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2024年04月12日 11:16 更新

0歳児を連れながら国内を西へ東へ大奔走! パパの育休があったからこそ乗り切れた嵐の産後#男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は出産と親族の不幸というライフイベントが重なり、その対応に追われたママと、未曾有の状況を家族で乗りきるために男性育休を取得したパパにお話を聞きました!

パパが半年の育休を取得した速水さんファミリー

今回のパパ
速水大介さん/39歳/パナソニックくらしアプライアンス社勤務

●ご家族
妻:陽子さん/39歳
長男:明彦くん/1才4カ月 
※名前は本人・家族ともに仮名です

●速水家のパパ育休
2022年10月に長男が誕生。生後6カ月ごろとなる2023年4月から9月末まで、半年間の男性育休を取得。2023年10月に復帰した。

速水家の育休中のタイムスケジュール

産後すぐに起きた親族の不幸。対応に追われる妻を助けるために、育休を取得することに…!

――大介さんが育児休業を取得したのは息子さんが生後6カ月から1歳になる時期だったそうですね。この時期に取得したのは何か理由がありますか?

大介さん もともと会社側が男性育休の推進をしていたこともあり、いつ取得しよう? とタイミングを見計らっていました。息子が6カ月となる4月から半年の取得を決めたのは、遠方に住む妻の叔父が、息子が生まれてまもない1月に他界したことが大きく関係しています。

――具体的に教えてもらえますか?

大介さん ええ。まず妻の叔父は独身でした。さらに妻の両親、伯母もそれぞれ高齢かつ遠方のため思うような身動きが取れない状態だったんです。そこで妻が葬儀社やお寺との折衝、納骨、相続手続、遺品整理、マンション売却までの息の長い対応をすべてやらざる得ない状況に陥ってしまいました。

私たちの住まいは滋賀にありますが、亡くなった伯父のマンションは埼玉で、妻の両親は千葉在住、妻の伯母は岡山在住、妻の実家のお墓は鳥取ということで、小さな息子を連れて、西へ東へ何度も行ったり来たりしたりしないといけなかったんですね。

そんなふうに出産の喜びと親族の不幸という悲しみの、両方の大きなライフイベントが同時に重なってしまい、このままだと家族全員が立ち行かなくなるという強い危機感と、何とか妻を助けたいという思いから育休を取得することにしました。

会社に相談したのは、葬儀を終えた1月下旬のころだったかと思います。最初は「3カ月くらい取得したい」と伝えたのですが、上司が「3カ月で大丈夫? 思い切ってもっと長く取ったらいいよ」と助言してくれたこともあり、半年に。実際、いろいろな対応を終えるにはそのくらいの時間が必要でした。

――それは大変でしたね。ご夫婦も息子くんもすごく頑張りましたね。小さい息子くんを連れての移動には気を使ったのではありませんか?

大介さん はい。叔父の葬儀に参列するため、生後3カ月にならない段階で初めて電車に乗り、そのまま新幹線に乗って、初めてのホテルで「ベビーベッドってどうやって借りる?」みたいなところから始まりました。

宿泊先のホテルで息子を寝かしつけた後に起こさないようにユニットバスに移動してその中でご飯を食べたりしたことも(笑)。夜にレンタカーで首都高を走っている最中に突然息子がギャン泣きして、でも、新幹線の時間もレンタカーを返却する時間も迫っていたので、焦ったこともありましたね。結局は商業施設に駆け込んだんですけど、息子がおむつ替えスペースでうんちをばーーーっとたくさん出して、服まで汚れて、夫婦で大パニック!(笑)。 その日、便が出ていなくて苦しかったみたいです。

――今だから笑って穏やかに話せますが、その当時はなかなか余裕がなかったのではありませんか?

陽子さん そうですね。ただ、うちの子は本当に扱いやすい子だったので、助かりました。そうじゃなかったら、どうなっていたかな?

――叔父さんのことはパパの育休中にひと通りのことを終えられたのですか?

大介さん 結局育休の終わる9月末までには、進めていた叔父のマンション売却まで終わらなかったのですが、何とか筋道はつけることができました。その後、無事年内に売却が完了し、妻から「まとまった期間の育休を思い切って取ってくれてありがとう。あなたがいなかったら、ここまでの対応はできなかった」と言ってもらえ、長い育休を取得してとてもよかったなと思いました。

息子と触れ合う時間はもちろん、困難なライフイベントを家族みんなで乗り越えたことで、より強い絆ができたと感じますし、一生忘れられない育児休業になりましたね。

陽子さん 大変なことが重なりましたが、私自身は出産と叔父のことが重なったのは結果的に良かったのでは? とも思っているんです。夫が長期間の育休を取得してくれたことで、叔父に対してきちんと見送りができましたし、息子もまだ0歳で、連れて移動しやすかった。これが1歳以上だと、自分の意思も強くなってきますし、歩き回ったりもするので、スムーズに行かなかったと思います。

「小さい子を連れての宿泊で便利だった育児グッズはこれ! 折り畳めるベビーベッドです。軽いので、畳んで背中にリュックみたいに担げます! ベッドだけでなくベビーサークルとしても使えますし、車に積んでも持って行っても、宿泊先に宅急便で送ってもOKなので便利でした」(大介さん)

電気調理鍋や食洗機二台をフル活用!

――育休中の育児や家事はどうされていましたか?

大介さん 「スイッチング育児」をコンセプトに、二人で同じことを同時にやらないことを意識しました。どうしても子どもがかわいいので、妻も私も同時に相手をしたくなるのですが、それだとお互いやるべきことができなくなってしまうので、自分が育児をしているときは妻が家事を、妻が育児をしているときは自分が家事をするようにしていましたね。

――それは話し合いの上でそうなったのですか?

