出産・産後 出産・産後
2022年01月14日 15:10 更新

【医師監修】産後の生理っていつから?授乳中は来ない?

産後の体の変化の1つが「生理(月経)の再開」です。妊娠を機におよそ40週の間ストップしていた生理は、しばらくして再開します。今回は「生理はいつ再開するの?」「授乳中はずっとこないの?」などの疑問に答えるほか、産後の性生活に関するアドバイスや注意もお伝えします。

産後、生理の再開はいつから?

産後には生理が再開するママと赤ちゃん
Lazy dummy

生理(月経)とは、不要になった子宮内膜が排出される、女性の体の働きです。

女性は初潮が起きてから閉経するまで、およそ1ヶ月ペースで生理が繰り返されます。妊娠期間中は生理が止まり、産後にまた再開されますが、まずはその仕組みと再開時期を確認しましょう。

まずは生理の仕組みについて知ろう

生理開始日から数えて次の生理開始前日までを「月経周期(生理周期)」と言います。生理周期の日数は多くの場合28〜30日(25〜38日ならば正常)。つまり、生理はおよそ1ヶ月ごとに起こりますが、これはいくつかのホルモンによって調整されています。

生理周期の簡単な流れはこんなかんじです。

月経周期と女性ホルモンの変化

①【卵胞期】受精卵の“ベッドを作る”
エストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、子宮内膜が増えて分厚くなる

②【排卵期】排卵する
エストロゲンの分泌量が増えるとLH(黄体形成ホルモン)が急激に増えて排卵が起こる

③【黄体期】受精卵の“ベッドをフカフカにする”
卵子を出した後の卵胞が黄体となって主にプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し、子宮内膜が着床に適した状態になる

④【月経期】生理がくる(古いベッドが壊れる)
受精せず妊娠しなかった場合は、エストロゲンとプロゲステロンが少なくなり、不要になった子宮内膜がはがれて経血となって排出される

このように、「ベッドを作る→排卵→ベッドをフカフカにする→古いベッドが壊れる」という一連の流れをおよそ1ヶ月毎に繰り返すわけです。

妊娠と生理の関係は?

一方、排卵された卵子が性交渉によって入ってきた精子と出会って(受精)、準備されたフカフカのベッド(子宮内膜)に着床すると妊娠が成立します。そうすると子宮内膜がはがれず、生理が起こらない(生理が止まる)状態になります。

「生理が遅れたことで妊娠に気づいた」という人も多いかもしれませんが、妊娠と生理は密接な関係があるのです。

産後の生理再開時期

妊娠すると同時にストップした生理は、出産を終えたらすぐ再開するわけではなく、しばらくは止まったままです。これは「産褥性無月経」といい、病気などではありません。妊娠期間中とても低い値となっていた卵巣機能に関わるホルモン(LHなど)が、出産後しばらくは低い状態にあるためです。

一般的に産後2ヶ月までは無月経

産後の生理再開の時期については個人差がありますが、授乳していない女性では出産した後2ヶ月は無月経期間が続くことが多いでしょう。なお、7割が産後3ヶ月までに生理が再開したというデータもあります[*1]。ただし、これは授乳していない女性の場合なので、授乳していると生理再開の時期も変わってきます。

授乳してると再開が遅れる

授乳をしている女性の場合、授乳していない女性より出産後生理がこない期間が長くなります。個人差が大きいものの、早くて産後1〜2ヶ月、授乳を続けている場合では数ヶ月から2年程度で生理がくることが多いようです。

授乳と生理再開の関係

母乳を作るためにはプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が必要で、産後は授乳で乳首へ刺激を受けるたびに多く分泌されます。このプロラクチンには卵巣の機能を抑制する作用があるため、授乳をしていると無月経期間が長くなるということなのです。

授乳中に生理再開というケースも

授乳していると生理再開が遅くなりますが、授乳している限り生理がこないというわけではありません。授乳回数が減ればそれだけプロラクチン分泌も下がり、断乳前に生理が始まることもあるのです。

なかなか生理が再開しないときは?

産後の生理再開の時期については個人差があり、授乳中なのに早めに生理が再開する人もいれば、1年以上無月経が続くこともあります。産後、なかなか生理がこない原因は何なのでしょうか。

産後のストレス・睡眠不足や栄養状態も影響する

ストレスや疲労、食生活などが生理周期に影響を及ぼすことがあります。

産後は出産の疲労を十分に癒す間もなく、慣れない育児に追われることになります。万年睡眠不足状態のまま、夜も授乳や夜泣きへの対応で生活リズムが不規則になることもあるでしょう。また、赤ちゃんにかかりっきりで自分の食事は二の次なんてことも。

ストレスや疲労、睡眠不足、栄養状態の悪さは、生理再開の遅れや再開後の生理不順につながるリスクがあります。産後は周囲の人やサポートサービスの助けを得ながら、ママだけが頑張らなければいけない状態・無理しなければいけない状態を解消しましょう。

