大豆イソフラボンを多く含むことは頭の片隅に入れておくと良いですね。また、妊娠中のサプリメント使用は控えた方が良いことも覚えておきましょう。

まとめ

日本人は、古くから大豆や大豆製品を貴重なたんぱく源として食生活にとり入れてきました。それにもかかわらず、妊娠中や授乳中に大豆や大豆製品を食べ過ぎたことが原因で有害なことが発生したという報告は、過去に見当たらないとされています。ただ、サプリメントとして手軽に特定の栄養素を効率よく補給できるようになったのはごく最近のことです。何事もほどほどが肝心。豆乳の役立つ面を上手に利用しながら、ほかの食品もバランスよく取り入れて、妊娠中の健康管理に役立てましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

(文:久保秀実/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本豆腐協会/豆腐と健康/アミノ酸
http://www.tofu-as.com/health/03amino/02.html
[*2]臨産婦53(1), 1999, p.98-99
[*3]食品安全委員会, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
[*4]厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究,1998 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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