陽子さん 話し合うというよりは自然とそうなった感じですね。私が叔父のことで対応しているときに、夫に家事なり育児なりしてもらうことも多かったので。

大介さん おかげでおむつ替えから着替え、泣いたときの対応、寝かしつけ、お風呂まで、全部できるようになりました。さすがに母乳は出ないので、それはスイッチングできませんでしたが(笑)。息子の後追いで妻が長い時間キッチンに立てなくなったこともあり、料理は今も僕が担当することが多いですね。作り置きもしています。

――例えば、どんなものを作るのでしょう?

大介さん 昨日は手羽元が安かったので、二袋買ってきて、一つは電気圧力鍋で手羽元と大根とコンソメとバターでちょっとスープ仕立てのものを作って、もう一つはコーラ煮にしました。あとは、玉こんにゃく、里芋、インゲン、イカでちょっとした付け合わせのおかずとホタテの酒蒸しを作りましたね。

――とてもおいしそうです!

大介さん 電気圧力鍋があるので、それをフル活用しています。あと洗い物も基本的には僕担当ですが、我が家には食洗機が二台あるんですよ。結婚当初から共働きで、ずっと二台持ちで回しています。今の家に引っ越しをしたときも、まず食洗機が二台設置できるように庭木の散水用の継手を活用して二口水栓を作るところから始めました。二つあると、鍋やフライパンなどの調理器具も洗えて便利ですよ。

「これも旅先で役立った育児グッズ。膨らますための手押しポンプ一体型のため、小さく畳んで持ち歩けて、使いたい時にサッと空気を入れてイスに出来ます。外出先で座らせたり、離乳食を食べさせたり、宿泊先のお風呂で使ったりマルチに使えました」(大介さん)

ママの仕事復帰に向けてベビーシッターをお試し

――陽子さんは春から仕事に復帰するそうですが、復帰に向けて何か準備していることはありますか?

陽子さん 最近、ベビーシッターさんを利用するようになりました。きっかけは、復帰後もしもワンオペなどが続いたときに自分のメンタルコントロールをどうすればいいかなと考えていて、参考のためにあるワーママ向けの本を読んだんです。そこに「自分が危機的状況に陥ったときに、何パターンか危機回避する方法をあらかじめ作っておいたほうがいい」と書いてあり、初めてシッターさんを試してみることに。実際、復帰後の大変なときにいい人を見つけるのはすごく難しいですし、候補を探して選択する作業自体、ストレスがかかりますから。我が家は実家にも頼れませんし、今のうちに手駒を増やしておこうと思ったんです。

――お願いしたシッターさんはどのように見つけられたのですか?

陽子さん 専用のアプリで見つけました。一度、お願いしたらすごく素敵な方で。

大介さん (そうそうと頷く)

陽子さん 近々もう一度お願いする予定です。もともとその方にしたのは、アプリ上の自己紹介が一つの決め手でした。 単なる経歴だけじゃなくて、自分が子どもを見る上で大事にしてることがしっかり書かれていたんですね。その文章には愛情が感じられ、一方で恩着せがましくもなく、すごく自分にフィットするなと思いました。

二つ目は、そのアプリには利用者さんの感想が投稿されているのですが、その感想に何をしてもらったかや子どもの反応がすごく具体的に書かれていたんですね。「今回もありがとうございました」だけの簡素なコメントが並ぶシッターさんも結構多いんですが、それは多分良くもなく悪くもなく、書くことがないからなんだろうなとか、シッターさんとお母さんの間でコミュニケーションがないから書けないんだろうなとか、ちょっと勝手に想像してしまうところがありました。

三つ目は年齢です。ベテランさんもいいと思うのですが、先輩のお母さん目線で「こうした方がいいよ」と言われちゃうと、 私自身、ちょっと気にしたり、意見が合わなかったりしてギクシャクしちゃうかもしれないと思ったので、年の近い方を選びましたね。

――どの理由も納得です。シッターさんの選び方、とても参考になりました!

「産院でいただいたノートに育児記録をつけています。このノートが使いやすいのですが、非売品らしく同じものが売ってないので、フリマアプリでもう二冊入手。ノートを振り返ると、息子の今の様子が把握できるので、重宝しています」(陽子さん)

いろいろな事情を抱えた人が育児休業を必要としている

――最後にパパの育休に関する感想、これから取得を検討する方へのメッセージをお願いします。

陽子さん パパの育休って産後すぐに取得する方がほとんどで、我が家のように生後半年〜1歳になる期間に取るというのは珍しいと思いますが、私はこの時期に夫が取得したことはとてもよかったと思います。子どもが動き出して変化を楽しめる時期ですし、生後半年以降になると子どもからも意思が感じられ始めるので、その子に合わせた対応というのが学べる時期です。なので、男性はこの時期に育休を取得するのもおすすめです。

大介さん 夫婦の年齢が高くなってから子どもを授かるケースは増えていますが、授かった頃には親世代も高齢となり介護や他界したりするなど、我が家のように別のライフイベントと重なって、パパ側も育休を取得しないと生活が成り立たなくなる方も今後は珍しく無くなると思います。

育休を取得すること自体、後ろめたい気持ちが起きる場合もあるかもしれませんが、後ろめたさを感じる必要はありません。とくに僕たちのように追い込まれ、このままだと何かを諦めないといけない、立ち行かなくなる、と感じている方がいたら、ぜひ前向きに検討してみて下さい。

一人ひとりの事情を抱えた誰しもが、より前向きに育児休業が取得しやすく、多様性に対して寛容な社会になっていくことを切に願っています!

――今日は貴重なお話、ありがとうございました!

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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