頻繁に授乳していると再開しにくいことも

授乳の頻度や期間は、母子によって大きく差があります。産後の生理再開は授乳の状況にも影響を受けるので、ある程度の月齢になっても授乳の頻度が高ければ、生理の再開が遅れることもありえます。もし、早期に次の妊娠を希望するのであれば、赤ちゃんの栄養状態なども考慮しながら、授乳の頻度を減らしたり断乳の準備を進めたりしてもいいでしょう。

背景に疾患がある場合も

産後はホルモンのバランスが妊娠前のように安定するまで時間がかかります。また生活も激変するので、生理周期が不安定になりやすくなっています。しかし、無月経や生理不順の原因が疾患である場合もゼロではありません。授乳をやめてから数ヶ月経っても生理が再開しない場合などは、一度産婦人科を受診しましょう。

そのほか、生理に関して不安なことがあれば医師に相談しましょう。以下は、生理トラブルの例です。

月経異常、生理の異常の例

妊娠の可能性もある

妊娠と生理の関係については、この記事のはじめの方でもお伝えしましたが、産後の生理がこない理由が妊娠である可能性もあります。「生理が再開してないのに妊娠!?」と思うかもしれませんが、十分ありえることなのです。詳しくはこの次の章で解説しましょう。

産後の性生活はいつからOK?

出産を終えた後、いつから性生活を再開できるのかも気になるところです。産後のセックスについては、母体の回復状況を見ながら判断しましょう。
一つの目安となるのが産後1ヶ月健診の後です。そこで医師による診察・問診を受け、問題がなければ性生活再開OKでしょう。

帝王切開の場合は?

なお、帝王切開の場合はもう少し再開の時期が先になるかもしれません。

性生活についての相談は少し気後れするという人もいるかもしれませんが、1人で悩まず専門家のアドバイスを受けるのは重要なことです。直接的な言葉が苦手であれば「次の妊活はいつから再開していいですか?」などと聞く人もいますよ。

産後すぐの性生活の危険性は?

産褥期と言われる出産してから6〜8週ほどの時期が終わるまでは、性生活も含め無理は禁物です。この時期は悪露が出ていますし、子宮回復に大切な時期なのです。子宮の回復に問題がある場合(子宮復古不全)の場合は治療が必要となります。

会陰裂傷・切開後は違和感があることも

また、赤ちゃんが出てくる時、肛門と腟の間にある会陰(えいん)が裂けたり、会陰切開が行われたりして、しばらくの間は違和感がある人もいるでしょう。産後すぐは傷口がふさがっていないこともあり、感染症のリスクもあります。

不安や恐怖心を抱えたままのセックスは、後々の性生活にも影響を及ぼします。焦らず、時期を待って再開しましょう。

産後は排卵してる? 避妊の必要性

「産後、生理がこないうちは妊娠しない」と思っている人もいますが、それは誤りです。生理開始前であっても排卵している可能性があるからです。妊娠を希望しない場合は、避妊をするようにしましょう。

生理開始前なのに排卵してる!?

妊娠中は生理と排卵が止まります。産後もしばらくの間は生理とともに排卵も止まっていますが、生理が来るより前に排卵することもあります。中には産後一度も生理がこないまま次の妊娠をするというケースも。逆に、産後の生理が再開したばかりでは、排卵せずに生理だけが起こっていることもあります。

産後の避妊方法は?

しばらくは妊娠を避けたい場合、避妊が必要になります。しかし、出産直後や授乳中には向かない避妊方法もあるので、注意が必要です。

コンドームはいつでも購入でき、避妊と感染症予防の両方の効果が期待できるので使いやすいでしょう。

なお、低用量ピルについては、授乳中だと母乳の質や量に影響を与え赤ちゃんにも悪影響を及ぼす可能性があるので、エストロゲンを含まない“ミニピル”の方がいいでしょう。授乳していない場合でも、ピルには血液凝固を亢進する作用があるので、血が固まりやすく血栓症のリスクがある産後すぐの時期(産後4週以内)を避けて処方されます。

また、子宮内に装着する避妊リングについては、産後2ヶ月以降であれば授乳中でも使えるようになる(ただし、授乳中に最も適した避妊法ではない)ので、医師に相談してみましょう。

まとめ

産後しばらくは生理が止まり、授乳をしている場合だとその期間が長くなります。それ自体はホルモンによって起きる問題ないことですが、中にはなんらかのトラブルがあって生理が来ていない可能性もあります。断乳後しばらくたっても生理が始まらないなどがあれば、一度産婦人科を受診しましょう。また、産後も妊娠を望まない場合は避妊の必要があります。自分の体や心の状態、これからの家族の予定などを考えながら、性生活を再開させてください。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-